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2011年11月


☆☆☆★○
  邦題 ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀
原題 Largo Winch II
制作 2011年 上映 114分
監督 ジェローム・サル 地域 フランス・ベルギー・ドイツ
フランス語、ミャンマー語、英語の3国語話されている作品です。コミックが原作のシリーズ第2弾だそうで、1作目は日本で未公開。
映画紹介で指摘されているように007シリーズを想起させる部分もあるのですが、この2作目に限って言えば、ハリウッド・アクションっぽいです。
リアリティのある部分もあり、ご都合主義の部分もあり。黒幕も案外わかりやすい。フランス映画っぽいところがあまりないのが少々不満。
特筆ものはスカイ・アクションで、これも007でも登場していたシーンですが、こっちの方が格段に見応えがありました。☆は3つ半。


☆☆☆★○
密告・者 邦題 密告・者
原題 綫人 The Stool Pigeon
制作 2010年 上映 115分
監督 ダンテ・ラム 地域 香港
この邦題は文字化けでもタイプミスでもありません。なぜ「なかてん」が挟まっているのかは知りません。意味ありげにしたかったということだけはわかります。
とにかく、送り込む刑事と送り込まれるスパイの哀しい人生、そして二人と繋がる人々のまた哀しい人生が描かれます。バンッバンッの銃撃戦アクションではなく、刀で切り込む痛い映画でもあります。
前半は既視感のある展開でしたが、後半からの哀しみが増す展開からようやくこの作品らしさが出てきました。廃校らしい校舎の中で展開するアクションシーンは積み上げられた机と椅子の海の中で殺し合うものです。この作品のハイライト・シーンでしょう。
学校で机を並べていた子どもたちも哀しい人生にいつの間にかつぶされて血まみれの大人になってしまいました。スズメバチの巣でしょうか。廊下の天井に大きな巣がひとつ静かにぶら下がっていました。☆3つ半。


☆☆★○○
ブロークン 邦題 ブロークン
原題 The Broken
制作 2008年 上映 88分
監督 ショーン・エリス 地域 イギリス・フランス
サスペンス・スリラーということなんですけれど、ちっとも怖くなかったです。これはどちらかと言えばSFに近い作品だと思えるのですが、演出はスリラーになっています。
ちょうど同じ2008年作で『ミラーズ』という作品がありましたが、どんなだったかはもう忘れてしまったのでそれほど面白くはなかったのかもしれません。しかし、鏡はいつも面白い素材になります。その鏡をうまく映像に取り込むとこれがまた面白くなるわけですが、この作品にはそれがありません。鏡は割れるだけです。
なぜ割れるのかと問われれば、「鏡が割れると7年間不幸が続く」という迷信があるからです。しかし、この作品では割れる必然性はまるでなく、「7年」もまるで関係ありません。そんな迷信に引きずられることなく、もっと映像に鏡を取り込んでほしかったですね。スリラーとして効果を出しているのは映像というよりはサウンドの方です。
話は単調で暗い画面が続くので、一日目は半分過ぎで寝込んでしまいました。たった88分なのに、とても長く感じる......(^_^) 二日目はその続きから見たので二日がかり。残念ながら、この作品の良さはオチだけです。このオチはロボットものとかエイリアンものでも使われたネタです。☆二つ半。


☆☆☆○○
太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-
邦題 太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-
英題 Oba: The Last Samurai
制作 2011年 上映 128分
監督 平山秀幸 地域 日本
原作が日本人ではなく、元海兵隊員によって書かれたということで興味があったのですが、少々期待はずれ。事実に基づくということ以外にはあまり価値は見いだせません。
フォックスと呼ばれるほどの策略家ぶり、兵隊・・民間人からも好かれたという人柄がきちんと描かれていないし、竹野内豊の表情といい、話し方といい、どこか頼りないだけの男に見えてしまう。
井上真央の演じる看護婦青野が大場大尉に、山中を逃げ回っているだけじゃないか、みたいな言葉を投げるシーンがありましたが、的を射ています。日本軍人は玉砕をしなかったことで評価される、あるいは命を救ったと褒められる。まさに狂気の日本軍。最後に大場大尉が大勢の人を救ったと言われて、自分は救った人数以上の人を殺してしまったという台詞に救いを感じました。
まあ、それにしても戦争の悲惨さがあまり感じられない一方で、日本の戦争映画のような泣きを煽るシーンもないです。豪胆な一等兵を演じた唐沢寿明はリアリティがありましたね。良くも悪くも竹野内豊の作品という感じです。


