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2012年02月


☆☆☆☆○
ハンター 邦題 ハンター
原題 The Hunter
制作 2011年 上映 100分
監督 ダニエル・ネットハイム 地域 オーストラリア
『スリーピング ビューティー/禁断の悦び』 (2011年)の監督だったジュリア・リー Julia Leigh の小説が原作だそうです。女優のジュリア・リー Julia Lee とは別人です。『スリーピング ビューティー』は脚本も書いているんですが、今回の作品はまったく毛色が異なります。面白い小説を書きますね。小説を読んだわけではありませんが.......(^^ゞ
バイオ企業に依頼されたが孤高のハンターが、絶滅したはずのタスマニアタイガーを捕獲しに行く話です。タスマニア島のベースキャンプとなる村では環境保護派と業者が対立していて、自然保護VS開発の定番のような話になっていくのかなと思ったりもしましたが、全く違いました。人間の貪欲と孤独と愛の話でした。
ベースとなる村と森を幾度も往復しながら、キャンプ地にした家族との交流を深め、サスペンスを織り込みながらハンターの心が変化していく様を描いていきます。最後にやっと見つけたタスマニアタイガーは孤独な瞳をハンターに向けます。そこに何かを見たハンターは引き金に指をかけながら躊躇するのです。哀しい映画です。ウィレム・デフォーはこういう役をやらせるとたまりません。


☆☆★○○
ザ・レッジ -12時の死刑台 邦題 ザ・レッジ - 12時の死刑台
原題 The Ledge
制作 2011年 上映 101分
監督 マシュー・チャップマン 地域 アメリカ
なんとも嫌な邦題だね。しかし、その嫌な感じはこの作品の後味であることは確かかもしれません。高層ビルから身を投げ出そうとしている一人の男の事情と、引き留め役の刑事が抱えた事情を、本来なら切羽詰まった状況であるはずの中で、二人は案外のんきに語り合います。はっきり言ってのんきすぎます。
こういう緊迫した設定にするなら、それなりの事情をきちんと積み上げて描く必要があります。しかし、刑事じゃないけれど、それだけの説得力がありませんでした。偶然の取り合わせや唐突さなど、不自然さを感じてしまいます。
この監督が脚本でかかわった『ニューオーリンズ・トライアル』(2003年)や評判の悪かった『薔薇の素顔』(1994年)は案外面白かったのですがね。今回は中途半端な宗教の扱い方に失敗したと思います。


☆☆☆★○
メランコリア 邦題 メランコリア
原題 Melancholia
制作 2011年 上映 130分
監督 ラース・フォン・トリアー 地域 デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ
「ヒトラー」発言でカンヌ国際映画祭から追い出されたトリアー監督ですが、逆にこの作品への評価は高すぎると思います。トリアー監督の前作『アンチクライスト』 (2009年)は欧米で不快だと席を立つ人が多くいたと聞いて yu は見送りました。
今回はキルステン・ダンストのSFなので楽しみにしていたのですが、ベテラン俳優ばかりで演技は申し分ないですが、作品そのものは「詩的」であるということぐらいです。SFではありませんでした。
世界が正常な時はメランコリアな人には辛い世界ですが、世界が滅亡するという時には今度は正常な人が辛くなるのは普通のことです。まあ、経験したことも目撃したこともありませんけどね.......(^^ゞ
どうでもいいようなエピソードを詰め込んで長尺な作品にしなくても、たいそうな二部構成にしなくても、短編できりりと描いてほしかったですね。カメラは手持ちでわざと揺らして撮っている感じです。酔ってしまうほどに、ずっと揺れ続けています。こういうカメラの使い方はサブミナル効果を生みますから、ある意味禁じ手と言っていい。
冒頭の超スローモーションの映像はシュールで面白かったですが、その後は面白いと思ったシーンはありませんでした。後半のキルステン・ダンストの悟ったかのような、世界の傍観者になったかのような表情は良かったです。これがこの作品のハイライトかもしれない。
ブリューゲルの『雪中の狩人』の絵も登場していましたが、ちょうど今うちのトイレにこの絵が掛かっています。トイレにすわって考えても絵と映画とどう係わりがあるのかわからず、そんな疑問はトイレに流しました。つまらないはず。
科学的にいえば、この作品はまるで非科学的なのでしょうね。大きな惑星が衝突するなんて事態が起こりうるのか。重力の影響はまるで見られず、こんな穏やかな衝突はありえないです。
そんな科学的なことはどうでもいいですけれど、世界の終末をこんな映像でしか表現できないのかとがっかり。惑星の接近もありきたりな効果音で表現するだけです。この場面こそ詩で描かないでどうする?という感じですよ。
最後でメランコリアなジャスティンがうろたえることなく人を支えるというのがこの映画のミソですが、僕のような人間も地球が滅亡する時には役に立つのかも知れないと思いました。女優賞をもらったキルステン・ダンストのような表情ならいつでもできます......(^_^) 男優賞ちょうだい。


