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2013年01月


☆☆☆☆★
ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 邦題 ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日
原題 Life of Pi
制作 2012年 上映 127分
監督 アン・リー 地域 アメリカ
ヤン・マーテル原作の映画化です。まずはこの物語が素敵です。水を軸にして、哲学的な出だしから海洋アドベンチャーが展開し、ウイットを織り込みながら神秘譚へと昇華していくという見事な展開。そして映像が素晴らしく、次から次へと目を見張る場面が繰り出されます。すごい。美しい。見る前まではインド映画かなと思っていましたが、こんな映像はアメリカでないと作れないです。
作品の半分はほとんど言葉にはできないような映像ですから、どういう脚本になっているのか読んでみたいものです。しかし、この映像の大半は現実の撮影ではなく、作り込んでいるものです。イメージが豊か。アン・リー監督、がんばってくれました。
物語は主人公パイの成人後の役イルファン・カーンの語りにサンドイッチされた形の回想シーンになっています。最近フランス国籍を捨てたジェラール・ドパルデューがチョイ役で出てきます。不思議なキャスティングです。何回も見て楽しめる作品がひとつ増えました。


☆☆☆★○
明日の空の向こうに 邦題 明日の空の向こうに
原題 Jutro bedzie lepiej     英題:Tomorrow Will Be Better
制作 2010年 上映 118分
監督 ドロタ・ケンジェジャフスカ 地域 ポーランド・日本
3人のストリート・チルドレンの冒険ではなく、日常の延長線のようなロシアからポーランドへの国境越えを描く一種のロード・ムービーです。ドキュメンタリータッチで、話の筋はあってないようなもの。
カメラはほとんど寄りで、背景がボケるほどの望遠で子どもたちの表情をゆっくりと追い続けます。演技は自然でカットもほとんどなし。音楽の使い方も素朴そのもの。こういう作品は退屈してくるので好きじゃありません。この作品はこの調子で2時間だし。 なのに評価が高いのは、タイトルとは裏腹に子ども時代の悲しみを思い出すからです。この子どもたちの境遇は僕とはまったく無縁ですが、なぜか子ども時代の悲しみが蘇ってくる。あの頃、僕は明日の希望を信じていたとは思いませんけれど。


☆☆☆★○
狼たちのノクターン 邦題 狼たちのノクターン <夜想曲>
原題 大追捕      英題:Nightfall
制作 2012年 上映 108分
監督 ロイ・チョウ 地域 香港
原題、英題、邦題の3つがバラバラ。邦題の意味不明タイトルは70年代ぐらいのノリでしょうか。期待せずに見ましたが、ニック・チョンがなかなか良かったです。サスペンスとしては標準作で、犯行の偽装手口とか、唐突なガラス張りのロープウェー・アクションとかお粗末なところもあります。しかし、20年服役していたウォンと、出所後に新たな運命に出会ってしまうウォンが泣かせます。


☆☆☆★○
人生、ブラボー! 邦題 人生、ブラボー!
原題 Starbuck
制作 2012年 上映 110分
監督 ケン・スコット 地域 カナダ
精子バンクが引き起こす「父親」問題を扱ったコメディドラマです。原題はその精子提供者の仮名です。邦題は意味不明ですが、映画の雰囲気はつかんでいます。
142人もの子どもたちから身元開示の裁判を起こされて慌てふためくものの、しだいに子どもたちに関心を持ち始めて身元を隠したまま彼らの人生にまで係わっていく姿を通じて、主人公が成長して精神的にも父親になっていく姿を見つめる作品です。
厳しい現実的な問題には深入りせず、ほのぼの系で楽しい作品です。しかし、感動もほのぼの止まりになります。


