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2012年06月


☆☆☆★○
少年は残酷な弓を射る 邦題 少年は残酷な弓を射る
原題 We Need to Talk About Kevin
制作 2011年 上映 112分
監督 リン・ラムジー 地域 イギリス
時間軸に沿って展開する物語ではなく、時間があちこち散らばる進行です。こういうのは苦手ですが、理屈のない話なので時間をずらしてわかりにくくしないと、2時間近くの時間がもちません。
息子を愛せない母親と、母親に悪意を向け続ける息子の二人を軸に理解できない凶悪犯罪へと滑り込んでいく話ですが、原題のように議論する必要はあっても、議論の甲斐がない話でもあります。いつも邦題を批判していて、今回は日本語タイトルらしくなく英語タイトルみたいですが、今作品だけは邦題に納得です。少年を育てるのは大変です。それだけは議論の余地なしです。


☆☆☆○○
静かな生活 邦題 静かな生活
英題 A Quiet Life
制作 1995年 上映 121分
監督 伊丹十三 地域 日本
伊丹十三ならヒットして当たり前みたいに見られていたので、この作品も当たらなかったことが話題になります。しかし、題材からいってヒット云々の作品ではありません。大江健三郎の同名小説が原作です。知的障がいの兄といつも付き添う妹の生活を描いたものです。公開時に見ていません。今回が初見です。
意地悪い見方をすれば、親が面倒を見なくてもなんとかやっていけるという恵まれた環境の中で、一部暴力沙汰もありますが、どちらかと言えばほのぼのとする騒動を描いた話なので、ヒットに繋がるようなエピソードはありません。
主演の佐伯日菜子の表情がどうもしっくりきませんでした。イーヨー役の渡部篤郎は新人賞を受賞していますが、水泳のシーン以外では演技臭がしましたね。この時代はこのレベルだったのかもしれません。
2006年のTVドラマ『僕の歩く道』で、自閉症の主人公を演じた草g剛は見事でした。彼よりうまかったのはやはり同じドラマで端役で出てきた浅利陽介です。知らない俳優だったので、とうとう日本でも障がい者が俳優になれる時代がきたかと勘違いしたくなるぐらいリアルでした。
一般的に彼らに必要な生活とは静かな生活らしい。マーちゃんの絵日記に「静かな生活」と名付けたことは、イーヨーにとって幸せであることの証だということなんでしょう。そんな社会でもあってほしいですね。


☆☆☆○○
プレイ‐獲物‐ 邦題 プレイ‐獲物‐
原題 La proie
制作 2011年 上映 104分
監督 エリック・ヴァレット 地域 フランス
服役中の銀行強盗犯が自分が助けた刑務所のルームメイトを信用してしまったばかりに家族と金を奪われ、脱獄してその連続殺人鬼を追う一方で、女刑事にも追われるお話です。基本は服役囚の逃亡しながらの犯人捜しなので、このジャンルに沿った展開となります。
演出が緻密ではないので、いろいろとアラがあります。かなりご都合主義です。女刑事が拳銃を奪われてもお咎めなしだし、そもそも主人公が銀行強盗犯だという設定をきちんと成立させていないのがダメですね。妻の死体を見た時は転がって苦しむのに、娘が生きているのを見つけた時の主人公は表情を変えません。なぜ? 被害者の遺族が絡んで最後に新展開を見せるかと思いましたが、結局はB級テイストで終わってしまいました。しかし、主役のアルベール・デュポンテルは存在感があるので、普通に楽しめます。近年流行のオヤジの追走劇&逃走劇はまだしばらく賞味期限がありそうです。


☆☆☆○○
コナン・ザ・バーバリアン 邦題 コナン・ザ・バーバリアン
原題 Conan the Barbarian
制作 2011年 上映 112分
監督 マーカス・ニスペル 地域 アメリカ
オリジナルは『コナン・ザ・グレート』(1982年)です。原題タイトルは前作も今作も同じですが、邦題は原題に戻りました。確かにかなりの野蛮人ぶりではありますが、なぜリメイクしたのか意味がわからない出来です。この手の作品にはよくあることですが、戦場でみんなが斬り合いしている最中、背後には目もくれず妻の腹から赤子を取り上げるというお茶目な冒頭シーンにはなかなかついていけません。
水準的な出来には仕上がっていますが、新しいところもないし、結局この物語はやはりこういう描き方をするしかないのでしょうという展開でした。仇敵カラー役のスティーヴン・ラングを見たのは『アバター』(2009年)のクオリッチ大佐以来ですが、やはり同じ顔をしていますというか、おなじような役でした。サム・ワーシントンのようにはブレイクしていません。


