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ウルル・オーストラリア連邦

1999年6月20日



日本時間17時35分




ウルル Uluru (エアーズ・ロック Ayers Rock)
黄昏画像へとびます

 オーストラリア、ノーザン・テリトリー Northern Territory のアリス・スプリングズ Alice Springs 南西450kmにある岩山で、先住民アボリジニーがウルルと呼ぶ聖地になっています。日本では一般的にエアーズ・ロックという呼称の方が通っているようです。エアーズという呼称は旧サウス・オーストラリア植民地の総督名に由来します。例のごとく、ヨーロッパ人が発見したのが1873年で、当時はイギリスの植民地でした。探検家ウィリアム・ゴスがたまたま探検の途中で発見し、彼が総督ヘンリー・エアーズにちなんで名づけました。資金提供でも受けていたのでしょうかね。ノーザン・テリトリーはサバンナ気候で南部の内陸は砂漠になっています。

ウルルは世界最大の単一の岩石で、比高335m(標高868m)、周囲10kmの残丘(モナドノック)です。隆起して出来た山ではなく、浸食によって出来た山です。およそ6億年かけて形成されたと推定されています。周囲はウルル国立公園に指定されています。(カーソルを地図に合わせると、詳細地図を表示できます)おおよそ南緯25°東経131°にあり、ほぼ日本の経度と重なるような位置です。

 残丘とは準平原上に孤立して突出する山稜を言います。浸食に対し抵抗性の強い硬岩からなる場合(堅牢残丘)と、分水界周辺であるために残った場合(遠隔残丘)とがあり、米国ニューハンプシャー州のモナドノック山やギアナ高地などで見られます。ウルルは陽の当たり方で様々に色が変化することで有名です。特に朝方と夕方ですね。真っ赤に燃えるような赤色になります。これは朝焼け・夕焼け、そして「星の旅」コンテンツのページで紹介した地球照と同じ原理です。太陽光線のうち赤色の光だけが遠くまで届く性質をもっているからですね。太陽が低い位置に来ると、光が横切る大気の層が厚くなり、赤色以外の光線は散乱してしまうのです。


ウルル ウルル


 さて、この丘を「ウルル」と呼んでいるでいるアボリジニー Aborigine 、あるいはアボリジナル Aboriginal 、最近は公的には先住民 indigenous people と呼ばれるようになっています。アボリジニとはラテン語で「原住民」という意味なので、他の地域の先住民族にも使われている普通名詞です。だからオーストラリアの先住民族だけを指して使われる言葉ではないのですが、オーストラリアでは固有名詞として使われてきた歴史があります。法的には差別はなくなったと言われますが、日本のアイヌ民族や他国の先住民同様、いろんな障害が社会に残り、正統な権利を求める運動が続いています。日本の保守系政治家も未だに日本は単一民族としばしば発言し、顰蹙を買っていますよね。

 彼らにとってここは神が作られた聖地です。ゆえに、聖地に登らないように要請していますが、聞き入れる観光客はほとんどいないようです。それを確認してみました。下の英文はオーストラリアのサイトから引用したものです。

Uluru (Ayers Rock)
Uluru is a site of deep cultural significance to the local Anangu Aboriginals and the most famous icon of the Australian outback. A pilgrimage to Uluru and the coronary-inducing scramble to the top was an entrenched Australian ritual, but the Aboriginal owners would prefer visitors not to climb the rock and many visitors are now respecting their wishes. The 3.6km (2.2mi) long rock rises a towering 348m (1141ft) from the pancake-flat surrounding scrub, smack in the middle of the country, and is especially impressive at dawn and sunset when the red rock spectacularly changes hue. There are walks around the base of the rock which pass caves, rock art and sacred Aboriginal sites.

