プリオシン海岸  星の旅 プリオシン通信


金環日食を待つ

視覚の愉悦


カラスも潮干狩り
カラスも潮干狩り


振り返って見れば「プリオシン海岸」は天文記事を主体として始まったサイトでした。管理人がすっかり忘れています.......(^^ゞ もうずいぶんと天文関係の記事も書いていないんじゃないかな。しかし、インターネット初期とは異なって、天文情報も簡単に手に入る時代になりました。初期は天文情報どころか、日本語のページですら少なかったのですからね。

ですから、もっと便利で詳しい情報が他のサイトにあるのだから、今更こんなちっぽけなサイトで天文現象を書かなくてもと思いますが、さすがに今月の金環日食についてはやはり書きます。あまり金環日食に関心がない方もいらっしゃることでしょう。そんな人にも楽しんでもらえたら。

そして、金環日食という大イベントの陰に隠れている金星についてもお話しします。今回は管理人にも忘れられたコンテンツ「星の旅」とのタイアップです。ついでに、今年に入ってから見つけた、見て楽しむ面白グッズも紹介します。

交差法を楽しむ

今映画の世界で3Dの試行錯誤が続いています。それ以前に3D画像として、ステレオグラムが流行った時がありました。僕もパソコンで作ってみたりしたこともあります。ステレオで見るためには赤と青のセロファンが必要だったアナグリフではなく、いわゆる平行法や交差法を使ってみる方法なので、天然色化が可能になりました。しかし、これがなかなか難しい。

平行法は両目の幅よりも広い画像には対応できないという理論的な限界がありますが、交差法はその限界がありません。僕は平行法はできます。しかし、交差法については抽象的な画像の立体視はできるのですが、何かが写っているような写真は見ることができませんでした。上の画像は交差法で見る画像です。『CG STEREOGRAM』(小学館)からの引用です。

交差法で見る月の立体画像

左の月を右目で、右の月を左目で見ます。そうすると中央に立体の月が浮かび上がることになります。画面から30cmぐらい離れた方が見やすいです。普段やらないことをやるわけですから、簡単に見えなくて当たり前です。立体像は半分ぐらい小さくなります。

交差法ビュワー だれでも交差法が可能になるような補助メガネはないものかとずっと探してきました。平行法メガネはいろいろとあります。しかし、交差法は見つからなかったのです。ところが、先月、とうとう見つけました。「Planet16-16」というサイトで、厚紙で製作できる設計図を掲載してくれています。組み立て式交差法ビュワーです。

このビュワーを使ってのぞけば誰でも交差法で見られるというものではありません。あくまで補助です。しかし、これを使うことによって、今までできなかった僕でも可能になったのですから、きっとかなり有効だと思います。PLANET16☆16さん、感謝申し上げます。

PLANET16☆16
http://www.eonet.ne.jp/~planet16-16/top.html

2010年に「アバター3D・2D」のページで3Dについてはいろいろと考察をして、映画の3Dにはいろいろと問題があることを指摘しました。交差法について問題を言えば、かなり目が疲れます。交差させるという無理なことをやっているわけですからね。しかも、画像がかなり小さく見えてしまいます。これは視線を交差させることによって距離が延びてしまうことに原因があるようです。

大画面2Dか、小画面3Dのどちらを取るかと尋ねられれば、やはり大画面2Dですね。3Dはやはりお遊びです。だから面白いみたいなところもあります。

パノラマを楽しむ

写真撮影でも3Dが話題になることもある昨今ですが、昔はパノラマ撮影が流行ったこともありましたね。パノラマ専用のインスタントカメラ「写ルンです」が売れていた時代もありました。今のデジカメもパノラマモードを装備しているものもあります。

写真も趣味でしたから、パノラマ合成するアプリケーションを今までにたくさん試してきました。僕の場合は風景のパノラマ撮影というよりも、対象から距離を取るスペースがなくてフレームに収まらない時に使うことがほとんどです。だから、合成すると魚眼効果が出ます。こういう画像は風景のパノラマよりも合成の精度が求められます。だから、きれいに仕上げるにはいろいろと面倒でした。

手順が複雑だったり、輪郭は繋がっても色調が合わないとか。しかし、これも最近見つけた Image Composite Editor が見事に解決してくれました。しかもMicrosoft から出ているフリーソフトなのです。

Microsoft Research Image Composite Editor (ICE) とにかくドラッグ&ドロップすればすべて自動でつなげてくれます。つなぎ目の明度も彩度も問題なし。まずは試しに3枚を放り込み、見事連結。

それならばと2×3の6分割で撮影した6枚をドロップしても何事もなかったかのように合成してくれます。隅々まで観察して不整合部分をやっと1箇所だけ見つけた程度です。ドロップする順番も考える必要もありません。これは感動ものでした。PhotoShopでもこんなことはできません。

Microsoft Research Image Composite Editor (ICE)
http://research.microsoft.com/en-us/um/redmond/groups/ivm/ice/