☆☆☆○○
In Time 邦題 TIME / タイム
原題 In Time
制作 2011年 上映 109分
監督 アンドリュー・ニコル 地域 アメリカ
SF映画選で取り上げた『ガタカ』(1997年)のアンドリュー・ニコル作品です。アマンダ・サイフリッドの容貌は初めて見たときからSFに似合うと思っていましたが、やっとSFに登場。ところが、これがあまりSFじゃないんだな。
人間は遺伝子操作で老いから解放される一方、限りある資源のために寿命の時間が通貨として成り立っている世界に住んでいます。この世界がいかにも嘘っぽい。 近未来という設定ではあるけれど、映像はまったく現代と変わらない。『ガタカ』の時のようなセンスがない。
SFは逃亡劇という形式を取る作品が非常に多いですが、これもそうです。ただし、これは『俺たちに明日はない』(1967年)をあからさまに取り込んでいますね。ただし、こちらは義賊です。この逃亡劇に「時間」を盗まれて、近未来社会の映像化と登場人物たちの内面を描くことに「時間」を費やさなかったために、短命の作品になってしまいました。


☆☆☆☆★
ヒューゴの不思議な発明 邦題 ヒューゴの不思議な発明
原題 Hugo
制作 2011年 上映 127分
監督 マーティン・スコセッシ 地域 アメリカ
今までのマーティン・スコセッシとはまったく違う。でも、彼の作品の中で超傑作「タクシー・ドライバー」に次いで好きになった。面白い、楽しい。映画本来の楽しみを思い出させてくれる作品です。
1930年代のパリを背景に、孤児になった少年が、うちの「SF映画選」のトップにも掲げるジョルジュ・メリエスの謎を機械仕掛けで探り出すありさまをファンタジックに描く物語です。
原作はブライアン・セルズニックの『ユゴーの不思議な発明』。英語は「h」を発音するので英語読みに邦題も従っていますが、これはどうなのかな?この作品は英語だから「ヒューゴ」と発音されています。それを「ユゴー」とタイトルにつけるのも悩ましい。結局、英語で作るからいけない......(^_^) 製作にジョニー・デップも名を並べています。
絵もキャラもいい。音楽もぴったりの雰囲気。特に音楽の調べに乗って流れるように描かれる出だしのシーンが素晴らしいです。古き良き時代のフランス映画です。そして、細密画で描かれた街の絵本の中へ迷い込んだような楽しさがあります。こういうCGの使い方なら大歓迎です。
期待以上の作品でしたが、惜しむらくは主役のエイサ・バターフィールドが可愛すぎることと、助演のイザベルにはクロエ・グレース・モレッツは役不足。もう少し彼女が活躍できる場面を準備してほしかったです。しかし、まだまだマーティン・スコセッシには期待が持てる。これからが楽しみです。来月映画館に行くなら、これを見逃す手はありません。


☆☆★○○
顔のないスパイ 邦題 顔のないスパイ
原題 The Double
制作 2011年 上映 98分
監督 マイケル・ブラント 地域 アメリカ
『3時10分、決断のとき』(2007年)や『ウォンテッド』(2008年)の脚本を書いた人ですが、今回は監督業に進出。前の2作も僕には3つ星半。今回は脚本とキャスティングに問題ありですかね。半分星を減らしました。
邦題は意味不明。スパイに顔がないのは必要条件。当たり前なこと言わないで。原題はネタばらしになっています。むしろ顔のあるスパイで、早々と正体を明かしてしまうのです。そんなことをやってしまって後始末をどうつけるのか、まだどんでん返しでもあるのかと思いながら見ましたが、残念ながらブラント監督は始末をつけることができませんでした。
リチャード・ギアがこの役をやるのは意外性がありましたが、すごみがないために不敵な笑いもにやけた笑いになってしまうのです。アクションもできないし。いろんなところでキレの悪い作品になってしまいました。


