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ゴッホ「夜の白い家」と金星

1890年6月16日19時〜20時



「星月夜」

1889年 「星月夜」


今回は アニメーション 静止画 です。(140kb)


 今ページの下で画像を読み込んでいますから、その間に解説を読んで下さい。アニメーションの場合、読み込みにしばらく時間がかかります。「星の旅」ロゴか黄色文字の「天文現象」をクリックすると画像にジャンプします。



天 文 現 象



フィンセント・ファン・ゴッホと星

 ゴッホは何枚もの星の絵を描いている画家です。星が主題というわけでもないですが、ゴッホと星の組み合わせには面白いものがあります。ゴッホの筆遣いと色彩感覚が星と出会えば、「星月夜」ような強烈な星の瞬きになることは容易に想像できるわけで、これ以上は望めないほどの星の瞬きを油絵で感じさせてくれます。星が描かれている作品を他にいくつか眺めてみましょう。



「夜のカフェテラス」「星降る夜、アルル」「糸杉のある道」
1888年 夜のカフェテラス1888年 星降る夜、アルル1890年 糸杉のある道


 こうして並べていると、晩年の作品ばかりでなにやら意味ありげです。今回取り上げる話題は朝日新聞に掲載された記事についてです。その作品はゴッホ作品の中ではあまり知られていない作品で、こんな絵です。



「夜の白い家」

「夜の白い家」



Map

 ゴッホは最晩年の数ヶ月をパリ郊外のオーヴェール・シュル・オワーズ Auvers-sur-Oise で過ごしました。そこには赤い屋根の白い家があり、、屋根の右上には眩いほどに輝く黄色い星が描かれています。いったいこの星の正体は?  米サウスウエスト・テキサス州立大のドナルド・オルソン教授らのグループはこの星が金星であり、1890年の6月16日、午後7時から8時の間の空であることを明らかにしたのだそうです。ごく小さい記事で詳細はわかりません。

フィンセント・ファン・ゴッホ年譜

1853年
3月30日、オランダの南ブラバント州ズンデルトで誕生
1857年 4歳
弟テオドルス(テオ)誕生
1869年 16歳
美術商グーピル商会デン・ハーグ支店に勤務
1873年 20歳
ロンドン支店に転勤。自分の仕事に興味を失い、聖書に傾倒
1876年 23歳
解雇。聖職者になることを決意
1878年 25歳
南ベルギーの炭坑地帯ボリナージュで宣教師となる。極端な献身と熱意を教会から疎まれ追放
1880年 27歳
弟テオの生涯にわたる仕送りが始まる
1883年 30歳
農民画家になることを決意
1885年 32歳
ベルギーのアントワープへ移る。浮世絵にひかれる
1886年 33歳
パリへ移り、印象派と出会う
1888年 35歳
南仏プロヴァンスへ。アルルでゴーガンと同居。ひまわりを描く。左耳を切り落として病院へ収容される
1889年 36歳
サン・レミの精神病院へ再入院
1890年 37歳
5月、オーヴェール・シュル・オワーズに移る。7月27日、小麦畑を歩きながら拳銃で腹を撃つ。7月29日死去。ゴッホの棺は黄色い花で飾られていた

 実際、この絵を見てみるとまだかなり明るい時間で、星がこれだけ明るく(ゴッホの脳みそがいくら過剰に反応していたとしても)見えているのですから、金星であることは明らかです。この発見が明らかにしているのは、「夜の白い家」が描かれた「時」だけでなく、ゴッホが風景を自分が見たまま描いているということです。天体が描かれた他の絵についても、場所さえ特定できれば「時」を導き出すことがきっとできることでしょう。

 何千年という単位になると星の配置も異なってきますが、歴史上の星空はいつの時代も変わりません。昔の人が見た星空は、今でも yu たちには同じように見えます。ゴッホが見た星空も彼の地で同じように体験することができます。しかし、ゴッホが見た星空は本当は誰にも見ることができないということも真実です。見ている脳は二つとして同じものはないのですから。

 この説が正しければ、ゴッホはこの1ヶ月ほど後に、今度は自らがスターダストとしてこの世を去ることになります。享年37歳。ゴッホの星々を見つめていると、晩年になってゴッホは星に招かれていたのだと確信します。

 さて、それでは今回は100年あまり昔にゴッホが見たフランスの「宵の明星」を見ましょう。 フランスでは「宵の明星」なんて言葉はないでしょうけど。オーヴェール・シュル・オワーズは北緯49°04′, 東経2°10′です。日本とは-8時間の時差となります。現地時間で19時39分から24時までをアニメーションします。夏のフランスは夜がなかなかやってきませんから、ゴッホの絵のとおり夜の8時でも明るいです。明るい時間の風景をアニメーションしてもしかたがないので、ゴッホがそろそろ絵を描き終わる頃からのスタートと考えてよいかもしれません。

 この日は太陽より一足先に月が沈みます。しかし、夜の帳が下りることなく、人々はまだ街を行き交っていたことでしょう。ゴッホはこの白い家のどこに興味を覚えたのかわかりませんが、右手の空から明るく光を投げかける金星を取り込みながら一気に描いていきました。聖なる物語の1ページであるかのような印象を残しながら。



画像の見方


 画像下欄左に時刻(日本時間)が表示されます。右に経緯度が表示されます。アニメGIFの場合、読み込みと平行して表示していきますが、すべて読み込み終わった段階、つまり2巡目の表示になってはじめて正しい時間間隔で表示されることになります。1枚目には下欄に「START]が、最後には「END」が表示されるので目印にしてください。








オーヴェール・シュル・オワーズの金星

1890年6月16日19時〜20時



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