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ベツレヘムの星2

紀元前6年4月17日夜明け



東方の三博士



今回は アニメーション 静止画 です。(110kb)




天 文 現 象



占星術と牡羊座

ベツレヘム周辺地図
Bethlehem, 31n43, 35e12, Israel

 「ベツレヘムの星2」というからには「ベツレヘムの星1」がどこかにあるはず。でも、ないです......(^^ゞ それにあたるものは「世界の黄昏」コンテンツの「クムラン」ページです。こちらを先に飛ばし読みしておいてください。そのページを前提にして話を展開していきますから。また、そのページに関連するものとして、ここの左のメニューに「キリストの誕生 クリスマス・イヴ」という項目も出ています。

 前回の「ベツレヘムの星」から2年あまり。前回は魚座に注目していたのですが、今回は牡羊座に注目します。その前に「馬小屋」とは何かということについて触れておきます。前回は「イエスのミステリー」の著者バーバラ・スィーリングの説を取り上げたのですが、今回は別の説です。

 キリストが生まれた馬小屋とは、その言葉どおりに受け取れば、地面に建てられた粗末な小屋を想像しますが、当時のベツレヘムでは馬小屋とは地下に掘られた洞窟でした。ちょうど降誕教会のように。ベツレヘムは敵を見張るために見晴らしのよいい丘に作られた千人ちかくの集落で、夏は涼しい屋根で過ごしていたようです。

馬小屋

 冬の間はこの洞窟へ家畜を入れて、家を暖めていました。この洞窟は2段になっており、下の階は家畜、上の階には人間が住むという形態です。同じ空間で人と動物が住んでいたわけです。この形態は現在でもパレスチナの一部で見られる生活様式です。ベツレヘム近くのインファダラという村では今でも洞窟を利用した住居を使っているそうです。

 

 ヘブライ大学のジョー・ザイアスによると、ギリシャ語のルカの福音書には「宿の空きがなかったため、馬小屋に寝かされた」と記されており、「宿」にあたるギリシャ語「カタルーマ」は、普通は「上の部屋」を意味するのだそうです。つまり、洞窟の上の部屋がいっぱいだったので、飼い葉桶に寝かせたということが記されているのだと言うのです。バーバラ・スィーリングの説と比較してみると、こちらの方が単純でわかりやすい説です。

 さて、ではベツレヘムの星とはどういう現象だったのかという核心の問題へと進みましょう。「クムラン」ページで述べた春先に生まれたということについては間違いないことでしょう。その時に占星術に触れたのですが、今回も占星術が大きなキーになります。ユダヤ人が占星術に関心を持ち始めたのは中世以降だと考えられていましたが、死海文書から2枚の文書が発見されました。その文書には占星術で使われる12の星座の記号が書かれた天体の図面があったのです。イエスの時代に占星術が行われていたことが証明されたわけです。こうなると、「ベツレヘムの星」は占星術と切り離して考えることができなくなったと言っていいでしょう。

 天文学者マイケル・モルナーによると、当時は太陽系最大の惑星である木星の位置を見て王の誕生や死を預言していました。またユダヤやサマリアという領土が牡羊座の動きに象徴されていると考えていました。牡羊座とは専制君主から解放する救世主が現れる前触れと考えられていたのです。ですから、ヘロデ王に雇われていた占星術師たちは牡羊座に注目していました。

 ここで、「クムラン」ページに記した表をもう一度記します。


キリスト生誕関連年表
紀元前歴史事象天文事象
7年ローマ皇帝による国勢調査木星と土星が会合。うお座で3回(6/8,9/12,12/17)方角が合わない
6年シリア提督の国勢調査月による木星食(3/20日と4/17)。西
5年 大彗星
4年ヘロデ王統治終わり(3月20前後死亡)彗星(尾がない)


 牡羊座に異変が起こった年は紀元前6年でした。最近の歴史学では6世紀の学僧ディオニシウス・エクシグウスが計算間違いした年の数は6年とされています。そういう点では一致する年です。前回は紀元前6年の3月20日に注目したのですが、今回は4月17日に光を当てることになります。なぜなら、まさにこの日、牡羊座に大異変が起こっていたからです。

天体の配置イメージ図
天体の配置イメージ図
向こうから土星・木星・月・地球

 木星はすでに牡羊座の中に入っており、これは王に重大な事件が起こる印でした。4月17には土星が牡羊座に入り、太陽と月がそれに続いて、木星・月・地球が直線状に並ぶ配置になったのです。そして、夜明けには月に隠されていた木星が明けの明星として空に現れることになりました。占星術師たちの驚きは大変なものだったことでしょう。これはもうただの王にかかわるものではなく、救世主の出現以外には考えらないものとなったはずです。



 こうして材料が揃ったので、絵に描いてみましょう。今回は夜明けということになりますから、青空もシュミレートしてみます。ただ、これでは牡羊座と惑星の関係がわからないので、まずは朝焼けというスクリーンをはがして星空として見てもらいましょう。それが下図です。



牡羊座周辺の星空
エレサレム時間 6時24分


 見てのとおり、今までの解説と一部食い違いが出ています。クムランでもわずかに異なる部分が出ていたのですが。他の天文ソフトでも検証してみましたが、微妙に配置が異なっていました。どれを信用すべきか迷うところです。しかし、この配置でそれほどずれていないはずです。なぜならマイケル・モルナーの説とほぼ合致しているからです。

 土星が牡羊座から外れて魚座に入っています。これは占星術から見れば、牡羊座の範疇に入っているのでしょう。それにしても何と見事な配置でしょうか。牡羊座を中心にして水・金・火・木・土の5惑星が並んでいます。天王星まできていますね。ここに月と太陽までやってきたのです。そして、夜明けになり、太陽の強い光に明るい惑星たちが消え行く直前に、月のそばから木星が地平線上に現れて一瞬輝くのです。そして太陽が昇ります。

 ベツレヘムの星というと、ついつい夜中をイメージしてしまいますが、生命の象徴である朝日が最後を締めくくるこの情景は、救世主の誕生を予告するには最適と言えるものかもしれません。「クムラン」ページでは西の地平線上に一瞬輝く木星でしたが、今回は東の地平線へと移ることになりました。

 実は yu はベツレヘムの星というのは事実にもとづかないただの伝説だと思っていました。しかし、今回クムランから占星術にかかわる文書が出てきたことで、何らかの現象があったんだろうと思うようになりました。そして、後にそれを隠すかのように聖書は占星術を否定することになります。今回の説の真偽はやはりわかりません。しかし、かなり面白い説ですよね。それではアニメーションでこの時の現象をご覧ください。どこから見たかという情報は未だ謎のままなので、便宜上、エルサレム(Jerusalem:31n46, 35e14, Israel)から東を見るという設定にしました。

 では、「ベツレヘムの星3」というページでまたお会いしましょう。ホンマカイナ。



画像の見方


 画像下欄左に時刻(日本時間)が表示されます。右に経緯度が表示されます。アニメGIFの場合、読み込みと平行して表示していきますが、すべて読み込み終わった段階、つまり2巡目の表示になってはじめて正しい時間間隔で表示されることになります。1枚目には下欄に「START]が、最後には「END」が表示されるので目印にしてください。

時差 -7時 エレサレム時間 17日3時45分から








ベツレヘムの星

紀元前6年4月17日時 夜明け





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