☆☆☆★○
荒馬と女 邦題 荒馬と女
原題 The Misfits
制作 1961年 上映 124分
監督 ジョン・ヒューストン 地域 アメリカ
モノクロ作品です。イーライ・ウォラック以外の、マリリン・モンロー、クラーク・ゲーブル、モンゴメリー・クリフト、セルマ・リッターの4人はみんな60年代に亡くなっています。クラーク・ゲーブルはこの映画で寿命が尽きてしまいました。モンローにとってもこれが遺作です。62年死去です。半世紀も前に死んだ人たちの映画を見るというのも不思議な感じです。
ラストシーンを撮ってから二日後にゲーブルは心臓麻痺で入院。妻は身重だったそうです。モンローは五日後に離婚を発表しました。ゲーブルの葬式にモンローは出席せず、ゲーブルの妻が出産した子どもの洗礼には喪服で駆けつけました。ゲーブルを父親のように慕っていたようです。
モンロー・ファンを公言していますが、その割にはちゃんと作品を見ていないのが実態.......(^^ゞ この作品はたぶん二十歳前後で見て面白かった記憶があります。撮影当時モンローの夫であったアーサー・ミラーが自分の短編『野生馬狩』を脚色したものを巨匠が撮ったものです。アーサー・ミラーがヒロインのロズリンの造形にはマリリンを参考にしたと言っているぐらい、その「イノセント」にはマリリンがいます。モンロー自身もロズリンは自分そのままだと自覚していました。タイトルの misfit とは「はみ出し者」です。
この作品はモンローの主演というべきですが、クラーク・ゲーブルは75万ドル、モンローと監督はそれぞれ30万ドルでした。制作費全体で400万ドル。さすがはゲーブルです。
前半はあまり面白くなかったですね。寂しさを紛らわすのに、十代の若者が群れて遊んでいるみたいな感じです。実際はみんな中年以降です。クラーク・ゲーブルも年齢以上の老けっぷり。モンローも実年齢に合わないような可愛さぶりを演技して、見ているこちらが疲れそう。彼女が嫌った頭の悪そうな女の役でもあるし。ヒロインのロズリンに対して「君は生きる才能がある」というセリフがありましたが、それとは逆にモンローは目がうつろで、どこかしら幽霊のような雰囲気さえ漂わせています。すでにかなり以前から睡眠薬中毒になっていました。それが映し出されているかもしれません。
先のセリフの続きは「我々は隠れ場所をあくせく探しているだけだ」というもの。この悲哀は多くの人が共感を覚えるところでもあるでしょう。
後半に入ってやっとムスタング(野生馬)狩りの話となり、ここからようやくそれぞれの人物の葛藤が顕在化して面白くなってきました。この映画では男どもがみんなロズリンことマリリン・モンローに心を奪われて気を遣っているのですが、この純粋ではあるけれど知的ではない女に振り回されっぱなしになります。結局最後までそうです。
世の中を知らない女を悲しませないのはいいことです。男がやらなくてはならないことはそういうことだし、それが堕落をくい止めることなんだと思えるのです。アーサー・ミラーはそれができませんでしたけどね。
来月は『マリリン 7日間の恋』(2011年)が公開されます。楽しみです。


☆★○○○
禁断メルヘン 眠れる森の美女 邦題 禁断メルヘン 眠れる森の美女
原題 La belle endormie
制作 2010年 上映 82分
監督 カトリーヌ・ブレイヤ 地域 フランス
アンデルセンの「雪の女王」とシャルル・ペロー「眠れる森の美女」を下敷きにした大人のための童話作品とか。「大人のための童話」とかいうのはいつも警戒しなくてはならない言葉ですが、子どもだましにもならない作品でした。妖精も魔女も雪の女王も 、およそ登場するキャラすべてがそれらしくない。TVムービーとしての制作らしいです。この監督は『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972年)に主演していた女優でもあります。脚本家、監督としても官能ものが多いです。
舞台風の演出で、舞台衣装から小道具までその辺にあるもので代用しているような感じ。演技は芝居がかったものばかりで、何を描きたかったんだろう。つまらないストーリーで、幻想的なシーンもほぼ皆無。王女アナスタシアは百年の眠りにつくのですが、途中でこちらも10分ぐらい眠りに落ちました。