波打つ岩肌

 many visitors are now respecting their wishes (多くの観光客は今では彼らの願いを尊重しつつある) としるされていますが、日本国内サイトの数ある旅行記を見渡すと、登った感動を記しているものがたくさんありますね。鉄柱を打ち込んで鎖を張り、これを手すりにして登れるのです。高いところへ登るのが好きな yu としても悩むところです。てっぺんからアボリジニの道具だったブーメランを飛ばしたら..........などと不謹慎なことを考えてしまいます。ちなみに、ブーメランは旋回して戻ってくるものとばかり思っていましたが、戻ってこないものもあるそうですね。獲物を狩るための道具だから、当たりゃそれでいいんだもんね。ウルルは夜間の滞在は禁止されており、レンジャーが保護活動を行っています。

 現在ではアボリジニ・アートや吹奏楽器のディジェリドゥーなどでよく知られるようになったアボリジニは、3万〜3万5000年前に南アジアから渡来したとされていますが、最近では5万3千年から6万年前とかいう説も出てきました。18世紀末までは石器文化です。文字は持ちませんでしたが、その言語は地球上諸言語との類縁関係は不明で、18世紀に260〜300種あったとされる部族語はいま170にまで減っています。


ウルル


 アボリジニの神話は「ドリーミング・ストーリー」と呼ばれ、文字を持たない人々たちが口伝で伝えてきた創世の物語になっています。「ドリームタイム」(夢の時代)と呼ばれる大昔に巨大な先祖たちが平らな大陸を歩き、その足跡が山や川や動植物になっていったというものです。ウルルもそうしてできたものとされています。ウルルとは「岩の蛇」という意味です。蛇を神聖なもとして扱う民族はいろいろありますが、彼らもその一人です。彼らの聖地とは先祖発祥の地として崇めらるべき場所なのです。


侵食痕洞窟内の壁画
侵食痕洞窟内の壁画

ワラビー

 岩肌にできた侵食痕は、トーテム信仰の祖先である蛇たちの戦いで出来たとか、祖先の精霊であるワラビーがキャンプした跡だとか信じられていました。右がワラビーでカンガルー科です。カンガルーより小型がワラルー、それより小さいのがワラビーになります。習性はどれも同じです。

 ウルルの岩のふもとにはたくさんの洞窟が見られます。後でも触れますが、ここにはアボリジニの描いた壁画が残っています。神話に基づき、蛇やワラビー、動物の足跡などが描かれています。上図の絵には頭の尖った動物が歩いている姿が描かれていますが、神の一種のようです。メキシコのアカンバロで発掘された恐竜土偶と形態がよく似ています。


ゴッシズ・ブラフ・クレーター   Gosses Bluff Meteorite Crater


Gosses Bluff Meteorite Crater Map

 ここアリス・スプリングズの近くにはもうひとつ有名な場所があります。直系5kmに達する大きなクレーターの「ゴッシズ・ブラフ・クレーター Gosses Bluff Meteorite Crater」です。およそ1億4千年前に落ちた彗星の跡だと推定されています。

 ノーザン・テリトリーは連邦政府直轄領で、人口の約4分の1はアボリジニです。そして、ここもアボリジニの聖地なのです。アボリジニ神話では天の川の星々はダンスを楽しむ女神たちの輝きとされていますが、ゴッシズ・ブラフ・クレーターは一人の女神が赤子を揺りかごで休ませていた時、はずみで揺りかごから落として大地に大きな穴を開けた跡だと語られています。アボリジニの先祖たちは宇宙規模で生きていたわけで、巨人であったわけがここにあります。


Gosses Bluff Meteorite Crater
Gosses Bluff Meteorite Crater

 こうした神話を反映しているのが、彼らのアートです。それは岩壁に彩画や刻画として描いたり、樹皮に描いた画です。ウォンジナ Wondjina と呼ばれる降雨の神(口がなくて、頭のまわりに放射状の輪があり、胴体が縞状)などが描かれます。岩壁画は北部と南部では違いがあり、北部ではウォンジナなどの自然主義的な様式が多く、南部では円・渦巻・波状線などの幾何学的な線画が多くなっています。面白いのは外からは見えない身体内部の内臓などを図式的に描いたX線描法が見られることです。なお、アボリジニは狩猟採取民族で、農耕などは行いませんでした。


アボリジニ・アート      アボリジニ・アート

 樹皮画は北部のアーネム・ランドに広く分布して現在も描き続けられているものです。いずれも神話にまつわる表現で、超越的な精霊を形象化したものです。たとえば、大昔の英雄で、オーストラリアに初めて到着したというジャンカオ Djanggawu、人間と大ガラスの合体した半人半動物であるダインガンガン Dainganngan などが赤・黄・白・黒の4色で、木の枝を加工した筆で描かれています。