☆☆☆○○
第7鉱区 邦題 第7鉱区
原題  Sector 7
制作 2011年 上映 101分
監督 キム・ジフン 地域 韓国
韓国映画界は世界に打って出るためにエンターテインメント性を重視した作品を作り続けていますね。これもその系譜にあり、日本なら尻込みして作ろうともしないモンスターものにまで果敢にチャレンジする。立派です。
見る前から『エイリアン』(1979年アメリカ)を意識したものなんだろうと見当がついていましたが、実際に『エイリアン』へのオマージュかなと思えるシーンもいくつかありました。『エイリアン』と同じく宇宙という土俵で闘うのはさすがに無理なので、舞台は東シナ海に浮かぶ石油ボーリング船。なかなか設定はいい線いっています。しかし、やはりハリウッドの亜流モンスターB級どまりです。
始まりと終わりに韓国風味付けがなされ、それ以外はハリウッドと変わりない感じですね。ハリウッド・サバイバルもの定番の卑怯者がやはり1名出てきます。演出が下手で、演技もイマイチ。モンスターの造形もぐちゃぐちゃで魅力なし。きちんと見せ場が作れていないです。モンスター映画がまだよく理解できていないようです。
CGで描かれるモンスターは画面合成が上手に出来ていますが、実写のオートバイは合成がうまく出来ておらず、画面から浮いています。このあたりもまだ未熟です。
☆2つ半ですが、映像エンターテインメントを作ろうという心意気に☆3つ。


☆☆☆○○
三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 邦題 三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
原題 The Three Musketeers
制作 2011年 上映 111分
監督 ポール・W・S・アンダーソン 地域 フランス・アメリカ・イギリス・ドイツ
ラグビーをやっていたので、「一人は皆の為に、皆は一人の為に」は聞き慣れしていますが、我がチームとは無縁の言葉だったのであまりありがたみを感じない。さて、 何度もこのセリフが出ている『三銃士』映画。幾度も映画化されていますが、今回は副題からも毛色が違うことはわかります。
この監督作品は4つ☆に達するものがほとんどないので、あまり期待していませんでした。実際平凡作となりました。この作品でも「一人は皆の為に、皆は一人の為に」という言葉は、やはりありがたみを感じるものとして活かされていません。原作にあるから言っているだけみたいな感じです。
要するに3Dで飛行船が飛んでいきますよというだけの売りなのではないかと思います。ダ・ヴィンチの飛行船を登場させるなら、ダ・ヴィンチファンをも楽しませるだけの工夫をしてもらいたかったですね。ただの空を飛ぶ軍艦ではダ・ヴィンチという冠をかぶらせた意味がありません。
空中戦では気球を狙えば一発で仕留めることができるのに、わざわざ本船を狙って撃ち合うというご都合主義もいただけない。こんな危険な代物に乗っているのだから、もっとハラハラドキドキの展開ができてもいいでしょうに、大砲でぶっ放し合うとは呆れました。もう少しダ・ヴィンチのような科学的な視点から詰めてほしかったものです。飛行船はただのお飾りに過ぎなかったわけで、逆にこれが災いして、剣術という活劇やロマンス部分が弱くなってしまいました。実際、初めの方に登場する大殺陣はいい仕上がりになっていたのに、その後は尻すぼみで残念。


☆☆☆○○
スリーピング ビューティー/禁断の悦び 邦題 スリーピング ビューティー/禁断の悦び
原題 Sleeping Beauty
制作 2011年 上映 101分
監督 ジュリア・リー 地域 オーストラリア
今月は珍しくハリウッド映画をまだ見ていませんが、これはオーストラリア。とは言っても原作は川端康成の『眠れる美女』です。川端作品は高校生の時に集中的に読んだので、たぶんこの時期に読んだ小説です。もうほとんど記憶にない。
川端作品の中では翻案しやすい作品なので、映画化は最初ではありません。すべて同タイトルで、1968年=吉村公三郎監督、1995年=横山博人監督、2005年=ヴァディム・グロウナ監督・ドイツ があります。かすかに1968年版は見た記憶はあります。モノクロでした。
この新作は原作とはかなり異なります。監督デビュー作だそうで、脚本も兼ねています。プロデューサーはジェーン・カンピオン。原作は川端という男視点で、この作品はジュリア・リー監督の女視点と言えるわけですが、何かこういう性差は出てくるものなんでしょうか。実際、それは主人公の設定にも反映していて、原作は客である老人だったけれど、こちらは「眠れる美女」になる女子大生。
この大転換はテーマにも当然影響が及んで、まったく別物になっています。邦題の副題は「禁断の悦び」になっていますが、そんな内容じゃありません。サスペンスという紹介がなされているようですが、そうとも思いません。女子大生の内面が描かれている作品だと思いました。
「眠れれる美女」のシーンに入ると、カメラはほぼ固定で長回しになります。構図とカメラワークが他の場面とは違っています。ポスターも絵画的なんですが、「眠れれる美女」シーンも絵画的になります。やはりこれは女性が撮った映画だと納得しました。