☆☆○○○
Womb 邦題 日本未公開
原題 Womb
制作 2010年 上映 111分
監督 ベネデク・フリーガウフ 地域 ドイツ・ハンガリー・フランス
最近陽が昇らない映画が多いように思いますが、単に自分がそういう作品を見ているだけのことでしょうか。この作品もほとんど陽が射しません。ハンガリーの監督作品です。
言語は英語です。恋人が目の前で交通事故で死に、彼のクローン胚で出産して自分で育てるという顛末を描いたSF作品です。映像自体にSF的なところはなく、『メランコリア」みたいに風景が詩的な感じです。
原題は「子宮」という意味ですが、こういう物語がどういう展開をするかはだれもがわかっていることで、作品の中でも彼の両親から懸念が示されます。そして実際そのとおりに進むわけですから困ったものです。それならそれで、そこに何かプラスする要素を入れ込まないと面白みを感じるところがありません。
ところが、プラスする代わりに、思ってもみないエピソードが挿入されて結末を迎えます。エヴァ・グリーンを少しも老けさせないでおいたのはこういう理由だったのかと腑に落ちましたが、まったくつまらないエピソードです。脚本も監督本人ですが、スタッフはこんなの納得できたのでしょうか。


☆☆☆☆○
邦題 アンダーワールド ディレクターズカット版
原題 Underworld
制作 2003年 上映 131分 (スタンダード121分)
監督 レン・ワイズマン 地域 アメリカ
公開当時はこの安っぽいタイトルが邪魔をして見ませんでしたが、なかなか面白かったです。シリーズ4作目の『アンダーワールド覚醒』の公開に間に合うように1作目から見始めることにしました。話がよく出来ています。複雑な話なので長尺になりましたが、よくまとめています。
単なるバンパイア族と狼男族の闘いというだけでなく、血液の戦いであり、不死のテーマや生物の生存競争や進化も取り入れて、ゴシック・ホラーの枠外でも楽しませてくれます。
しかし、ロマンスの要素はかなり低いので、セリーンとマイケルの恋はあまり説得力がありません。アクションもそれなりよくできていますが、ビクター役のビル・ナイのじいさんアクションはやはり迫力を欠いて、問題を残しました。いくら長老でも最強と言われるのなら、それなりの筋力も見せてほしかったものです。
狼男の造形は難しいですね。いまだに感心した映画は1本もないような気がします。この作品ではCGではないそうですが、やはりやぼったい感じ。毛皮があまりないようで、どことなく爬虫類系です。
ケイト・ベッキンセイルをこの前見たのはホワイトアウト(2009年)でした。ヴァン・ヘルシング(2004年)もアビエイター(2004年)も見ているけれど、この人はあまり印象に残らない。顔立ちが整いすぎているせいかもしれない。その割にはラブストーリーが少ない。これから続編を見ます。


☆☆☆★○
アンダーワールド:エボリューション 邦題 アンダーワールド:エボリューション
原題 Underworld: Evolution
制作 2006年 上映 106分
監督 レン・ワイズマン 地域 アメリカ
前作は当初からシリーズとして制作されたわけではないのに、この続編は前作の謎解きをしながら話を進めています。まるで先に続編が計画されていたかのような見事な繋がりぶり。しかし、それだけに前作を忘れているとかなり厳しいストーリー展開だと思います。
今回は謎解きに比重かかかったためにマイケルは中途半端な活躍しかできず、解放されたウイリアムも今ひとつ影が薄かったです。双子の父であるアレクサンドル・コルヴィナスもここ一番の場面では共感を覚えるような行動ではないです。
タイトル通り、それぞれの種族のアイデンティティが失われて種族の坩堝と化してきているので、闘いの意義が見えなくなってきています。これをどう処理していくのかが今後の鍵でしょうか。次作は『アンダーワールド:ビギンズ』(2009年)ですが、今回のも十分ビギンズの要素が入っていただけにどうなるのでしょうか。1・2作で判明した創世の時代を丁寧に描くことになるのでしょうか。
律儀に3年おきに制作していくというのはなんでしょうか。3年も経てばかなり忘れますから興行的には不利だと思えますが、ディスクでいつでも見られるから関係なくなってますかね。ケイト・ベッキンセイルは最後まで美貌を保てるか......(^_^)