☆☆☆★○
ブラック・ブレッド 邦題 ブラック・ブレッド
原題 Pa negre
制作 2010年 上映 113分
監督 アウグスティ・ビリャロンガ 地域 スペイン・フランス
スペイン内戦の傷跡が生々しい時代の、小さな村で起きた親子殺人事件が発端のサスペンスです。しかし、サスペンス色は強くなく、主人公となる少年アンドレウが体験していく無残な世の中を描いた作品です。
ギレルモ・デル・トロの『パンズ・ラビリンス』(2006年・スペイン)のような彩りもあるのですが、ミヒャエル・ハネケの『白いリボン』(2009年・ドイツ)のようなリアリズム色が強い作品でした。タイトルの「黒いパン」は混ざりもののパンしか食べられない敗者を象徴しているようです。
ゴヤ賞最多9部門受賞作ということだけあって重厚な作品です。スペイン人にとっては特に重く受け止められるはずです。主演のフランセスク・コロメールも自然な演技で良かったですが、従姉役の少女マリナ・コマスの堂々たる演技にはびっくり。二人ともこれがデビュー作だそうです。


☆☆☆★○
推定無罪 邦題 推定無罪
原題 Presumed Innocent
制作 1990年 上映 127分
監督 アラン・J・パクラ 地域 アメリカ
TVでよく放送される作品です。たぶん4回目ぐらい。そのうち3回はTVです。つい見てしまいます。演出があまり巧いとは思いませんが、作品のテーマは好きですね。
法廷劇に入るまでがもたもたと長いし、法廷劇も盛り上がりがありません。グレタ・スカッキが演ずる美人検事補が一人悪者にされていて、もう少し掘り下げた描き方もあったのではないかと思います。
しかし、この作品は正義とか愛とか、理性では解きほぐすことができない側面を描いていて、まさに法廷外の問題についていろいろと考えさせられるのです。妻役のボニー・ベデリアは『ダイハード2』と同じ年の出演で、『ダイハード』の妻役よりも深い印象をこの作品で残しています。
『ミリィ/少年は空を飛んだ』(1985年)という好きな作品があります。この作品にも出演していたことを最近知りました。まだ『ダイハード』(1988年)でブレイクする以前です。この作品はβテープで持っていたんですが、デッキがなくなって捨てました。母親役だったんでしょうか。


☆☆☆○○
ベルフラワー 邦題 ベルフラワー
原題 Bellflower
制作 2011年 上映 106分
監督 エヴァン・グローデル 地域 アメリカ
社会性のない『タクシー・ドライバー』(1976年)みたいなものかと思って見ましたが、全然違いました。『マッドマックス2』(1981年)に憧れて火炎放射器を搭載した改造車で暴れ回るのというのでもありませんでした。被害妄想の強い鬱屈した感情があふれた、けだるさと狂気が入り交じる青春を描いた作品です。
演出や映像は好きですが、話がだるいから退屈でした。監督・脚本・製作・主演を31歳のエヴァン・グローデル一人でやっていますから、自意識過剰が良くもあり、悪くもあるという感じでしょうか。好き嫌いの分かれる作品です。70年代にはこういう青春映画はよくあったので、新しさは感じませんでした。


☆☆☆★○
それでも、愛してる 邦題 それでも、愛してる
原題 The Beaver
制作 2009年 上映 91分
監督 ジョディ・フォスター 地域 アメリカ
邦題をつけるのに困っている様子がありありの、苦し紛れのタイトル。
久しぶりのメル・ギブソンが見事に俳優ぶりを見せる作品です。近年私生活でいろいろあったようですから、鬱の役は身近だったのかも。ジョディ・フォスター作品ですが、彼女は妻役で助演もしています。才能豊かな人です。
鬱だった父親がマペットのビーバーという人格を生み出して、なんとか家族を取り戻そうと格闘する姿と、やはり問題を抱える息子との距離を描いています。ジョディ・フォスターは実父を知らずに育ち、自分の息子二人の父親も公表していません。この作品を監督するのには深い思いがあったことでしょう。
なかなかいいキャスティングで、ジョディ・フォスターの影が薄くなりそうなぐらいなんですが、家族それぞれの接点として役割を果たしています。彼女とは『タクシードライバー』 (1976年)からのお付き合いですが、死ぬまで楽しませてくれそうです。


