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2014年10月


☆☆☆★○
愛しのゴースト 邦題 愛しのゴースト
原題 Pee Mak Phrakanong
制作 2013年 上映 113分
監督 バンジョン・ピサヤタナクーン 地域 タイ
「プラカノーンのメーナーク」というタイではだれでも知っている怪談をモチーフにしたタイ版ゴースト・ストーリーという趣きなので、コメディタッチになっています。こんなに男どもがきゃーきゃー悲鳴を上げる作品も珍しいです。
内戦から五人の戦友たちが村に帰ってから起こる騒動を描いていきますが、この五人のキャラが生き生きしていて楽しいです。しかし、肝心のヒロインがあまり魅力的に描かれていないのが残念。CGに頼らず地味な演出で通すところは好感を持てるものの、映像が稚拙なのでもっとカメラに工夫を凝らしてもらいたかったところです。戦場シーンも不要。帰郷シーンから始めて盛り上げて欲しかったものです。
股のぞきによって幽霊判別ができるという設定がうまく活かされていて、小舟の上で股のぞきするシーンは傑作です。ありえない結末を新鮮として歓迎するか、悲劇ロマンスが台無しとするかは人によりけり。とにかく楽しめる作品です。


☆☆☆★○
イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所 邦題 イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所
原題 If I Stay
制作 2014年 上映 107分
監督 R・J・カトラー 地域 アメリカ
音楽と俳優陣はいい。物語は普通。あとは演出しだいという作品でしょうか。たまに光る演出もあるのですが、全般的につたない感じです。ですから、俳優陣の頑張りどころはアップで演技するところになります。
チェロ奏者を目指すミアの家族が自動車事故でみんな死んでしまい、ミアも昏睡状態。身体から抜け出した幽体が過去を回想し、彼女を見守る人々の思いを受け入れながら生か死のどちらを選択することになるのかを見る作品です。
恋愛と家族愛の二つ、過去と緊迫した現在という時間もふたつ。これをうまくさばくことができなかったようで、なかなか集中できません。クロエ・グレース・モレッツの長髪は目障りで、幽体が髪が度々髪を掻き上げるのも良くない。幽体の影や白い息ぐらいは消してもらいたかったものです。裸足で歩き回る幽体のお陰で、ベッドに横たわるミアの身体がほとんど物体にしか見えなくなってきたのは僕だけでしょうか。ベッドのミアにも温かい血を流してもらいたかったと思います。クロエ・グレース・モレッツもずっと裸足で身体が冷えたことでしょう。
それでも標準作以上の評価にしたのは俳優たちの演技を楽しむことができたからです。ステイシー・キーチのじいさん(Gramps)役を見れて良かったし、クロエ・グレース・モレッツのチェロ演奏の運指がリアルでした。もちろん僕はチェロ演奏のイロハも知りませんけどね。だって、セロ弾きはゴーシュしか知りませんから。


☆☆☆○○
荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜 邦題 荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて
原題 A Million Ways to Die in the West
制作 2014年 上映 116分
監督 セス・マクファーレン 地域 アメリカ
ぬいぐるみのテディベアを親友とする主人公の騒動を描いた『テッド』(2012)は僕には普通作でしたが、今作の西部劇コメディは豪華メンバーの割にはパロディ色が強く、『テッド』ほどの独創性もありません。
しかし、その欠けた独創性の中にも、邦題のように時代と場所が自分に合わないという現代的な感性には共感を覚えるところもあることでしょう。宮沢賢治にも通じる悩みです。
インディアンのドラッグによって見る幻想のシーンが一番面白かったので、こんなシュールなシーンばかりで描いたらさぞや楽しそうと思ったくらいの普通作です。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)のシーンも出てきますからお見逃しなく。


☆☆○○○
Under the Skin 邦題 アンダー・ザ・スキン 種の捕食
原題 Under the Skin
制作 2013年 上映 108分
監督 ジョナサン・グレイザー 地域 イギリス・アメリカ・スイス
スカーレット・ヨハンソンのエイリアンということだから見ましたけれど、予想通りに期待できない作品でした。邦題の「種の捕食」なんていうのは全く合わないです。エンターテインメントの要素は低く、音も含めて実験映画のよう。シュールな映像を時々織り込んで、監督の意図がわからないわけではないけれど、とにかく退屈。しかし、今までにないエイリアンものという点では新鮮です。



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