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ブレインストーム

Brainstorm


BRAINSTORM

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1983年・米 上映時間 106分
製作・監督:ダグラス・トランブル
脚本:ロバート・スティッツェル、フィリップ・フランク・メッシーナ
原案:ブルース・ジョエル・ルービン 撮影監督:リチャード・ユーリチック
特殊視覚効果:エンタテイメント・エフェクツ・グループ
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:クリストファー・ウォーケン、ナタリー・ウッド、ルイーズ・フレッチャー、クリフ・ロバートソン


 先月に可愛いロボットが登場する映画を紹介しますと予告をしていたのですが、テープを見失い、同じ監督の映画を取り上げることにしました。お詫びいたします。予告していた映画とは「サイレント・ランニング」のことで、ダグラス・トランブル Douglas Trumbull 初監督作品です。「ブレインストーム」は第2作に当たる作品です。

 リリアンの研究チームは脳に直接情報を入力したり出力したりできる装置を研究しており、ほぼ完成間近の状態まできています。この装置は他人と体験を共有するための一種のコミニュケーション装置として開発されたものなのですが、軍は洗脳装置としての価値を見いだし、この研究をめぐる争いが起こります。そんな中、リリアンは心臓発作を起こし、死ぬ直前に装置を使用して死ぬ間際から死後までをテープに記録します。主人公マイケルはこのテープにとりつかれ、妻カレンの理解を求めながら軍の管理下に置かれたテープをパソコン通信により遠隔操作して再生し、死後の世界を垣間見るのです。

 発明品が軍の目にとまり、軍との争奪戦が繰り広げられるという話の筋はよくあること、というより定番ですね。こんなところは目をつぶって見ましょう。この映画のキーワードは「メモリー」です。

 この装置を使って見られる映像は基本的に魚眼レンズを使って表現されています。なんにも特殊撮影ではないのに、ただの魚眼レンズがいかにもそれらしく見えてしまうところが話の設定のうまさでしょうか。遊園地、空、海、サーキット、セックスなどの映像が盛り込まれ、すっかり疑似体験させられている感じになってしまいます。えーと、セックスはやはり無理だよねえ。この装置は単に疑似体験するだけでなく、脳に作用して脳を変質させる特性もあるようで、同僚のアレックスがセックス体験で死にかけます。このあたりに洗脳の可能性があるんでしょうね。息子も拷問テープで死にかけたりして、なんか死の匂いがたれ込めています。

 映画の流れの中でひっかかるシーンが2つあります。夜のシーンで背景に星空が見える場面があります。このあたり「生と死」への伏線として挿入されているような気がします。わざわざ入れる必要がないところに入り込んでいますから。ラストシーンには宇宙空間が出てくるのですが、ここと対照されていますね。

 問題の死の体験ですが、近似死体験のレポートで一般的に知られるようになった形に沿っています。当時はまだ一般的ではなかったでしょうが、魂が肉体を離れて天上へと舞い上がります。そして、様々な人生のエピソードが展開されるのです。このシーンは水晶玉が無数に浮かんでいる映像で表現されています。トンネルとか光とかは出てきませんが、このエピソードの海を抜けると、大いなる光へと向かう翼が生えた魂たちがぼんやりと見えてきます。

 死の体験を共有することは死をも共有することになるので、マイケルは死の危険を冒しながら体験することになるのですが、壊れかけた妻との愛を再び再生する力として働くことにもなります。

 最後は妻カレンの呼びかけにより、生の世界へとマイケルは戻ることができるのですが、このシーンはそのまま水晶玉になって宇宙空間を漂っていきます。彼らが体験していた人生は、実は「メモリー」のひとつでもあったのだと暗示しているようです。こういう世界観は、実は yu の好みです。そう、すべては幻想でありながら、やはり愛さずにはいられない人生なのです。ちなみにエンドクレジットの終わりには、「TO NATALIE」と出てきます。ナタリー・ウッドの遺作になった作品なのです。

ナタリー・ウッド作品
 ナタリー・ウッドは34年のサンフランシスコ生まれ。子役から始めた人ですが、「理由なき反抗」「ウェストサイド物語」「草原の輝き」で青春スターとして輝いていました。でも、女優はクレジットのトップに上がらないから損だ。復縁した夫のロバート・ワグナー、そしてちょうど「ブレインストーム」で共演していたクリストファー・ウォーケン、船長の4人でクルージング中、船から行方不明になり、溺死体で発見されました。43歳の若さでした。ウォーケンとは恋愛中で死の3時間前にはバーで二人で飲んでいて、ナタリーは酔っていたようです。また、ワグナーとウォーケンの二人は船上で嫉妬から口論していたということがわかり、ハリウッドではその死をめぐって大騒ぎになりました。この映画はきっとそんな意味での関心で見られたりもしたでしょう。それにしても最後の役柄としては少し寂しかったなあ。

 さて、あなたはあした、どのメモリーを選びますか。


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