☆☆☆★○
Flypaper 邦題 フライペーパー! 史上最低の銀行強盗
原題 Flypaper
制作 2011年 上映 88分
監督 ロブ・ミンコフ 地域 ドイツ・アメリカ
1999年の同タイトル(原題)ではなく、2011の作品です。こんな長い副題をつけるぐらいなら、「フライペーパー!」なんて日本人には意味不明のタイトルをつけなきゃいいのに。
銀行強盗の鉢合わせに始まるコメディで、銀行襲撃ものに新たな展開を持ち込むことに成功しています。あまり笑えないですけどね。脚本がよく出来ていて、単なる銀行襲撃ではなく銀行という空間内のサスペンスにもなっています。
面白かったのですが、主演のパトリック・デンプシーやアシュレイ・ジャッドに物足りなさを感じました。もう少し華がほしい。そこで☆3つ半。


☆☆☆○○
スノーホワイト 邦題 スノーホワイト
原題 Snow White and the Huntsman
制作 2012年 上映 127分
監督 ルパート・サンダーズ 地域 アメリカ
前宣伝ではシャーリーズ・セロンの魔女が主役になる「白雪姫」かとも思いましたが、違いました。そもそも「白雪姫」ではありません。登場するキャラだけを拝借していると言ってもいい。そしてやはり主役はスノーホワイトのクリステン・スチュワートの方でした。「白雪姫」にクリステン・スチュワートではミスキャストでしょうと思っていただけに、「白雪姫」ではなかったことで納得。しだいにジャンヌ・ダルク風になります。この作品に「スノーホワイト」なんてタイトルをつけたら原作が困りますよ。原題も納得し難し。
話は「白雪姫」の設定でまずフレームを作り、そこから逃亡劇と反撃へ展開していきます。期待した深みはありませんでした。ですから話を楽しむよりはファンタジックな映像を楽しむ作品になっています。
シャーリーズ・セロンの花嫁姿は美しかったです。女優になったら、こういう役は絶対やってみたいでしょうね。ついでに悪役もやれてセロンは楽しかったでしょう。王との結婚式で玉座へと歩む美しい花嫁である魔女が、その場の気配に何かを感じ取り、自分の後ろを歩くまだ幼い白雪姫を振り返るシーンの演出が素晴らしくて期待感が膨らみましたが、後は少々退屈しました。魔女のパワーは絶大なのにあまり魔術を使わないなど、ツッコミどころも多いです。
生気を吸い取るシーンは『スペース・バンパイア』とそっくり。妖精の森では『もののけ姫』のシーンも出てきます。「姫」つながりなのか......(^_^)


☆☆☆○○
ハングリー・ラビット 邦題 ハングリー・ラビット
原題 Seeking Justice
制作 2011年 上映 106分
監督 ロジャー・ドナルドソン 地域 アメリカ
最近はB級ばかり出演しているニコラス・ケイジ。しかも、『キック・アス』(2010年)以外はどれも水準以下。『キック・アス』は主演とは言えないし。今月もう1本『ブレイクアウト』(2011年)の公開がありますが、こちらも水準レベル。ニコール・キッドマンの方が役は勝っているし。去年の10月に見ていて、☆3つに評価しています。
今回の作品はストーリーはちゃんとあるので、見れます。復讐の身代わり連鎖という話は以前に見たことがあったのでリメイクかと思いましたが、後半の大筋は『逃亡者』(1993年)みたいな展開になります。そして、いろんなサスペンスの定番を組み合わせている感じですね。だから、やはり彼の『NEXT -ネクスト-』(2007年)みたいにすぐ先の未来がわかるように展開が見えてしまいます。それはこれから起きることを映像でヒント出しをしているからでもあります。親切なことです。
眉間にしわを寄せて悩む役はもうお互いに飽き飽きしてきたんじゃないでしょうか。そろそろスカッとした役をお願いします。