☆☆☆○○
アンダーワールド:ビギンズ 邦題 アンダーワールド:ビギンズ
原題 Underworld: Rise of the Lycans
制作 2009年 上映 90分
監督 パトリック・タトポロス 地域 アメリカ
今回は監督もヒロインも交代です。ヒロインは交代して良かったと思います。過去2作のイメージとは異なりますから。スクリーンの暗さは過去2作以上でほとんど闇です。まるでハイライト(テカっている)部分だけで見る映画ですよ......(^_^)
予想した通り、過去2作で判明した起源を描くもので、新しい展開があるわけではありません。つまりはあらすじを知ったままで見ることになるわけで、やはり面白さは減じてしまいます。かと言って過去作を知らないで見たら面白いかと言えば、それはそれで話がよくわからないだろうなあ。
そもそもこのシリーズはバンパイアとしてのキャラ度が低い作品ですが、今回は余計にそれを感じます。人間と化け物と狼男族の闘いみたいな趣になってしまっています。しかも、お話は奴隷としての差別がモチーフになっているので、スパルタカスじゃないけれど、そういう類いの話にならざるを得ません。狼男のデザインは少々改善されてきました。
そんなわけでいろいろ映画を見ている身には新鮮味に欠ける作品となりました。これでいよいよ今回の公開作を見ることになりますが、さていかに?「Awakening = 覚醒」という副題からいくと、進化のお話でしょうか。


☆☆★○○
アンダーワールド 覚醒 邦題 アンダーワールド 覚醒
原題 Underworld: Awakening
制作 2012年 上映 88分
監督 モンス・モーリンド
ビョルン・スタイン
地域 アメリカ
副題から予想した通り、進化の話ですね。12年間眠らされていたということも含んでいるようですが。これをもし「アンダーワールド4」と呼ぶとしたら、実際は「3.5」です。
近頃珍しく1時間半を切る上映時間なので嫌な予感がしましたが、たいてい予感は当たってしまいます。エンドロールを除くと約75分。最初から飛ばすので、事前に第2作を思い出しておかないと「あれ?」と思いますよ。
人を殺しまくりの幕開けですが、アクションが今までのよりハードです。こんなに強かったっけと疑問に思っていたら、そういえば第2作でアレクサンドル・コルヴィナスを噛んで能力が上がっていたんだなと思い出しました。
時間に十分余裕があるのだから、もう少し親切に動き出してもいいだろうに、何をそんなに焦っているんだろう。最後までずっとハイテンションで突っ走りましたね。結局マイケルの出番はなし。このシリーズでマイケルの立ち位置がどうなっているのかわからなくなってきてしまいました。まだ続けるつもりらしいので、5作目でなにか仕掛けるつもりでしょうか。また3年後。
ベッキンセイルは6年たっても美貌が大丈夫だったから、まだあと2作はいけるかも......(^_^) しかし、観客がついてくるかはわからない。今回は脳みそがいらない展開でした。ダニー・マクブライドが脚本から外れたせいでしょうか。この作品が「アンダーワールド」系列である必要が感じられません。


☆☆☆★○
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 邦題 タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
原題 The Adventures of Tintin: The Secret of the Unicorn
制作 2011年 上映 107分
監督 スティーヴン・スピルバーグ 地域 アメリカ
映像が出来すぎていて、アニメなのか実写なのかよくわからなくなります。生き物以外は実写と区別がつきませんね。逆に言えばアニメにする意味が問われることにもなります。実際、実写の映画でもCGがふんだんに使われて、もう観客にはその区別をつけるのは難しくなっています。ここまで進歩したCGをどうアニメとして活かしたらよいのかスタッフたちは解答を持っているのでしょうか。
原作はコミックだそうで、スピルバーグが好きそうな冒険譚です。しかし、定跡どおりの展開で、新鮮味に欠けます。演出も古典的。根っからの日本人なせいか、海賊が出てくる話になじめないこちらの問題でしょうか。


