プリオシン海岸  銀河鉄道の夜ガイド

『銀河鉄道の夜』の改稿表


凡例∇時期や物理的な内容について判断が分かれるようなものについては通説を記すのを基本とします。ストーリーに関するものついては管理人の解釈によるものであって通説ではありません。
∇表内の章立ては第4次稿に基づいていますので、1〜3章がない第1〜3次稿では4章が1章となります。
∇あらすじは変化のあった部分がわかりやすくなるようにまとめていますので、一般的なあらすじとは性質を異にします。


原稿第1次稿第2次稿第3次稿第4次稿
別名
初期形一

初期形二
初期形
初期形三
最終形
時期構想:大正13(1924)年夏
着手:   同年  秋以降
1次稿に近い時期大正14(1925)年秋以降
  〜 大正15年頃
昭和6〜7(1931〜2)年頃
起稿
改稿
[表題不明]
(1)鉛筆下書き
[表題不明]
(2)藍インクで手入れ
(3)青インクで一部清書
[表題不明]
(4)鉛筆で大幅手入れ
  中間に4枚挿入
(5)藍インクで一部再清書
(6)鉛筆で手入れ
[銀河鉄道の夜]
(7)黒インクで手入れ
  冒頭10枚追加
  中間1ヶ所順序入替
  末尾5枚の差し替え
清書
進度
第60葉・賛美歌シーンまで第49葉・検札シーンまで
現存
83枚
15枚26枚67枚78枚半
午后の授業構想なし構想なし構想なし【章の追加:あらすじ
学校で銀河系の構造についての授業を受ける。問に答えられないジョバンニを気遣ってカムパネルラは沈黙する。
活版所構想なし構想なし構想なし【章の追加:あらすじ
放課後、子どもたちの星祭の相談に誘われることもなく、活版所で活字拾いの仕事をする。帰途、パンと角砂糖を買う。
構想なし構想なし構想なし【章の追加:あらすじ
裏町の家へ帰り、父の噂やカムパネルラ父子のことを病床の母と話す。牛乳を貰いに行きがてら星祭りに出かける。
ケンタウル祭の夜原稿なし原稿なし【あらすじ】
町の坂を下りる途中でザネリに「ラッコの上着」でからかわれ怒るとともに、家庭事情から来る自分の境遇を嘆く。時計屋で星座早見を見ても嘆きは続く。星祭りで華やぐ町を通って牛乳屋へ行くが牛乳はもらえない。カムパネルラの境遇に嫉妬する。帰途、ザネリたちのからかいとカムパネルラの振る舞いに傷つき、町はずれへ駆けていく。
途中、小さな川にかかる橋で立ち止まり嘆く。
【変更】牛乳屋はあとからまた来るようにと応対する。
【削除】カムパネルラへの嫉妬
【削除】父のうわさ
【変更】時計屋での嘆きの代わりに星座早見に見入る場面が入る。
【削除】母の病状
【追加】カムパネルラの様子に「向ふにぼんやり橋の方へ歩いて」と付加される。
【変更】烏瓜を流す川に橋が追加され、小さな川とそこに架かる橋が消える
天気輪の柱原稿なし原稿なし【あらすじ】
川にうしろの天気輪の柱がある丘でカムパネルラとの疎遠を嘆く。
(ブルカニロ博士に出会う場面と思しき原稿5枚が不明)
琴の星が蕈のように延びるのを目撃する。

【変更】
牧場のうしろの丘
【削除】カムパネルラを思慕する嘆き
銀河ステ
|シ
ョン
原稿なし原稿なし【あらすじ】
琴の星が三角標の形になってそらの野原に立つ。セロのような声とともに「銀河ステーション」と聞こえ、軽便鉄道に乗車していることに気づく、級長のカムパネルラも乗車していたことを思い出す。汽車の説明をするセロの声を聞く。向ふの席には灰いろのひだの、長く垂れたきものを着たひとがいて、線路のへりではりんどうの花が咲く。
【変更】琴の星ではなく、天気輪の柱が三角標の形になる
【削除】セロのような声


【削除】「級長の」という修飾語


【削除】「灰いろのひだの、長く垂れたきものを着たひと」
北十字とプリオシン海岸原稿なし原稿なし【あらすじ】
カムパネルラが母の幸に想いを巡らし、北十字を通り過ぎる時には「ハルレヤ」の声が起こる。白鳥の停車場で下車してプリオシン海岸へ行き、大学士の化石発掘を見学する。
改変なし
鳥を捕る人原稿なし原稿なし【あらすじ】
鳥捕りが乗車してきて、その仕事に不審を抱く二人に雁の試食を勧める。都合が悪くなると鳥捕りは燈台守とともに不審な素振りを見せつつ、突然下車して川原で鷺を捕まえて一仕事して戻ってくる。
改変なし

ョバンニの切符
「そして青い橄欖の森が見えない天の川の向ふに」の前まで原稿なし。(章の約半分)


