☆☆☆☆○
キリマンジャロの雪 邦題 キリマンジャロの雪
原題 Les neiges du Kilimandjaro
制作 2011年 上映 107分
監督 ロベール・ゲディギャン 地域 フランス
紛らわしいタイトルですが、ヘミングウェイの小説とは関係なく、作品中に出てくるシャンソンのタイトルです。『キリマンジャロの雪』とはフランス人にとってはこの歌なんですね。古き良き時代のイタリア映画かフランス映画を思い出すような味わいです。脚本といい、映像の生活感といい、よく出来ています。
ポスターは終盤に近いシーンで、一番詩的で美しい場面です。何でもないビーチなんですけれど、この何でもない普通の平凡さが美しい作品です。
経済格差、世代間格差、グローバリゼーション、リストラ等、現代の社会問題を背景に、善人がどう生きるかを見つめる作品だと思いました。しかし、この作品はいろんな見方ができます。監督はヴィクトル・ユーゴーの長編詩『哀れな人々』から着想を得たそうです。この詩では貧しい漁師の夫婦が孤児を引き取る情景が描かれていますが、映画も同じような展開です。
しかしながら、この作品は単純な展開ではなく、様々な登場人物たちがいろんな問題を投げかけて、ふつふつと考えさせられます。


☆☆☆○○
リーピング 邦題 リーピング
原題 The Reaping
制作 2007年 上映 100分
監督 スティーヴン・ホプキンス 地域 アメリカ
アナソフィア・ロブつながりでチョイス。ヒラリー・スワンクとは『アメリア永遠の翼』 (2009年)以来でしょうか。出エジプト記の十の災いが元ネタになっているオカルト・サスペンス。案外こういうネタは好きなんです。悪魔の子ども作品はたくさんありますが、あまり面白いものはありません。これはひとひねりしてあって、アナソフィア・ロブをキャスティングしたのは正解でした。悪魔でも天使でもどっちでもいける容貌ですから。この作品がちょうど13歳ぐらいでしょうか。。『テラビシアにかける橋』 (2007年)も同年です。
この作品ではほとんどセリフもありません。『テラビシアにかける橋』 の仕事の方がずっと楽しかったことでしょう。これから4年後が『ソウル・サーファー』(2011年)ですから、サーファー役はかなり年下の役を演じていたわけですね。というか、幼く見えます。
設定はそこそこ面白いのですが、話の展開がすっきりしません。過去のオカルト作品を「おさらい」しますみたいに、いろんなアイデアが引用されています。
ローレンという謎の少女を隠しすぎて、主人公キャサリンとの繋がりが弱いです。キャサリンのことはかなり描かれて感情移入できますが、ローレンにはできないまま。映像は災いの一つであるイナゴが放たれたシーンが見事でしたが、襲うシーンではなく、静まりかえった「シーン」の中で少女とのやりとりがあれば、緊張感のある素晴らしいものになっていたことでしょう。襲う方に重点を置いたのが残念です。
最後のシーンはやり過ぎ感いっぱいなんですが、結局この作品は「ソドムとゴモラ」の現代版ということを意識しているらしく、再考の余地はなかったんでしょうね。旧約聖書の時代なら海が割れようが火の玉が降ろうが違和感はありません。しかし、現代なら現代なりの描き方があるはず。全般的に演出次第でいい作品になっただろうに惜しいなあ。