☆☆☆★○
アルバート氏の人生 邦題 アルバート氏の人生
原題 Albert Nobbs
制作 2011年 上映 113分
監督 ロドリゴ・ガルシア 地域 アイルランド
なんとグレン・クローズはこの舞台を30年もやっていたそうで、今作は脚本、製作、主演に名を刻んでいます。最近は彼女を見ていませんでした。ステップフォード・ワイフ(2004年)以来でしょうか。
19世紀のアイルランドで、不倫の子として生まれ、孤児となり、女として傷つけられて男装して生きる他なかった女性の不遇の人生を描く作品です。グレン・クローズがメイキャップしているメイキングがネットで公開されています。化けるのって楽しいでしょうね。俳優になる最大の利点です。
しかし、年はとってもやはり女性ですからアルバートは女性に見えます。グレンの声も声色を使っても女性です。ところが不思議なことに、作品の中で一度だけアルバートが女装をする場面があります。これが女に見えない。しかし、女でいられることの喜びが表現されるようになると女に見えてきます。
同じく男装して生きるヒューバート・ペイジをジャネット・マクティアが演じています。彼女もかなりメイキャップしているはずです。いい演技です。最近では『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(2012年)で見ました。なんと『星の王子さまを探して』(1995年)にも出演しています。
アルバート・ノッブスはあまり表情を出さない役柄なので、『アンドリューNDR114』のロボットを思い出してしまいました。このロボットはロビン・ウィリアムズがモデルになっていました。こんなことを書くとグレン・クローズに叱られますね。
この作品はやはり舞台の香りがします。映画としては物足りない。映画は時空を飛び越えることができるので、もうすこし物語に広がりがほしかったと思います。
アルバートのささやかながらも大きな夢は叶うことなく、露と消えていきました。しかし、彼女が踏み出した一歩がすべて消えてしまったわけではなく、それは他者の中へと受け継がれていることに僕たちは気づくことになります。アルバート・ノッブス氏の人生は孤独でしたが、彼だけの、いえ彼女だけの人生で終わらなかったと思いたいですね。
個人単位で見れば人生はまるで不公平ですが、もう少し範囲を広げて、家族、友人、知り合いと対象を広げていけば、少しはバランスが取れているのかもしれません。


☆☆☆○○
テッド 邦題 テッド
原題 Ted
制作 2012年 上映 100分
監督 セス・マクファーレン 地域 アメリカ
子ども時代に生きたテディベアと出会った主人公ジョン・ベネットが、いつまでも子どものままで恋人から愛想を尽かされる騒動を軸にしたコメディです。テディベアの声は監督自身。アメリカお得意の下品なジョークが出てきますが、テディベアにこんなことさせてもいいのでしょうか。ドラえもんに下ネタさせるようなもんだと思うけれど、それは勘違いでしょうか。
主演のマーク・ウォールバーグは童顔で適役だったかもです。恋人役はミラ・クニス。『ブラック・スワン』(2010年)以来です。『フラッシュ・ゴードン』(1980年)のサム・ジョーンズがあの作品の音楽やシーンとともに登場してきます。カメオ出演でトム・スケリット他の俳優も登場。テディベアの動きもなかなかいいし、楽しく見れる作品です。 ただし、これでデートはおやめください。あんたも子どもだよねと彼女に責められます。
クライマックス前までは一応大人向けの展開になっていたのですが、クライマックスからはファミリー映画的展開になってしまい失速。ウイットとペーソスを期待していたのに残念でした。


☆☆☆○○
エンド・オブ・ザ・ワールド 邦題 エンド・オブ・ザ・ワールド
原題 Seeking a Friend for the End of the World
制作 2012年 上映 101分
監督 ローリーン・スカファリア 地域 アメリカ
SFとは言うにはおこがましいけれど、ロマンティックなドラマにコメディ色をまぶした作品です。小惑星マチルダの破壊作戦が失敗して人類の滅亡まで残された時間はあと3週間。妻に去られたドッジは隣家のペニーとともにそれぞれの目的を果たすために車で旅立ちます。いまだにアメリカでは廃れないロード・ムービーです。
隕石による地球危機という作品はいろいろありますが、似ているのは『ディープ・インパクト』(1998年)でしょうか。似ているといっても、本作にはSF的なシーンは一切ありません。そして、設定が異なるのは本作は本当に滅亡するということです。安全な場所を求めて逃げるという必要はまったくありませんからロード・ムービーになり得るわけですね。
主人公スティーヴ・カレルとその父親マーティン・シーンの設定も、『ディープ・インパクト』でティア・レオーニが演じたレポーターとその父親マクシミリアン・シェルの設定と似ています。そして、ドッジとペニーの目的はやはり愛する人とともに最期を迎えたいということですね。そういう意味では非常にノーマルな展開と言えます。掘り下げたら面白くなるようなエピソードも出てくるのですが、掘り下げてシリアスな方向へと展開しません。
『メランコリア』(2011年)も同様ですが、地球滅亡という設定はどうにもリアル感がないために共感するのが難しいです。スティーヴ・カレルとキーラ・ナイトレイの一風変わったロマンスを楽しむということになりましょうか。