【あらすじ】
孔雀や海豚や渡り鳥を見て旅を続けながらも、女の子と仲良くするカムパネルラを見てジョバンニは孤独を感じる。コロラド高原でインデアンの狩りを目撃し、坂を下った後は空の工兵大隊の発破を見てジョバンニの機嫌が直る。


蝎の火の話を聞いた後、ケンタウルの村へ着く。
(ケンタウルの村に関する記述とも推定される原稿1枚が欠落)
青年一行はサウザンクロスで下車する。



二人で石炭袋を見た後、ジョバンニの誘いに生半可な返事をしてカムパネルラは消える。
やはり自分はひとりであることを悟り、きっぱり決意して立ち上がる。




マジェラン星雲を見ながらみんなの幸せを探すことを誓う。
大犬座の三角標が輝くとまたセロのような声が聞こえてくる。
すると元の丘に戻っており、ブルカニロ博士から実験であったことを告げられるとともに、ジョバンニの決意を励まされて金貨2枚をもらい、ミルクが買える喜びとともに家へと急ぐ。
琴の星はずっと西の方へ移ってまた蕈のやうに足をのばしていた。
「『さあ、』ジョバンニは困ってカムパネルラの眼を見ました。」の前まで原稿なし。(原稿約1枚半分)

【あらすじ】
カムパネルラは切符がないのでもじもじする。ジョバンニが当てずっぽうに車掌に渡した切符が特別だと判明する。鷲の停車場が近づいた頃、鳥捕りの純朴さに触れてジョバンニが鳥捕りの幸を願うと鳥捕りは消えてしまっていた。

その後、苹果の匂いとともに青年に付き添われた三姉妹と弟が現れる。

「うしろの人」が事情を尋ねると父親より先に帰国する途中で客船が沈没したと言う。しばらく遭難の様子を聞いてジョバンニは泪をこぼす。父母を思い出して帰りたいと思うが、セロのような声が慰める。
大きな姉が苹果を身内に渡して食べる。青い森の中の三角標に来るとみんなで賛美歌を歌う。
(後は1次稿に準ずる)
















【削除】「おまへのさいはいのためならば」


















【追加】ブルカニロ博士はジョバンニに改めて切符を渡す
【あらすじ】
アルビレオの観測所を通る時、車掌が検札に現れる。
(後は2次稿に準ずる)

【変更】カムパネルラは自分の切符を持つ。







【変更】3人姉妹はひとりの姉になる。(まだ3人の時の記述が残っている部分あり)
【追加】航路の暗示
【変更】燈台守が尋ねる。
【変更】父親を追って帰国
【追加】青年の宗教的煩悶
【変更】ジョバンニは父を含む多くの海で働く人々を想うようになる。セロのような声は削除され、燈台守の慰めの言葉が加わる。
【変更】苹果は燈台守がみんなに配る。
【削除】童謡や賛美歌の歌詞


【削除】海豚やアラビアンナイトの話題。





【追加】「双子のお星さまのお宮」の話題




【追加】ジョバンニと青年の神さま論争

【変更】カムパネルラから「新らしい力」が消える。

【変更】
ジョバンニが誘う前、野原に母を見つけて消える。
【変更】ジョバンニはカムパネルラの行方不明を嘆き悲しむ。
【追加】セロのような声の主である黒い大きな帽子をかぶった大人が地歴の本を持って現れ、信仰と科学の統合、現象論を語ってからジョバンニを励ます。
【追加】「そのいちばん幸福なそのひとのために!」
【削除】大犬座の三角標

カムパネルラが消えるまではほぼ同じ


















































【削除】黒い大きな帽子をかぶった大人の登場場面






【削除】ブルカニロの登場場面
【差替による追加:あらすじ
丘を下りて牛乳屋で牛乳をもらう。その後、マルソからカムパネルラの行方不明を聞き、河原に急いで下りるとカムパネルラの父がいた。ジョバンニの父の帰還を伝えられ、明日子どもたちと一緒に訪問するよう誘われる。胸がいっぱいになり母の元へ一目散に駆けていく。
草稿
メモ
 ▪ カムパネルラをぼんやり出すこと、カムパネルラの死に遭ふこと、カムパネルラ、ザネリを救はんとして溺る。(第78葉:1次稿末尾)
 ▪ カムパネルラの恋(第78葉の裏)
 ▪ 苹果の匂のする前に天上の燈台守来ること必要なり 連 青年 妹、 弟(第67葉:3次稿の挿入原稿 = 「双子の星」での会話部分)
 ▪ ベートーフェンの幻想を(第11葉:3次稿冒頭)
 ▪ 要挿画!(第11葉)
別紙
メモ
(「ジョバンニ」を訂正して)カムパネルラ 少女とひわやいんこをかたる。黒衣の歴史家があやしい歴史の著述を示す。青年白衣のひととポウロについてかたる。青年まづ影を没する。同船者おのおのの経路をゆく。ジョバンニ車中に一人残る。開拓功成らない義人に新しい世界現はれる。

・草稿1〜4次稿のテキスト比較については比べっこ『銀河鉄道の夜』をご覧ください。
・改稿の考察については「原作の考察」をご参照ください。


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