☆☆☆☆○
ソウル・サーファー 邦題 ソウル・サーファー
原題 Soul Surfer
制作 2011年 上映 106分
監督 ショーン・マクナマラ 地域 アメリカ
アナソフィア・ロブを見るのは『テラビシアにかける橋』以来です。この作品ではいたって普通の少女を演じていますが、人間的に出来すぎているところは普通じゃないです。しかし、これは実話だから「出来すぎ」だと批判できません。その親父がいかにものデニス・クエイド。似合いすぎ。親友役のロレイン・ニコルソンはジャック・ニコルソンの娘でした。こんなに若い娘がいたんだなあ。しかも、可愛い......(^_^)
サーフィン中にサメにパクリと片腕を食われた13歳の少女、ベサニー・ハミルトンがハワイ大会に挑戦するまでの過程を、家族や友人たちだけでなく、様々な人々との交流の中に描いています。希望を与える作品ですから、展開はほぼ予想通りです。
サーフィン映画を見る楽しみには映像の美しさがあります。この作品もカメラを駆使して楽しませてくれます。そして、この作品は波にいかに乗りこなすかという視点よりも、波をいかに見つけてそれに乗るかという視点を強調しています。それは人生に どう立ち向かうかという姿勢にかぶさって見えてきます。日本人とは異なって、ここには神がいます。最後のクライマックスでは、まるでベサニーが波を招き寄せ、勝ち負けなど気にもかけず、それを楽しむかのように描かれたのが、まさにこの作品の真骨頂でした。ベタなハッピーエンドではないところが良かったです。
腕をなくしても人を抱きしめることができる。むしろ、人は何かをなくさないと本当に人の役に立つことができないものなのかもしれません。お涙頂戴映画ではありませんが、涙を拭く準備を。


☆☆☆★○
幸せへのキセキ 邦題 幸せへのキセキ
原題 We Bought a Zoo
制作 2011年 上映 124分
監督 キャメロン・クロウ 地域 アメリカ
原題通りのほのぼのとした人間ドラマです。相変わらずの邦題は原題の面白さを台無しにしています。「動物園を買う」でいいじゃないの。これなら10年経っても忘れないタイトルだけど、「幸せへのキセキ」なら来月には忘れる。英語のタイトルは具体的、即物的で、日本語のタイトルは抽象的、一般的なことが多いわけですが、映画のタイトルは個性を主張しないとだめです。
今月最初の『君への誓い』で最近実話ものが多いと書きましたが、これもそうです。次に見る予定の『ソウル・サーファー』も実話ものです。この動物園は評価が高いらしいのですが、動物や動物園の経営についてはあっさりと扱われているので、動物園の良さはあまりわかりません。ドラマ自体はありきたりでしたが、登場人物たちがそれぞれにいい味が出していて面白く見れました。下の『ディヴァイド』とはまるで逆の気分になれます。20秒分の勇気があれば、人は人生を切り開いていくことができるでしょうか。


☆★○○○
ディヴァイド 邦題 ディヴァイド
原題 Divide
制作 2011年 上映 112分
監督 ザヴィエ・ジャン 地域 アメリカ
内容的にはちっともSFではないのですが、設定がどうも核攻撃にさらされて、プライベートの核シェルターに9人が逃げ込むということになっているのでSFジャンルにはいってしまうんですね。核シェルターと言っても、ただの地下室です。相変わらずの放射能無知です。
タイトルは「分配」という意味です。『ブラインドネス』(2008年)という作品でも収容所内での「分配」をめぐる嫌な話でしたが、これも同じく嫌な話に始まり、嫌な話に終わります。アメリカはほんとうに汚い映画を作るのが得意です。
外部から防護服を着て銃を持った男たちが侵入してきて少女を連れ去るのですが、このエピソードは広がりを見せることなく、シェルター内のいざこざばかりです。結局、狂気に取り憑かれて殺し合うという定番。『グラン・ブルー』(1988年)で魅力的だったロザンナ・アークエットは最後まで汚れ役で死んでいきます。見たくなかった作品です。


☆☆☆★○
ジェーン・エア 邦題 ジェーン・エア
原題 Jane Eyre
制作 2011年 上映 120分
監督 キャリー・ジョージ・フクナガ 地域 イギリス・アメリカ
文芸作品でしかも名作の映画化は作る方も見る方もたいへんです。制作側は原作そのままで作るのは嫌だし、あまりいじりすぎると観客が抵抗を感じることになるし。今作はいい落としどころだったと思います。
原作は好きなので、これがオリジナルだったらもっと高評価にしてもいいのです。小説の映画化は2時間ではどうしても消化不良になってしまうわけで、描写の食い足りない部分が残ってしまいます。しかし、映像も演技も良かったです。
今後は『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカでなく、『ジェーン・エア』のミア・ワシコウスカと呼ばれることになるのでしょうか。