☆☆☆☆○
ドラゴン・タトゥーの女 邦題 ドラゴン・タトゥーの女
原題 The Girl with the Dragon Tattoo
制作 2011年 上映 158分
監督 デヴィッド・フィンチャー 地域 アメリカ
オリジナルの『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年)を見て、変態男のレイプとその復讐描写が嫌で、今回のはパスしようかと思っていたんですが見てしまいました。その場面は目をつぶればいいと。
でも結局目をつぶっていなかったのですが...(^^ゞ オリジナルよりはましでした。映画を見ていて嫌なのは反吐が出そうな場面によく遭遇すること。ここまで描く必要があるのかと思ってしまいます。この作品もほんとうに反吐の出そうな犯罪が元になっています。それでも見てしまうのは、その種の犯罪の犠牲者でもあるヒロイン、リスベットに付き添ってあげたくなる気持ちになるからです。
『羊たちの沈黙』(1990年)は☆4つ半の作品ですが、好きな映画ではありません。だから、見たのは一度きり。あれも反吐が出る犯罪です。しかし、レクターとクラリスの会話劇は沈黙して見るしかない迫力がありました。
世の中には確かに反吐が出そうな人の行いがありますが、フィクションではその描写をもう少し控えてほしいです。近年はその残酷描写を競うかのようにエスカレートして話題作りをする商業主義が垣間見えます。こんな残酷なことを追体験する俳優の身にもなれと思ってしまいます。昔と違って今では放映もディスクもあるのだから、公開時だけで勝負するのではなく、何回も見たくなるというような長い目で勝負をしてほしいものです。


☆☆☆★○
アンドリューNDR114 邦題 アンドリューNDR114
原題 Bicentennial Man
制作 1999年 上映 131分
監督 クリス・コロンバス 地域 アメリカ
たぶん3回目。今回はTV放送で吹き替えです。当然かなりカットされています。最近だんだん吹き替えの方が映像に集中できるのでいいなと思うような年頃になってきましたが、この作品はやはりロビン・ウィリアムズで聞いた方がいいですね。
あまり評価が高くない作品です。個性とかユニークとか、アメリカ人の嗜好が少々鼻につくところや、あほらしいセックス讃歌とか好きになれないシーンもあるのですが、この変に癖のあるロボットのデザインも含めてなんか好きですね。まさに「ロビン・ウィリアムズ」タイプのロボットです。200年にわたる「人」の話でそれが原題に出ているわけですが、邦題は無味乾燥になっています。原作はアイザック・アシモフの小説です。初訳時の題名は「二百周年を迎えた男」だったそうです。
ロボットが主役になる話ではよくある、人間になりたいというロボット譚。いわゆる現代のピノキオ話です。しかし、『A.I.』(2001年)のようにロボットであることの悲しみだけでなく、人間の悲しみを見つめる眼もあります。残念ながら、それがどこまで深くに受け止められているかには疑問が残りますけれど。
人は自分の悲しみだけを見つめている限り、その悲しみから逃れることはできません。他人の悲しみを見つめることでしか、自分の悲しみを癒やすことができないように思えます。その意味ではアンドリューはやはり人間になりきることができずに死んでいったとしか思えません。
老けメイクがよく出来ているし、メカ的な面白さも見せてくれるし、アイザック・アシモフのロボット工学三原則を可笑しく説明してくれる冒頭シーンも楽しいです。
監督のクリス・コロンバスはロビン・ウィリアムズと『ミセス・ダウト』(1993年)でも組んでいます。まもなくクリス・コロンバスが制作でかかわっている『ヘルプ〜心がつなぐストーリー』(2011年)も見るつもりです。『アンドリュー』も差別と自由の視点を含んでいますが、『ヘルプ」も昔のアメリカ南部での白人と黒人の友情を描いた作品のようです。


☆☆☆★○
ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 邦題 ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路
原題 Nannerl, La Sceur De Mozart
制作 2010年 上映 120分
監督 ルネ・フェレ 地域 フランス
このポスターは作品のイメージとは異なります。こんなに明るくて華やかな感じはありません。副題の「哀しみの旅路」も違います。もっと穏やかで静かな作品です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの姉ナンネルの少女時代を描いたもので、家族愛や友情、自立心への芽生えや恋という、その年頃なら誰もが出会うエピソードを丁寧に描いています。
その一方で、普通ではないエピソードもあります。それは「女だから」という障壁のために才能を開花させることができない苦悩です。父が娘のハープシコードの練習用に作ったナンネルの楽譜帳にはいつしか息子のヴォルフガングの記録がしたためられていくようになるエピソードも取り上げられていました。
この家族には温かい愛がありました。ナンネルが父に従ったのもそれがわかっていたからでしょう。モーツァルト家に生まれたからこその才能であり、モーツァルト家に生まれたからこその苦悩です。『アマデウス』(1984年)のようなドラマを盛り上げるような演出とは無縁ですが、「少女」は描かれていたと思います。
ナンネルのセリフがあまり活かされた脚本でないことと、シーンのカット割が少なくて、だんだらと続くカメラの長回しが単調さを生んでいます。カメラも手持ちが多かったと思います。もっとメリハリをつけて動きがあると良かったでしょうか。ナンネルがハープシコードを弾くシーンはほとんど右前方向から撮影されています。新聞記事の写真じゃないんだからね。