☆☆☆★○
東ベルリンから来た女 邦題 東ベルリンから来た女
原題 Barbara
制作 2012年 上映 105分
監督 クリスティアン・ペツォールト 地域 ドイツ
1980年夏の東ドイツが舞台ということです。そう言われなければ、独裁国家ならどこでも当てはまるような設定です。西側への移住を却下されて田舎へ左遷されてきた女医バルバラが監視の目をかいくぐってなおも西側へ逃げようとする話なのですが、これはエンタテインメント系のサスペンスでしょうと思うところがそうではなくて、シリアス・ドラマなんですね。
西側にいる恋人との関係はあまり描かれずに、同僚医師アンドレとの関係の方が比重が高い。そして、その二人の真摯な仕事への姿勢や患者への深い思いが描かれていきます。そして結末は予想外の展開となりますが、それまでにそうならざるを得ないバルバラの人間性が描かれているので、それがとても自然に感じられます。
政治的な自由とは精神的な自由とも深い関わりがありますが、それでも人にはもっと大事な自由があることをバルバラは知っていたようです。それは一連の出来事を通じてわかったのではなく、もともと彼女に備わっていたものだと思えます。
強い風の中をバルバラが孤高に自転車で走る風景が印象に残る作品です。


☆☆★○○
フリーランサー NY捜査線 邦題 フリーランサー NY捜査線
原題 Freelancers
制作 2012年 上映 96分
監督 ジェシー・テレロ 地域 アメリカ
ニューヨーク市警の汚職と孤立しながらも戦う刑事ものと言えば、アル・パチーノの『セルピコ』(1973年)から始まりたくさん見てきましたが、これもその1本。ロバート・デ・ニーロとフォレスト・ウィッテカーを敵に回してカーティス・"50 Cent"・ジャクソンが制作・主演です。新味は出せるのか?
新しいところはあります。新人警官3人がそれぞれデンゼル・ワシントンの『トレ―ニング・デイ』(2001年)みたいに悪に染められていく始まりから、麻薬組織まで取り込んでの親父の復讐とか、単純なストーリーではなくて、いろいろと組み合わせたドロドロ劇になっています。こういうのはエンターテインメントではなくて、かなりリアルな話になるわけですが、次から次へと殺人が行われても逃げ隠れするわけでもなく、まるでニューヨークは無法地帯なのかというぐらいに現実性がありません。
話はなかなか転がり出さないし、中盤まで退屈。これなら新人警官3人が結束して警察の大掃除をやるというエンターテインメントの方が面白かったと思います。


☆☆★○○
トリプルタップ 邦題 トリプルタップ
原題 槍王之王      英題:Triple Tap
制作 2010年 上映 118分
監督 イー・トンシン 地域 香港
「勝つのは刑事か、容疑者か」というキャッチコピーではもう話の展開も結末もわかったようなものですが、実際それは裏切られません。トリプルタップとは同じ位置に3連続で命中させることです。弾痕がほぼ1つに重なるわけですね。
投資ブローカーのクワンと警部チョンは射撃の競技会で優勝を競った仲ですが、債券輸送車の強奪事件をめぐって対立していく関係になる話。出だしはテンポ良く滑り出しましたが、中だるみする展開となり、ラストに近づくともうメチャクチャです。
付いていけませんでした。


