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2014年02月


☆☆☆☆○
ダラス・バイヤーズクラブ 邦題 ダラス・バイヤーズクラブ
原題 Dallas Buyers Club
制作 2013年 上映 117分
監督 ジャン=マルク・ヴァレ 地域 アメリカ
実話物で、エイズ治療薬をめぐる話です。最近アメリカでは病気の治療をめぐる実話物がよく作られている気がしますが、これはちょっと今までとは違う立場から描かれた作品です。
人間というのは自分が置かれた立場から思想を紡ぎ出すものですが、それゆえになかなか自分を変えられない。でも、逆に言えば立場が変われば人間は変われるとも言えます。
ルールを尊重していたら命を落とすことになる中にあって、悪と善と差別と愛が渾然となって展開していく物語は善意だけの物語より何倍も魅力的です。マシュー・マコノヒーの、そしてジャレッド・レトーの代表作の1本となることでしょう。


☆☆☆○○
キック・アス ジャスティス・フォーエバー 邦題 キック・アス ジャスティス・フォーエバー
原題 Kick-Ass 2
制作 2013年 上映 99分
監督 ジェフ・ワドロウ 地域 アメリカ・イギリス
脚本も監督も交替した第2作です。期待はずれでした。方向性が見えなくなってしまった感じでしょうか。第1作目はキック・アスのアイデンティティが暴力の痛みとともに描かれて深みがありました。今作はまるで順番ですと言わんばかりにヒット・ガールのアイデンティティという味付けがなされて、これが実に安っぽくて、同年制作の『キャリー』 (2013)の一場面かと勘違いするようなシーンまであります。演じているクロエ・グレース・モレッツもそう思ったのではないでしょうか。
主演しているアーロン・テイラー=ジョンソンのキック・アスも多くの登場キャラの中に埋もれて魅力を失っています。「キック・アス」という名前のヒーローはどういうヒーローになろうとしたのかという問いに答えられていません。


☆☆☆★○
大統領の執事の涙 邦題 大統領の執事の涙
原題 The Butler
制作 2013年 上映 132分
監督 リー・ダニエルズ 地域 アメリカ
『大統領の理髪師 』(2004・韓国)があって、『大統領の料理人』 (2012・フランス)もあり、『私が愛した大統領』(2012・アメリカ)は愛人の話でした。大統領は話題になります。今度は執事の話。邦題はそこに涙付き。
ホワイトハウスの執事がみんな黒人だったとは知りませんでした。ここが今までの大統領ものとは視点が異なる要因です。一代記なのでやはり駆け足になった感じは拭えませんが、大統領云々よりも執事の家族愛に焦点が合わせられた展開になりますから、その背景には言うまでもなく差別からの解放を目指す社会運動が描かれることになります。
執事という仕事が見ざる聞かざるを信条とする上に国家に奉仕しているわけですから、映画の展開としては転がすのが難しいです。大統領たちの信頼を得たと言われてもあまりよくわからなかったし、実話に基づくものの家族のドラマとしてはアメリカではよくある話です。アメリカの時間的には浅い歴史が濃密な時間であったことはよく伝わってきます。



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