☆☆☆☆○
戦火の馬 邦題 戦火の馬
原題 War Horse
制作 2011年 上映 146分
監督 スティーヴン・スピルバーグ 地域 アメリカ
原題は軍馬なのになぜ戦火の馬なのか少々不思議に思っていましたが、見ればそれなりのタイトルでしょうか。
スピルバーグは出来不出来に波がありますが、今回はいい作品になりました。しかし、この人は1年の何本の映画を作っているのでしょうか。あまりの多作だから凡作が多いのも、良作が生まれやすいのも理解はできます。
スピルバーグは戦争を描いた作品が多いですね。これは第一次大戦のイギリスを舞台にしたものです。原作ありです。
馬に人間のような仕草をさせる演出がかなりあって、そういうところスピルバーグらしいとは思いますが、そういう演出をもっと控えてくれたら良かったと思いますね。現実の厳しさが甘く見てしまうのです。ラストシーンの背景は『風と共に去りぬ』を彷彿とさせる夕焼けでもっと別の手を見せてほしかったとも思います。
戦争の中にありながら、人の愚かさと人の誠実さを共にしずかに描いています。そのどちらにもつきあわされる馬は人にとっては良き友であっても、馬にとってはどちらも災難だなあと思ったりもしますね。そう思ってしまうところに、この作品がいい作品である一方で、どこか物足りなさを感じる作品でもあると言えます。


☆☆☆○○
お葬式 邦題 お葬式
英題 The Funeral
制作 1984年 上映 124分
監督 伊丹十三 地域 日本
伊丹十三作品は好きなのが何本かあります。これは監督デビュー作なので、さすがに下手くそなところがいろいろあります。それまでの日本映画にはなかった視点で撮ったところが評価されたのでしょう。『おくりびと』(2008年)もこの作品の落とし子だと思います。どちらにも山崎努が出演しています。
厳かな儀式の場ではいろんなタブーがあり、それがおかしみを生むわけですが、コメディと言うほどには可笑しくありません。愛人とのセックスシーンや受付でお金が強風に舞うシーンなど、あざとさが目に付きます。宮本信子の演技もあまりぱっとしません。この後『たんぽぽ』や『マルサの女』としだいに快活な女へと転換したのは正解でした。
この作品の3分の1は葬式マニュアルと普通の葬式の風景をなぞっているだけになっていて、退屈します。葬式と縁のない人には面白いのかもしれませんが、まあ、まさにこれが伊丹十三の動機になったわけですね。つまり、それは日本の伝統的な風景が変わりつつあった時代だったと言えます。いつかこの作品はかつての日本の葬式を記録した映像として記録されるのかもしれません。


☆☆☆○○
ヤング≒アダルト 邦題 ヤング≒アダルト
原題 Young Adult
制作 2011年 上映 94分
監督 ジェイソン・ライトマン 地域 アメリカ
『モンスター』(2003年)にははるか及ばないけれど、美人度をかなり下げてブスなシャーリーズ・セロン節みたいな感じになっています。彼女はこういう役が似合います。やはり嫌な女なんですよ......(^_^) 今年は『スノーホワイト』(2012年)での悪役も見せてくれるはずだし。
うっとうしいコメディといえるのでしょうか。ところどころ笑えますが、こんな女の行状を見ていてもうれしくもなし。あってもなくてもいいような、どうでもいいシーンも多いです。お気楽に勘違い女の顛末を見るしかありません。しかし、顛末と書いたものの、ようやく自分の問題に気づき始めたところを別の勘違い女の言葉に救われてしまい、この女には終わりがないんだな.。この主人では犬もかわいそう。
シャーリーズ・セロンが演じるのを楽しむ作品です。吉永小百合さんも若い時にこういう役をやってもらったら面白かったかも。



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