★○○○○
恋愛戯曲 〜私と恋におちてください。〜 邦題 恋愛戯曲 〜私と恋におちてください。〜
制作 2010年 上映 106分
監督 鴻上尚史 地域 日本
鴻上尚史が人気劇作家だということは知っています。それ以外は何も知らない。しかし、こんなつまらない話を書いていたんですか。監督以前の、脚本家以前のお仕事ですよ。韓国ラブコメの真似をして書いた素人作品かと思いましたよ。シネマ短評の最低記録を更新してしまいました。見ている自分が恥ずかしくなってきて早送りで見ました。
0点ではなく、★ひとつは深田恭子が可愛いからオマケです。そもそもこんな人から「恋におちてください」と言われて、「無理」なんて脚本があり得ますか......(^_^) 原作の舞台劇は永作博美が演じていたとか。この一癖ある女優ならまだ理解は出来ますけどね。それにしても深田さんがいつの日か俳優になれる日はやってくるのだろうか。可愛さなんか求めない監督と作品にいつか深田さんが巡り会えますように。感動させられる日が来ることを期待しています。


☆☆☆○○
大病人 邦題 大病人
英題 The Last Dance
制作 1993年 上映 116分
監督 伊丹十三 地域 日本
この作品を見るのは初めてです。公開当時、面白そうに思えず見ませんでした。当時見ていたら☆3つ半です。今3つになってしまったのは、古さを感じてしまうからです。 当時なら癌の告知やモルヒネ使用等の医療問題や死後の世界の描き方など、それなりの先見性や問題提議であったと思われます。今も旧態依然の部分もあるわけですが、今では違和感を感じるところがあるのもしかたありません。
コメディ色は薄く、音楽もパッとしないし、物語展開も今となっては普通です。キャラが立たない作品なので宮本信子は大根になっているし、俳優たちの演技も輝きません。医療部分の描き方にはコメディ的演出とはいえ、無茶な部分もあります。
演出には仏教色が出ていて、脚本は伊丹十三ですが、親鸞に傾倒していた三國連太郎の意見も入っているのかもしれません。死後のシーンのSFXはやはりダメです。黛敏郎のカンタータ「般若心経」もありきたり。何を描くか、焦点を絞り切れていない感じです。
良かったところは死を目前にしても色欲を失わなかったことと、息を引き取るシーンの三國連太郎のリアリティですね。それにしても医者も含めてみんなタバコを吸いすぎです。そこには先見性がないです。


☆☆★○○
ミッシング ID 邦題 ミッシング ID
原題 Abduction
制作 2011年 上映 106分
監督 ジョン・シングルトン 地域 アメリカ
スパイもので、自分探しのサスペンス・アクション。新味はスパイではない高校生が主役というところでしょうか。しかもガールフレンドが付いてくるので、この新味が災いして甘い演出となり、サスペンスもアクションもリアリティに欠けるものとなりました。青春ものにスパイ味をまぶしてみましたというレベルの出来具合です。シガーニー・ウィーヴァーのエージェント役は似合いません。


☆☆☆★○
君への誓い 邦題 君への誓い
原題 The Vow
制作 2012年 上映 104分
監督 マイケル・スーシー 地域 アメリカ
近頃ほんとうによく見る 'inspired by a true story ' です。事故で出会う前からの記憶をなくした妻と再び愛を取り戻す話。どこまでが実話なのかわかりませんが、たぶん話のフレームだけでしょう。内容まで実話だったらいろいろと差し障りがあるはず......(^_^)
前半は予想の範囲内の展開でしたが、妻のペイジの過去が夫との二人の関係だけでない展開を見せて、少々面白くなりました。レイチェル・マクアダムスの演技は良かったですね。
今ちょうどTVドラマで『もう一度君に、プロポーズ』を放映していますが、映画の前半を見ている間、TVドラマもこれと同じ原案でやっているのかなと思ってしまうほど似ている。TVドラマは2回見てつまらないから見るのをやめました。しかし、映画の後半はTVドラマの設定とは異なるので、この作品は最後まで見ることができるドラマになっていると思います。
最後に記憶が戻ったら、☆がひとつ減るところですが、そういうベタなことにはなりませんでした。これは事実でもあります。映画としては「それでよし」ですが、現実としては「それでよし」と言うつもりはもちろんありません。



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