☆☆○○○
ロンドンゾンビ紀行 邦題 ロンドンゾンビ紀行
原題 Cockneys vs Zombies
制作 2012年 上映 88分
監督 マサイアス・ヘイニー 地域 イギリス
なにやら楽しそうな邦題ですが、ロンドンの名所めぐりをさせてくれるわけではありません。邦題を考える人の気持ちが理解できません。「ロンドン子たち対ゾンビ」では客が呼べないという気持ちは理解できますけれど。だったら、こんなのやめてもっと別の作品を売ればいいのに。
実際は原題通りの内容です。ロンドン子たち(Cockneys)対ゾンビ、そして老人たちも参戦という感じ。老人ホームの資金集めに銀行強盗をやり、その一方でロンドンがゾンビに襲われて、ホームから老人たちを救いだすという展開です。
新味は何かと言えば、ゾンビとモウロク老人は競争相手としては互角になるということでしょうか。失礼.....m<_ _>m まともに歩けないし、窓ガラスも割れないゾンビですから。
中身は何もありません。若者と老人が仲良く射的ゲームをやっています。


☆☆☆★○
LOOPER ルーパー 邦題 LOOPER ルーパー
原題 Looper
制作 2012年 上映 119分
監督 ライアン・ジョンソン 地域 アメリカ
ずいぶん前評判は良かったのですが、近頃のブルース・ウィリスは面白くないし、あまり期待薄。実際見たところジョセフ・ゴードン=レヴィットはなかなか役に合っていました。しかし、タイムトラベル設定は安っぽいし、SF的な映像もほぼなしなので、サスペンスを楽しむ作品です。
オーメン(1976年)とか、ターミネーターとか、Xメンとか、いろんな作品を取り込んで作られた作品です。それにしてもSF作品と言えば追いかけっこになってしまうばかりで、最近はつまりません。ブルース・ウィリスがまるでターミネーターか!というぐらい強いし、掘り下げがない女関係とか、いろんなところで筋や演出が雑ですね。しかし、子役のピアース・ガニォンの面構えはたいしたもの。まったく映画向きの顔です。
編集の仕方にも不満があって、同じ場面を別の時間・視点から見直しさせられるのが鬱陶しい。そんな解説の仕方をしないで、すっきりと見せてもらいたかったものです。なんにせよ骨格は『ターミネーター2』でしょうか。『ターミネーター』はそれほど面白かったということですね。『LOOPER ルーパー』の結末もやはり『ターミネーター2』を思い起こさせます。
随分けなしているのに☆3つ半とは如何? それに答えれば、単なる辻褄合わせのサスペンスではなく、情感がともなう展開と絵があったからです。人は短い人生において、この世界に何を循環させて去って行くのか、悪人の一人である自分もふと考えてしまいます。


☆☆☆★○
ドラゴン・イン 新龍門客棧 邦題 ドラゴン・イン 新龍門客棧
原題 新龍門客棧     英題:Dragon Inn
制作 1992年 上映 104分
監督 レイモンド・リー 地域 香港
下の作品で気になったので早速見てみました。怪作です。『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』のアクションが荒唐無稽になるのもやむを得ないかなと思わせます。弓の矢が人を追いかけていったり、砂に埋まったまま人が走るのにはびっくりです。まるで、『トレマーズ』(1989年)です......(^_^)
『ドラゴンゲート』はこの作品の後日譚という設定になっているようです。やはり、こっちの方がずっと面白いです。幻の都市なんてありませんから、宿という核がきちんとあり、しかも宿の女主人という核となる人物が存在します。『ドラゴンゲート』はそれがないから散漫になってしまっています。
ツイ・ハークはこの作品では制作と脚本にかかわっています。なのに、なぜ監督になるとそれを壊すようなことをしたんでしょうか。
しかし、この作品では演技がみんな稚拙です。悪役である宦官ツァオを演じるドニー・イェンも鉄仮面のごとく一枚きりの表情でつまりません。その中で女主人シュンユクのマギー・チャンだけは生き生きとした演技を見せて魅力的です。
明らかに西部劇を意識しているのがわかります。色も恋もあり、時に美しいシーンも見せてくれます。惜しいのはBGMと効果音が過剰で、映像を損ねていることですね。これがなければもう少し評価できました。もともとのオリジナルである『残酷ドラゴン・血斗!竜門の宿』(1967年)が傑作と言われているので、見てみたいものです。