 余談ですが、アボリジニ・アートと並んで有名なのがその音楽で、ディジェリドゥー didjeridu がよく知られています。トランペットに属する木管楽器ということですが、ユーカリの大枝の一端に穴をあけ、そこに白蟻をいれて芯を食べさせて作ります。宇宙や自然とともに生きるアボリジニらしい楽器です。長さは一般的に1〜1.5mです。2.5m以上のものは儀式に用いられます。ほとんど音高の変わらない持続低音で、男が歌や踊りの伴奏として吹きます。


ウルルの小さな生き物

 このウルルには生物が生息しています。雨が降ると岩の上には水たまりができ、そこにカブトエビが孵化します。乾燥すると、また雨が降るのを待って孵化するというサイクルを繰り返しています。

ロックの上の水たまり      カブトエビ

 カブトエビは長さ2〜3cmくらいです。日本にもいて、中部以西の水田などに初夏のころ突然おびただしく出現し、1ヵ月くらいで消滅します。突然発生するのは、耐久卵が幾年も土壌中に乾燥した状態で生き続けることができるからです。これが一度水に浸って、その環境がよければいっせいに孵化します。なぜその数がおびただしいかと言えば、単為生殖によって繁殖するからです。肢で泥をかき上げて、そこにいる生物を捕食しています。日本のカブトエビは、外国からいつのまにか入ってきたものです。




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黄  昏


 先月は寒いところだったので、緯度を上げ、日本と時差のないところへやってきました。黄昏が美しいと評判のウルルです。瞳もウルル........(^_^)

 実は緯度から言うと、4月に取り上げたイースター島と同じようなものです。ですから見える星は変わりません。この時期、ちょうどいい高さにあこがれの南十字星が見られますが、月が出ているので見栄えがもうひとつです。では、沈んでいく星座の順に面白そうなものを見ていきましょう。

 西の真ん中に海蛇座が見えますね。大きくて長い星座です。M48という散開星団があり、双眼鏡で見ることができます。画像で示すと海蛇座の下にあります。しっぽの方にはM83という銀河があります。そして、「木星の亡霊」と呼ばれるNGC3242もこの星座にあります。これは木星と同じ大きさの星雲ですから、高倍率の望遠鏡でないと見れません。どれも気軽にぱっと見れるものではありませんね。何かぱっと見れるものを探しましょう。

 それはまず、銀河!(^^ゞ.....日本の光害下で見る銀河とは比べものになりませんし、深い流れです。地平線に近いですが、蟹座のど真ん中に散開星団プレセペが見えます。そして、やはり南十字星。南十字星の「星」は複数形です。南十字座を作る4つの星のことを言います。全天で一番小さな星座です。そばにはニセ十字とと呼ばれる星並びもあって、間違える人もいるみたいですね。

 南十字星の明るい星2つの脇には、「銀河鉄道の夜」に出てくる暗黒星雲、「石炭袋」があります。星のない暗いところです。明るいところばかり見ないで、たまには暗いところも楽しんでみましょう。人生も同じこと。双眼鏡で見ると細部がわかります。アボリジニーは「石炭袋」を珍鳥エミューが卵を抱いている姿と言います。β星(上の星)のすぐそばには宝石箱と呼ばれるκ星団があり、双眼鏡で星粒が見えてきます。また、この西の画面には出てきませんが、南の地平線上すれすれにかじき座が出ています。大マゼラン雲についてはイースター島のページを見てください。

 最後の画像(ENDの画像)で、南十字星の上に明るい星が2つ縦に並んでいるのが見えますね。ケンタウルス座のα星(上)とβ星(下)です。このα星は地球に1番目か2番目に近い恒星です。いいかげんですか?「銀河鉄道ツアー」では1番目にしてあるのですが、本により2番目と記しているのもあります。どちらが最新資料なのか、観測データが定まらないのかよくわかりません。どっちにせよ、天文学的数字ですから気にしないでおきましょう。



画像の見方


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時差 0時 ウルル時間 20日17時35分から








ウルル・オーストラリア連邦

1999年6月20日



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