☆☆☆○○
孔子の教え 邦題 孔子の教え
原題 孔子 Confucius
制作 2009年 上映 124分
監督 フー・メイ 地域 中国
一昨年制作の作品ですが、やっと日本公開。こんな映画が作られていることを知りませんでした。日本もかつては儒教の国だったし、今でも教科書で学ぶ『論語』の先生ですし、チョウ・ユンファが主演ですのでもっと早くに公開されても良さそうなものですが、孔子は今の日本人にはもう遠い過去の人になってしまったのでしょうか。もちろん紀元前五百年の人ですから、はるか過去の人ですけれど......(^_^)
yu も老荘思想は好きだったけれど、儒教は道徳臭があって面倒くさいと思っていたところもあり、馴染み深いとは言えません。せめて映画ぐらいは見てみましょうということなのですが、邦題はまるで教育ビデオみたいですね。
孔子が母国である魯の大臣となって手腕をふるい、その権勢ゆえに魯を追われ、諸国を放浪した後にまた魯に帰国するまでを描いています。ポスターみたいにチョウ・ユンファの顔ばかりが印象に残る感じです。あまりに昔のことですから、伝記といってもどこまでが事実がわからないですが、作品のレベルとしては伝記のレベルです。


☆☆☆☆○
ラブ・アゲイン 邦題 ラブ・アゲイン
原題 Crazy, Stupid, Love.
制作 2011年 上映 118分
監督 グレン・フィカーラ&ジョン・レクア 地域 アメリカ
☆数は少々甘めでしょうか。中年のラブコメかと思いましたが、コメディ色はそれほど高くなく、ハートウォーミング色です。
出だしの設定はよくある感じだったのですが、だんだん面白くなってきました。尻下がりより尻上がりの方が見終わった後の感じはいいですからね。
なんと言っても脚本がいい。多彩な登場人物をうまく配置して楽しませてくれます。脚本はダン・フォーゲルマン。『塔の上のラプンツェル』 (2010年)や『ボルト』(2008年)の人です。これからは大人の話にも挑戦していくんでしょう。
この作品はたぶんどの年齢層でも楽しめるんじゃないかな。家族で見る映画ではないと思うけれどね。


☆☆☆○○
ザ☆ビッグバン!! 邦題 ザ☆ビッグバン!!
原題 The Big Bang
制作 2010年 上映 101分
監督 トニー・クランツ 地域 アメリカ
邦題から『M★A★S★H 』(1970年)みたいな、ちょっとクレイジーな探偵者なのかと思いましたが、関係なしでした。クレイジーな登場人物はいますけれど。大爆発の雰囲気を伝えたかったのでしょうね。でも、そんな迫力はなかったです。
少々クラシカルな演出で、こういう私立探偵者は昔はよくありました。演出のせいで話が複雑に思えてしまうので少し眠くなったところもありますが、こういう演出は案外好きです。
とにかくよくしゃべるアントニオ・バンデラスです。字幕が苦手な人はセリフを追うのに疲れるでしょうね。吹き替えがお勧めかも。
話の展開自体はあまり見せ場もなく、それが3つ☆にとどまった理由です。
これはクライム・サスペンスでしたが、今月は他にもクライム作品があります。クライム・アクションの『テイカーズ(Takers)』。昨年12月に短評しています。こんなに遅れたのは日本公開するかしないかのギリギリ線上だったということですかね。それから、ちょっと変わり種の『フェイク・クライム(Henry's Crime)』で、クライム・サスペンス・コメディ。どういうジャンル?だ。こちらは今年の7月に短評しました。クライムなので、みんなアメリカ制作です。


☆☆☆★○
ラブ&ドラッグ 邦題 ラブ&ドラッグ
原題 Love and Other Drugs
制作 2010年 上映 113分
監督 エドワード・ズウィック 地域 アメリカ
この監督作品で前に見たのは『ディファイアンス』(2008年)。その前は『ブラッド・ダイヤモンド』(2006年)に、『ラスト・サムライ』(2003年)。どれも戦地が舞台。この人の製作や監督作はほとんど見ていますが、いろんなジャンルの作品を撮っています。今回はなんとラブコメ。大丈夫か......(^_^)
と思って見たら、これはラブコメじゃなくて、ラブストーリーでした。パーキンソン病という難病も絡む恋愛だけに、こういうタッチの作品はぜったい日本では作れない。この作品のアン・ハサウェイは好きです。☆4つでもいいのだけど、アメリカ映画の下ネタはとにかく下品すぎる。
いつも思うことだけど、アメリカ映画の「ファック」の連発も嫌だな。子どもが「うんこ」が好きなのと同じで、下品な下ネタジョークがアメリカ人は好きなんでしょうか。
ともあれ、この監督はハズレがほとんどありません。