☆☆☆○○
ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝 邦題 ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝
原題 龍門飛甲     英題:Flying Swords of Dragon Gate
制作 2011年 上映 121分
監督 ツイ・ハーク 地域 中国
下の『大魔術師Xのダブル・トリック』に続いてジョウ・シュンが似た役回りをしている作品です。下の作品にはツイ・ハーク監督も主演していました。
『残酷ドラゴン・血斗!竜門の宿』(1967年)をリメイクした『ドラゴン・イン』(1992年)が下敷きになっています。どちらもまだ見たことがないのですが、リメイクされるだけあって宿を舞台にした駆け引きが面白い話です。美しい砂漠と多彩な俳優陣も楽しいです。しかし、盛り上がりに欠けます。アクションが現実離れしていて、興醒めしてしまうんです。
3Dが売りなので、「空飛ぶ剣」どころか俳優も飛びまくりです。3DはどうしてもCGが増えてしまうためにアクションに迫力がないというよりは、マンガになっています。
幻の都市の秘宝探しというアドベンチャーでもあるのですが、その要素はほとんどありません。宿屋と幻の都市を舞台にしたアクション作品ですね。
幻の都市の登場場面も幻の都市自体にも魅力がないので、ここもマイナス点です。そもそも幻の都市なんていりません。3Dのために他を犠牲にしてしまった作品でしょうか。ジェット・リーの魅力も霞んでいます。
上の『ドラゴン・イン』のコメントも参照してください。


☆☆☆○○
96時間 リベンジ 邦題 96時間 リベンジ
原題 Taken 2
制作 2012年 上映 92分
監督 オリヴィエ・メガトン 地域 フランス
『96時間』(2008年)の続編です。今回はタイムリミットがないので、無意味な邦題になってしまいました。副題通りの内容で、人身売買組織の復讐で物語は始まります。 今作もリュック・ベッソンの制作ですが、予告編ではベッソンの名前ばかりで監督が可哀想です。前作はずいぶんヒットしましたが、今回はやはり質が落ちています。時間縛りがなくなったのも一因でしょうか。しかし、前作も今作も脚本はつまらないです。リーアム・ニーソンと演出だけで見せる作品ですね。
家族が攻撃を受ける前半は演出のキレが良く、緊迫感の高い展開になっていますが、反撃に出る後半になるとありきたりの演出になってしまってつまらなくなりました。前半は娘キム役のマギー・グレイスを使いこなすことで緊迫感を上げていたのに、後半はしまい込んでしまったことが原因です。たっぷり時間の余裕があるのに、何を焦ったのでしょうか。ラストシーンは家族の団欒となり、アレレです。
ブライアンが組織のボスに語ったところによれば、シリーズはこれで終わりにならず、もう一回リベンジが起こることになります。さて、第3作はあるのでしょうか。もしやるなら、今度はきちんとした脚本を書くべきですね。


☆☆☆○○
大魔術師Xのダブル・トリック 邦題 大魔術師Xのダブル・トリック
原題 The Great Magician
制作 2011年 上映 128分
監督 イー・トンシン 地域 香港
軍閥時代の中華民国・北京を舞台にして、マジシャン張賢が幽閉された師匠との再会と婚約者を奪い返すことを狙って軍閥の雷大牛との駆け引きを展開する、コメディ・アクション。
コメディ色が入っているとは思わなかったので、展開も予想とは異なってトニー・レオン大活躍のアクションではありませんでした。不思議なタッチの作品ですが、内容の割には時間が長いので、中だるみしています。
もっと大活劇や悲恋を期待していたところもあったせいか、少々期待はずれ。マジックもたいしたことありません。しかし、ストレートな展開にはなっていない分、味わいのある話にはなっています。もっと洗練されていれば、いい作品になったかも。