まだ日本語版はありませんが、特に操作も必要なく、しかもネット上で日本語の解説ページが簡単にヒットしますから大丈夫です。

金環日食と金星を楽しむ


金環日食


いよいよその日が近づきました。日本国内では25年ぶりだそうで、1987年9月23日の沖縄以来です。まあ、ほとんどの人が一生に一度ぐらいしか見られないのは間違いなさそうです。これだけ日本の広範囲で観察できるのは平安時代(1080年)以来でもあります。今回は日本海側の人には残念です。太平洋側まで遊びに来てください。次回は30年の北海道だそうですから、僕も今回が見納めです。

すでにみなさんも下調べはお済みと思いますので、どこにお住まいであろうがあまり時間差がでない、日本のほぼまん中にあたる三重県の位置からの図を掲載します。何を言っている、自分の都合じゃないかって?いいえ、金輪際そんなことはありません......(^_^)

三重県北部ではリング出現時は7時30分前後で、上図のような形に見えます。少し右側寄りですが、これぞまさにダイヤモンド・リングという感じです。食分は0.95です。

東京は金環食帯の中央付近なので、食分は0.97でより好条件になりますね。三重県ももう少し南へ下がれば好条件になります。熊野あたりならど真ん中です。それでは三重県北部で欠け始めから終わりまでをシミュレートしてみました。6時17分から10分毎に8時57分までを追いかけます。










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金環日食シミュレート


金環食の時間帯で太陽の高度は約30度です。各地域での時間は下表をごらんください。

地域食の始め金環食時間帯食の終わり食分
東京6:197:32-7:379:030.97
名古屋6:187:30-7:338:570.95
大阪6.177:29-7:318.540.95
高知6.157:25-7:288.490.95
鹿児島6.137:20-7:248.420.95

シミュレートを見ると太陽の左下にシミが見えます。これはゴミではなく、惑星です。やはり金環を追いかけるというシャレで、金星なのです。時間に余裕がある人は、「青空の中の金星」のページを参考に金星の目視に挑戦してみてください。

金星は日食が終わる頃に高度約30度になります。ちょうど金環食時の太陽の少し左側にやってきています。光度-4.4等なので、最大光度の-4.8ほどはありませんが、かなり明るくなっています。ただし、太陽から近いので、探すときに太陽光が目に入らないようにご注意ください。

空は広いので点像を見つけるのはなかなか難しいものです。星空で星座を見つけるのも初心者にはなかなか難しいぐらいですからね。ところが、この昼間の金星をだれでも見られる日がまもなくやってきます。6月6日水曜日に起こる金星の日面通過です。

広い青空ではなく、太陽面から探せばいいわけですから簡単に見つけられます。もっとも裸眼で直視というわけにいきませんけどね。

  右の画像は国立天文台からの引用です。金星の見かけの大きさはこの画像のイメージとほぼ同じです。

外蝕の始まりが午前7時10分前後、外蝕の終わりが午後、13時30分前後になります。近くにある月の金環日食とは異なり、遠くの金星ですから観測場所の時間差はほとんどありません。国内なら1分以内だそうです。金星の日面通過が次に観察できるのは105年後になります。つまりはもうだれも次の機会はありません。

珍しいものを見るのはひとつの愉悦です。しかし、日常の何でもないものが見られることこそ、僕たちが日頃忘れている愉悦です。そんな喜びを忘れていても、日食グラスでしっかり目を守ることだけは忘れないでください。

金環日食も金星の日面通過も、国立天文台のサイトに詳しいガイドがありますから、参考になさってください。

国立天文台
http://www.nao.ac.jp/

暦が終わる時

今年はマヤ・カレンダーでは世界の終末であるという予言がずっと以前から流布されています。ローランド・エメリッヒの映画『2012』制作の契機にもなった説でもあります。僕らの世代はこうした世界の終末予言には免疫ができています......(^_^) 惑星が太陽を周回しているように、暦は12月31日が来ても世界は終わることなく、ただ1月1日に戻るだけのことと僕も考えていました。

マヤ文明については「世界の黄昏」「ティカル国立公園・グァテマラ」のページで紹介していますから参照してください。

先日、マヤの最古の暦が発見されたというニュースがありました。中米グァテマラにある9世紀初期の遺跡の壁画に、月や惑星の周期を計算した暦を米ボストン大などのチームが2010年に見つけたものです。CNNの記事によるとこうです。

最古のカレンダーが見つかった部屋で作業する研究者       遺跡の壁画に描かれた最古のカレンダー

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一帯は30年ほど前に荒らされた跡があったが、さらに発掘を進めたところ、極めて良好な状態で保存されたマヤの王の肖像画が見つかったという。壁画は9世紀初期の家屋のような構造物の天井と3面の壁に描かれていた。家屋はマヤの書記官の仕事場だったとみられ、アーチ型の天井が付いていた。カレンダーとみられる壁画は、点と線を使って月の動きが6カ月の周期で記録されていたという。
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「まだ7千年先がある」と報道したところもありましたが、チームの結論は暦はずっと続くということのようです。一方、東北大学は、今のまま子どもの減少率が進むと、3011年5月には日本の子どもは一人になると発表しました。この発表は暦とは何かを教えてくれてもいます。

人がいるかぎり、暦は続きます。人がいなくなれば、それが暦の終わるときです。僕がそう予言しておきましょう......(^_^)

2012.05

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