「シネマ短評」のトップを表示します


2015年05月


☆☆☆○○
メイズ・ランナー 邦題 メイズ・ランナー
原題 The Maze Runner
制作 2014年 上映 113分
監督 ウェス・ボール 地域 アメリカ
アメリカのヤングアダルト小説を原作にした映画はどれもパッとしません。なぜベストセラーになっているのかよくわからないストーリーです。どれもテレビゲーム要素があるという点が共通でしょうか。その点ではこれがもっともゲーム要素が高そうです。
3部作の第1部ということなのですが、閉じられた世界で外部から監視されているというのは近頃よくある設定です。アメリカのテレビドラマ『LOST』(2004-2010)に似た雰囲気が漂いますが、今作は少年漂流記みたいなものでサスペンスとかミステリー的な面が弱いです。小説としては少年漂流記的なところがおそらく受けるのでしょう。しかし、SF的な興味から言えば、一番重要な迷路が魅力に欠けます。


☆☆☆○○
チャッピー 邦題 チャッピー
原題 Chappie
制作 2015年 上映 120分
監督 ニール・ブロムカンプ 地域 アメリカ・メキシコ・南アフリカ
前監督作『エリジウム』(2013)がつまらなかったせいか、先祖返りした感触があるSF作品です。『第9地区』(2009)のエイリアン・キャラを警察ロボット・キャラに置き換えたような設定で、『第9地区』の独特な雰囲気は引き継がれています。それぐらいしか見るべきものがありません。
ロボットがモチーフというよりは人工知能がモチーフですから、やはり「僕って何?」的な話が出てきます。また、肉体と機械の問題も追及されますが、両者の相克というよりは機械の永続性が楽天的に選ばれています。SFとはいうものの、科学的な視線でこの作品を眺めれば、まったくデタラメと言っていいほどの展開ですから、ロボット・ファンタジーと考えた方がよさそうです。また、ロボットの動きはモーション・キャプチャーによるものだと思われますがそのままではあまりに人間的すぎるので、編集を加えてもっと機械的な動きをつけた方がリアルになったことでしょう。
登場する知性のかけらもない汚らしいファッションのギャングはラップ・バンドが演じているそうですが、ロボットのデザインも含めて古くさいステレオタイプなのも興を削ぎます。脇役のヒュー・ジャックマンはぱっとしない悪役、シガーニー・ウィーヴァーはつまらない経営者となって出演しています。ヒュー・ジャックマンが操縦する兵器ロボは『ロボコップ』(1987)に登場した二足歩行の治安ロボED209をほうふつとさせるデザインで、やっぱりロボコップがヒントになったのかなと思わせます。


☆☆☆○○
ラン・オールナイト 邦題 ラン・オールナイト
原題 Run All Night
制作 2015年 上映 114分
監督 ジャウマ・コレット=セラ 地域 アメリカ
リーアム・ニーソンは最近出演しまくりです。しかもアクションで活気づいていますが、どうなんでしょう。今作は『96時間』シリーズの対角線に設定を持ってきています。元秘密工作員でボディガードだったのから今回はマフィアの殺し屋。仲の良い娘の救出だったのから仲の悪い息子を助ける。追跡だったのから逃亡に。なんともわかりやすい逆構図です。
後はいつもの展開が待っています。ボスから追われる、警察も信頼できない。殺し屋が現れる、反撃に出る。つまりは、リーアム・ニーソンのガンファイトを見る。これに尽きます。


☆☆☆○○
群盗 邦題 群盗
原題 군도 : 민란의 시대        英題:Kundo : Age of the Rampant
制作 2014年 上映 137分
監督 ユン・ジョンビン 地域 韓国
圧政と義賊が活躍する世相を背景に悪徳武官チョ・ユンに母と妹を殺された屠畜人トルムチ(ハ・ジョンウ)が復讐を果たす話です。韓国版西部劇という演出になっていますが、西部劇や中国のアクション映画のシーンを巧みに取り込んでいます。その意味ではアクション・シーンに既視感があります。
義賊の登場人物は何人も登場していろいろと個性もあり面白いのですが、権力側は悪徳武官(カン・ドンウォン)が最強の剣豪なので他に魅力のあるキャラがいません。この悪徳武官の生い立ちもありきたりで共感を呼びませんし、あまりに剣が立ちすぎてドラマが成立しなくなっています。要するに権力側にもっと深みのある背景を準備していれば面白くなったと思うのです。群像劇としての面白さがあっただけに惜しいです。カン・ドンウォン人気のために彼の出番をたくさん用意することでかえって失敗しています。ファンにはそれがいいのでしょうけれど。



プリオシン海岸トップへ