☆☆☆○○
燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘 邦題 燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘
原題 打擂台     英題:Gallants
制作 2010年 上映 96分
監督 デレク・クォック
クレメント・チェン
地域 香港
30〜40年前の香港クンフー・ブームを回顧するのに、30年眠り続けていた師匠が目覚めるという物語設定を持ち込んだのはうまいです。演出にもたっぷり当時にテイストを取り込んでいます。キャラ設定もはっきりしていて面白いです。逆に言えば、物語の展開を含めて古くさいとも言えますがね。
さすがに『燃えよドラゴン』(1973年)に始まるブルース・リーの作品はだいたい見ていますが、あまりクンフー映画は見ていなかったので、僕ではその面白さが満喫できません。僕のような人には標準作になるとおもいますが、このジャンルが好きだった人にはお年玉なのかもしれません。


☆☆☆★○
狼の死刑宣告 邦題 狼の死刑宣告
原題 Death Sentence
制作 2007年 上映 106分
監督 ジェームズ・ワン 地域 アメリカ
原題の意味は「死刑宣告」で「狼」という枕詞は『狼よさらば』(1974年)から来ているのでしょう。原作小説は同じくブライアン・ガーフィールドです。『狼よさらば』はチャールズ・ブロンソンで、今作はケヴィン・ベーコンです。どちらも家庭人のパパというのは似合わないタイプですが、ブロンソンよりはマシでしょうか。
警察がアテにならず、自ら復讐あるいは制裁に赴く作品はアメリカ映画にはたくさんありますが、この作品はかなりシリアスです。同じ年の作品でジョディ・フォスターの『ブレイブ ワン』(2007年)があり、こちらの方が知られた作品だと思いますが、『狼の死刑宣告』の方が出来がいいです。カメラもアクションもリアルです。
本来ならもっと家庭的な俳優を父親にキャストすべきですが、ギャングに撃たれても死なないとか、初めて銃器を手にするのにギャングに撃ち勝つとか、こういうツメの甘さが許されるのはケヴィン・ベーコンであるがゆえです。それでもちょっと許しがたいけれど......(^_^)
しかし、ケヴィン・ベーコンが父親の悲しみを演じるのが巧くて、なかなか見せます。仇役の親父ジョン・グッドマンもまたいい味を出しています。イガグリ頭の刈り痕がこの世の不条理を象徴して、アメリカの銃社会を映し出します。原題も邦題も作品テーマからはずれているように感じます。


☆☆☆★○
ドリームスケープ 邦題 ドリームスケープ
原題 Dreamscape
制作 1984年 上映 99分
監督 ジョセフ・ルーベン 地域 アメリカ
日本では公開がなかった作品です。当時、ビデオテープで見ましたが、なかなか面白かった記憶があって、もう一度見たいと思っていた作品です。今回はDVDです。
もう誰が出演していたかも忘れていましたが、デニス・クエイド、マックス・フォン・シドー、クリストファー・プラマー、ケイト・キャプショーとなかなか豪華です。ケイト・キャプショーは同じく84年の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の方でブレイクしました。デニス・クエイドはSF映画選で取り上げた『第5惑星』に翌年出演しています。
サイキックの主人公が他人の夢に侵入して治療する心理実験に参加しているうちに、核戦争の悪夢に悩む大統領暗殺計画に巻き込まれているというサスペンスです。しかし、シリアス一辺倒ではなく、ユーモアやウイットも織り込まれているエンターテインメント作品になっています。ブルース・リーのクンフーまで出てきます。いろんなエピソードを積み重ねて伏線を作り、クライマックスシーンへとつなげていく手腕はなかなかです。もう少し夢の中のシーンがほしかったですけれど。
夢が描かれる作品と言えば、ヒッチコックの『白い恐怖』(1945年)が有名で、サルヴァドール・ダリが協力しただけあってシュールで面白い絵でした。しかし、こちらの作品はSFXの未熟さが目に付き、シュールな面白みにも欠けますが、そこそこ面白い絵にはなっています。特に相手の無意識的な弱みを使って夢の中で闘うというアイデアが面白いです。
それにしても、初夢にはシュールな面白みよりも、楽しい夢を見たいものです。あなたはどんな夢を見ましたか。



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