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2014年11月


☆☆☆★○
フューリー 邦題 フューリー
原題 Fury
制作 2014年 上映 135分
監督 デヴィッド・エアー 地域 イギリス
「たった5人で、300人のドイツ軍に挑んだ男たち」という惹句は嘘ではないけれど、なんか違う。下の作品同様にちょっと裏切られた感じです。「ブラッド・ピット最高傑作」という惹句も「本気ですか?」と思う。反戦ものではなくてタンクが主役となる戦争アクションものかと思ったりしましたが、タンクが活躍する前半はかなり厭戦気分を醸しています。そしてタンクがタンクでなくなったところから兵士五人の活躍が始まるというもので、動くタンクが活躍する場面は主場面ではありません。こういうドラマはかつてのTVドラマ『コンバット』を思い出させます。しかし、『フューリー』にはそれだけのリアリティがありません。
逃げ出すぐらいならタンクと運命を共にする。自分たちが捕虜を殺すのは当たり前だから、自分たちが捕虜になることも許されない。まるで日本軍の思想そのものみたいな行動原理の車長のウォーダディー。必死の状況に陥ることになるのに、ウォーダディーに従うことになる部下たちの心理がきちんと描かれていないため、まるで無謀な闘いに身を投じる軽薄な登場人物たちに見えてしまいます。そんな闘いにろくな作戦がないことは言うまでもありません。それが戦争というものだというなら、これはそういう作品なのでしょう。戦争とは理性を捨て去る不幸です。だからこそ「Fury」(激怒)というタイトルなのでしょうか。


☆☆☆☆○
インターステラー 邦題 インターステラー
原題 Interstellar
制作 2014年 上映 169分
監督 クリストファー・ノーラン 地域 アメリカ
超大作感の漂うCMが流れていましたが、感触はこのポスターのようなもの。惑星上を歩くポスターではなく、こちらを選びました。Interstellar とは星間という意味。この作品では惑星と惑星の間ということになるでしょうか。「ダークナイト」も「インセプション」も大作でした。今作はワームホールまで取り上げられるので、あれらを上回る壮大な展開になるのかと思いましたが、まったく外れ。むしろ狭苦しいぐらいの「間」です。CG満載のこってり料理ではなく、御茶漬けさらさらのようなSFです。しかし、こういうSFも面白いです。
SFとしてのリアリティは薄めです。危機的な地球からの脱出先となる惑星を探す冒険であるにもかかわらず、ここには嘘が紛れ込んでいたためにSFというよりはドラマに重点が移ることになります。豪華キャストによる人間模様を眺めるような作品です。正味2時間半は長いので、2時間ぐらいが適当だったのでは。


☆☆☆○○
西遊・降魔篇 邦題 西遊記 はじまりのはじまり
原題 西遊・降魔篇  英題:Journey to the West: Conquering the Demons
制作 2013年 上映 110分
監督 チャウ・シンチー(周星馳) 地域 アメリカ
西遊記のメンバーが揃うまでのお話です。出だしがとてもいい。少女の泣き笑い演技のうまさの引き込まれ、そこからアクションとコメディとオカルトが混沌と混ざり合って展開してセンスがいい。しかし、それも前半まで。
後半にはいるとアクション度は下がり、コメディ色が強くなって、それもセンスが悪い。『少林サッカー』の悪い面が出てきています。
コンセプトは面白いし、恋愛という個人的な愛も仏の愛の一つだと喝破して悟りを開くところも粋だし、いい話なんですどね。惜しい。
日本のTVドラマ『Gメン75』のテーマソングが玄奘を初めとする西遊記のメンバーが一列に揃って歩き出すシーンで流れます。ドラマのタイトル通り、75年のドラマだったでしょうか。聞くだけでワクワクするテーマです。



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