プリオシン海岸  銀河鉄道の夜ガイド

銀河に鉄道を敷く方法


 銀河鉄道の夜ガイドで説明したように銀河鉄道軌道図をご覧になると、鷲座から琴座へと進むときに白鳥座方向へ戻るかのような軌跡を描きます。これは参照している図法の違いに因ります。賢治が軌道を設定するのに使ったのは星座早見盤です。星座早見盤は正距方位図法が多いようで、独特な湾曲図面です。

 星座早見盤は北方面に近づくほど空間が密になり、南方面に近づくほど空間は広くなります(下のコラム参照)。この図法に慣れるまでは実際の星空で星座を見つけるのが難しいものです。ここに2枚の画像を用意しました。参照してもらいながら説明します。


【第1図】
銀河鉄道の軌道(赤経・赤緯線)


 1枚目は正方形図法で銀河を描いたものです。それに赤経と赤緯線を引いてあります。この画像を銀河鉄道の軌道に沿って視線を流さずに、経緯線(縦線)に従って左から右へと移していくと、星座の順番が白鳥座→鷲座→琴座となっているのがわかります。星座早見盤の図法では天頂周辺に位置する白鳥座や琴座を中心にして、南から西へと広がる星座群なので単純に言えば末広がりの図法になるわけですが、順番としてはこのような形になります。ただし、早見盤は時間を遡る方へ逆回転させていきます。南中する時間が逆になっているのです。西の空にあるのは蠍座なのですから。


【第2図】
銀河鉄道の軌道(高度・方位線)


2枚目も同じ図法で描いてありますが、こちらは高度線と方位線を描きました。日時は1931年8月20日20時にしてあります。琴座が天頂付近にあり、高度と方位の網の掛かっていない地平線下にケンタウルス座や南十字座があることがわかります。日本本土では見えない星座です。北十字である白鳥座から南十字までを、地上時ではなく銀河鉄道時で23時20分から翌朝3時までの3時間40分をかけて銀河鉄道は走っていくことになります。地上時では約30分と想定されます。この想定される時間については「『銀河鉄道の夜』はいつか」のページで説明しています。



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ビクセンの星座早見盤


ビクセンの星座早見盤(枠なし)

 早見盤が手元にない方のために、ビクセン製の早見盤を掲載しました。円盤外周の日付と時間を合わせることにより、楕円形の枠内にその時刻の星空が表示されます。これが日本標準時子午線(東経135度)の明石の星空になりますので、自分がいる場所の経度を修正するとより正確になります。その修正目盛が星座盤には付いています。上が北、下が南です。一般的に円い天球図であれば、東西南北それぞれが90度ずつになるわけですが、星座盤では南方面が広く開けた空間になっているので、東と西の位置はもっと上がり、東←南→西までの角度は約260度になります。楕円の左端は南東になり、右端は南西になります。

 このビクセンの早見盤は20年も前に買ったものです。2007年2月現在でもほとんどデザインが変化していません。それほどに改善の余地がないということでしょう。見た目は他社の製品よりデザインも色遣いも良くない感じですが、過酷な環境での天体観測では具合のよいものです。そんな馬鹿な。紙製品だから夜露や霜に弱い、薄いボール紙なので「しなる」、過酷な環境には弱いではないかと不満の向きもおられることでしょう。しかし、定価はたった420円で、フニャフニャになっても気にならない値段だし、当たり前のことですが買い換えればまた新品です。他社製品1枚分のお金で数枚以上買えます。書き込みも自由自在。欠点に思える薄いボール紙が、実はとても手になじみます。このボール紙のしなり具合が夏の観測には威力を発揮して、団扇にもぴったり......(^_^) 

 盤の下部が箱形になっているので、取っ手にもなるし、手に取れば下がそのまま南になります。盤がまるごと円形だと闇の中でグルグル回して南を確認する必要がありますからね。円盤はギザギザがついた部分がはみ出す形になっているので手袋をしていてもとても回しやすい。そして何よりも薄暗い明かりの中でも、星座や星が見やすいのです。余計な情報を書き込まず、必要な情報のみしっかりと太い線や点で描いてあります。観測しやすい星雲・星団もはっきり印刷してあり、下の画像のように前面の枠を開けることまでできます。地平線の下にどんな星座があるか確認できる仕組みです。 ビクセンさん。安くて使い心地まんてんの製品をこれからもよろしく。でも、やはりデザインと色遣いはもっとキュートにしてほしいという気持ちは否定しません。



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