プリオシン海岸  プリオシン通信

過冷却

ん〜暑すぎ


七月に「たかが言葉」と書いたけど、子どもの時から耳が悪いせいか言葉は気になる存在。TVを見ていてもせいぜい九割ぐらいしか聞き取れていない気がする。特に声に声がかぶさるとお手上げ。BGMも音が大きいと困る。歌になるともっと聞き取れない。BGMのない歌はまずないからね。あれはBGMじゃない?.......(^^ゞ

邦画のDVDを見ているときは字幕を表示して確認できるので便利です。聞き取れなかった言葉は犬のように状況で判断している。そんな時に返事を求められるとうっかり「ワン!」と言ってしまいそうになる......(^_^)

科学的に言えば誰でもある程度聞き取れていないそうで、視覚情報や過去の経験則から脳が補っているらしいけど、意味の誤用もひどいものらしい。

琴の音色は目に映る風景に似つかわしい時にはとくに気持ちのいいものだけど、「琴線に触れる」という言葉の意味が「怒りを買う」という意味だと解する人が3割を超えるというニュースを聞くと、この言葉は使えないなと思う。使われる文脈からして「怒り」なんてありえないだろ、と思えるような言葉だよ、「琴線」は。そして、

琴の音もいまや遠くに鳴りにけり

なんて川柳でもひねりたくなる。何でも金の世の中、「金銭に触れる」と勘違いしているのかも。イントネーションが違うけど。

かく言う僕自身も、「憮然」も「檄を飛ばす」も間違って理解していた.......(^^ゞ しかし、言い訳をすれば両者とも7割の人が誤用している。辞書には誤用の意味も載せているのもあれば、それは全くの誤りと厳しく指摘しているのもある。7割の人が使っているのに、本来の意味で使えと言われても、かえって誤解されるだけじゃないの。

人の気持ちを理解するのは難しいことだけど、言葉に頼って理解をするのは益々危なっかしい。やはり肌を寄せ合うのが一番でしょうか。しかし、こう暑くてはねえ......フゥ(´o`)

歳を重ねると語彙も増えてくるけど、混同して「舌の根も乾かぬうちに」と「舌先三寸」が絡み合って、「舌の先も乾かぬうちに」なんてことになるようなことも増える。先日は「犀利」という言葉に始めて出会って辞書を引きましたが、まだまだ知らない言葉もいっぱいあるし、外国語どころか母語さえもほとんど知らないままに人は死んでいくんだなあと、間抜けな感慨に浸っていました。

探査機「フェニックス・マーズ・ランダー」下の氷のような物体水の氷
探査機「フェニックス・マーズ・ランダー」
着陸で露出した氷のような物体
氷が溶けた跡
  

6月に火星で氷を発見か?というニュースがありましたが、今度は水の存在を確認したようですね。水と言えば、「水」のページを書き出して、一日で放り出したままになっていますが、NHKの「ためしてガッテン」で放送されたムペンバ効果。科学的に証明されていないために問題になっている様子。

今年も猛暑!お宅の「氷」激ウマ大革命
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2008q3/20080709.html

水よりも湯の方が早く凍る。TVで見て、僕も冷凍庫で試してみたけど、確かにそんな感じ。しかし、いつも冷凍庫が同じ環境である保証もなく、なんの証明にもならない。一方、辞書に不思議という言葉がない科学オタク(失礼)大槻義彦教授はブログでやはり「馬鹿馬鹿しい」と批判してます。

7月 第5回 【ムペンバ効果、再び】
http://ohtsuki-yoshihiko.cocolog-nifty.com/

やはり実験環境に大きく左右される部分があるようで、彼もそれを認めている。しかし、確かにNHKの断定的な放送は問題があるなあ。その一方で、水が物理学の常識をひっくり返している物質であることも常識。賢治の詩にも出てくる「過冷却」なんて、まさに馬鹿馬鹿しい。だけど、これを否定する科学者が一人もいないことも確かなことだ。

生成環境によってマイナス10度でも個体にならない水や金属の存在とは?雲の中ではマイナス40度の水蒸気が存在することだってある。霧氷も過冷却がかかわってできる現象。

過冷却は水をゆっくり静かに冷やすことによって作り出される状態だけど、湯から急速に冷やされるという、また別の時間環境にも何かが潜んでいるようで示唆的に感じられる。大槻教授も過冷却やその他の要因に触れているのに、なぜか断定的に否定する。この姿勢はNHKと同じ......(^_^) 温度ばかりに気を取られすぎなのではないのかな。

大槻教授は亡き宜保愛子批判の急先鋒だったけど、霊の存在はさておき、透視能力のある友人がいる僕にはその能力は自然の一部でしかない。「ナンセンス」と一蹴せずに、その頭を過冷却してちょうだい!

数年前に訪問者さんがマイケル・ファラデーの名著『ロウソクの科学』に触れていたことがある。その面白さを松岡正剛が犀利(^_^)に解説している。その面白さとはまさに科学の面白さ。科学とは不思議から始まるものなのに、まるでこの世に不思議なものはないみたいな大槻教授の「ナンセンス!」の話を聞いたって、ちっとも面白くないぞ。

松岡正剛の千夜千冊
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0859.html

今まで気がついていなかったけど、原題は『The Chemical History of A Candle』と「化学」だったんだねえ。道理で、訪問者さんが当時『ロウソクの化学』と書いたわけだ。自然って面白い。

多くの科学理論はナンセンスを乗り越えて万人に認められた仮説となる。人間の頭から見れば、自然の振る舞いはすべてナンセンス。だから面白い。 そして人間も自然の一部なのだから、人生もナンセンス。

僕が夏に見る夢は八月の過冷却。

2008-08-02 Sat

※【2009年9月追記】
西洋では2000年も前から知られていた効果らしい。現在有力な説として、熱対流が生じている大きなシステムという視点の導入が唱えられている。液体の温度は隅々まで均一な温度で保たれているわけではなく、その温度は平均に過ぎないということになる。湯であれば、上部は高温で下部は低温になっている。要するに温度のムラがある。外気と接している上部は外気との温度差が大きくなるので、速く冷えるようなことが起こりうる。なぜなら、冷める速さは温度差に比例するからです。


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