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霊幻道士

疆屍先生


Mr.Vampire

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1985年・香港 上映時間 97分
製作総指揮:洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
製作 鄒文懐:(レイモンド・チョウ)・何冠昌(レナード・ホー)
製作担当:チェン・パイファー
監督:劉觀偉(リッキー・リュウ) 脚本:シトー・ヒーフォン
原案:曾志偉(エリック・ツァン)・バリー・ウォン
SFX総指揮:チェン・シャウナン 武術指導:洪家班・林正英
出演:林正英(ラム・チェンイン)・許冠英(リッキー・ホイ)・錢小豪(チン・シュウホウ)
    李賽鳳(ムーン・リー)・王小鳳(ポーリン・ウォン)・樓南光(ビリー・ロウ)
    ウォン・ハー・陳友(アンソニー・チャン)・ユン・ファ


 笑う門には.......ということで、年始はお笑いの番外編。世は2001年になったということで「2001年宇宙の旅」の話題がいろいろ出ているところですが、もうすでに取り上げましたからね。霊幻道士シリーズの第1作目を飾るこの作品はコミックホラーを世に知らしめたと言っていいものです。yu はカルチャーショックを受けました。

 香港から突然現れた「燃えよドラゴン ENTER THE DRAGON」(73年米・香港)が世界を席巻して、カンフーブームが起こりましたが、オカルトとコメディにカンフーをくるむとは恐れ入りました。この映画ではすで香港お家芸のワイヤーが使われています。この作品の前からすでに霊幻シリーズはあり、香港ではコミックホラーの4作目に当たる作品でもあります。作り出してこなれてきたところがこの作品だったと言えます。この作品以降、キョンシーブームがやってくるわけですが、完成度からいけば下降線をたどることになります。

 中国では呪われたり、埋め方を誤った死体は吸血ゾンビ、つまりキョンシーとなりました。ある日、道士(ラム・チェンイン)は富豪ヤン(ウォン・ハー)から父親の改葬を頼まれます。ところが墓は呪われれており、道士は腐敗していなかった死体を火葬すようにヤンに促しますが、断られます。死体は道士が預かることになりますが、とうとうキョンシー(ユン・ファ)となって人々を襲うことになるのです。道士は危機を救うため秘術を尽くして対決しますが、不甲斐ない弟子のひとりモンチョイ(リッキーホイ)はキョンシーになりかかり、もうひとりチュウ(チン・シュウホウ)は女幽霊シャンシー(ポーリン・ウォン)に取り付かれるという有様。風水師(アンソニー・チャン)に操られて闘うキョンシーたちも登場して、てんやわんやの騒動になります。

 笑いのツボをよく知っているというか、とにかく次から次へと笑わせてくれます。こんなに笑わせてくれる映画はそうはないです。笑いの手自体は新しいものはないのですが、昔から笑いのツボは同じということでしょうな。そして、これまた次から次へと繰り出される秘術が面白い。また、その使い方が決まっていてカッコいいのです。女幽霊を霊界から運んできた4人のお付きの笑わせるメークやそれが通り過ぎた後に蛙をぴょーんと跳ばせたり、その演出もなんとも言い難い面白みを出しています。ほんわかしたした感じの音楽もぴったりです。

 主人公の道士役ラム・チェンインはこの映画で武術指導も担当しているだけあって、風貌といい身のこなしといい、達人の趣たっぷりです。弟子チュウ役のチン・シュウホウもその風貌だけで笑わせてくれます。キョンシーに見つからないように息を詰めるシーンなんかは吹き出してしまって、見ている方はちっとも息を詰めていられない。マドンナのティンティン役ムーン・リーは登場した時はツンとすましていながらも、いたずら好きのいいキャラクターなのですが、キョンシーが出てからはただの守られ役のおしとやか娘になってしまい、とても残念でした。この手の映画ではマドンナ役が必ず必要になるものですが、マドンナの域からはみ出ずにお決まりのパターンになってしまいました。

 この映画は単に笑いが散りばめれているから可笑しいというわけではありません。大真面目が同居しているからです。オカルトとカンフーという笑いとかけ離れた世界で起こる笑いだからこそ、こんな可笑しい映画が誕生したと言うべきでしょう。日頃くそ真面目な人がずっこけるとやたら可笑しいのと同じです。キートンの映画に通じるものがあります。終わりには真面目にムーン・リーがキョンシー、つまり祖父の末期に泣き顔を見せて、その悲しみを表現することも忘れていません。

 映画はキョンシーだけでなく、幽霊も登場します。幽霊まで登場させたらストーリーが壊れるかに思えますが、脚本がしっかりしているためそんなことにはならず、一向に表現されないキョンシーの悲しみを想起する役割も果たしていると言えます。この映画のキョンシーと幽霊は、この後キョンシーものと女ゴーストものの映画の系統に分かれ、それぞれがたくさん作られることになりました。ワイヤーとアクションの組み合せが全盛の時代ですが、幽霊とワイヤーもよく合う。

 中国はやはり道教の伝統の中で人々は住んでいるようです。この映画でもよくわからない不思議なところがいろいろあって、日本語版でも見てみたいものです。香港では道教の世界をモチーフにしたSF映画がいろいろ作られていますが、世界を驚かす本格SF映画を送り出してもらいですね。

 霊幻道士の続編がかなり作られていますが3作目までしか見ていません。1作目を見るだけでいいでしょう。

(2013年追記)
youtube でムーン・リーのインタビューを見ました。2002年に撮影されたもののようです。当時はこの作品が大ヒットするとは誰も思っていなかったそうで、東アジア、特に日本で人気があったと話しています。彼女はまだ駆け出し女優だったそうで、クンフーは求められなかったようです。その後の彼女の活躍を僕は知りませんでしたが、クンフー女優として成長しています。それがまた単なる美人のクンフーではなくて、本格的な動きでびっくり。2002年当時は映画から遠ざかり、ダンスの指導者になっています。
この作品で監督から求められたのは、レストランのシーンですこしセクシーな衣装だったとのこと。まだ女優が保守的だった時代にあって、監督から胸の谷間が見えるようにもっとドレスを下へ下へと引っ張れと言われる一方で、自分は上へ上へと持ち上げていたという笑い話も。彼女は二十歳でした。あの場面で少し谷間を強調することは正解だったと思います。下品にならないいい線でした。
ちなみに、本文では「カンフー」と書き、今は「クンフー」と書いていますが、これも時代の移り変わりです。


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