☆○○○○
ホーボー・ウィズ・ショットガン 邦題 ホーボー・ウィズ・ショットガン
原題 Hobo with a Shotgun
制作 2011年 上映 86分
監督 ジェイソン・アイズナー 地域 アメリカ
ルトガー・ハウアーが出演していなければ絶対に見ないジャンルです。こういう映画は理解不能。出だしは70年代風。理解はそこまで......(^_^) 後は残酷描写をお楽しみください、だけなので、苦手な人にはまるでダメです。
ルトガー・ハウアー出演作品は『ブレード・ランナー』(1982年)の後をずっと追いかけてきたけれど、彼が作品に恵まれたとは言い難い。この作品ではホームレスの役ですが、『聖なる酔っぱらいの伝説』(1988年)でもホームレス。同じホームレスでもまるで人物像が違いますが。ホーボーはコミックですね。
来月公開の『ブリューゲルの動く絵』(2011年)では、ルトガー・ハウアーはブリューゲル役をしているようです。アクションしないルトガー・ハウアーの方ががいいですね。もう爺さんだから、そういう方向にいってください。


☆☆☆○○
Apollo 18 邦題 日本未公開
原題 Apollo 18
制作 2011年 上映 86分
監督 ゴンザロ・ロペス=ギャレゴ 地域 アメリカ・カナダ
タイトル通り、実際には存在していないアポロ18号計画の顛末を描くSF作品です。『パラノーマル・アクティビティ』(2007年)のようなモキュメンタリーで撮影されたものなので、スクリーンサイズも[1.33:1]です。
モキュメンタリーは当然画質も悪いし、映画的な編集も制限されることになるので、好きではありません。だから『パラノーマル・アクティビティ』も見ていません。それなのに見たのは設定が面白そうだったから。きっと低予算なのでしょうけれど、それらしくよく出来ています。もちろん画面はブレるし、千切れるので我慢は必要です。ソ連の月着陸船が出てくるのですが、いかにもそれらしい。何かモデルがあったんでしょうか。
お話は月面上が中心になるのですが、ほとんど船内が舞台になります。人間型エイリアンとの遭遇作品かなと予想しながら見たのですが、実は月の石をめぐるミステリーになっています。この作品を箱穴的なモキュメンタリー手法で撮らず、予算を組んで俯瞰的なエンターテインメント作品にしたら、面白くなりそうです。なぜって?モキュメンタリーが苦手だから.......(^^ゞ 展開には新鮮味がありませんでした。ネタを少しバラせば、『エイリアン』(1979年)系の作品です。


☆☆☆☆○
Another Earth 邦題 日本未公開
原題 Another Earth
制作 2011年 上映 92分
監督 マイク・カヒール 地域 アメリカ
上記の作品よりも金がかかっていないと思えるSF作品ですが、こっちは斬新。もうひとつの地球をモチーフにした先行作品はいくつもありますが、扱い方が異なります。久しぶりに面白いSF作品でした。しかし、科学的に言えば、まったく非科学的な話ではあります。だれでも疑問をいだくようなことなのに、登場人物たちは誰もそれを言いません。それを言っちゃおしめえよ、だからだよね。
『ラビット・ホール』(2010年)を5月に褒めましたけれど、設定が逆転していて、『Another Earth』では交通事故の加害者の方が主役です。『ラビット・ホール』はSFではありませんが、平行宇宙の話題も出ていて、連想してしまいました。
まるで彗星のように現れた鏡面のような地球を背景に、家族を奪った女性と家族を奪われた男性の、クレイジーで風変わりな交流を描き、最後にはもうひとつの地球が主役に躍り出る展開です。特に最後のシーンは見る側にどう理解するかを迫る描き方で、説明はほとんどされません。
説明される必要はないのですが、TVで紹介されていた理論をたやすく信じて行動する二人には共感しがたいというのが最大の欠点かも。もっと賢い人たちのはずなのだから、伏線をしっかり敷いてほしかったものです。初監督作品らしいです。今月は初監督が多い。
この作品の良さはSF的なことよりも、主人公であるローダの疎外感ともうひとつの地球との結びつきにあるのですが、最後のSF的なシーンがローダの救済と絡んで感慨深い。


☆☆☆★○
ライラの冒険 黄金の羅針盤 邦題 ライラの冒険 黄金の羅針盤
原題 The Golden Compass
制作 2007年 上映 113分
監督 クリス・ワイツ 地域 アメリカ
パラレルワールドの流れで見ることにしました。フィリップ・プルマン原作3部作の第1部に当たる映画化作品です。以前にTV放送で済ませたのですが、カットされていない全編をきちんと見たいと思っていたので、ブルーレイとホームシアターで鑑賞。
しかし、カットがなくてもはやり説明不足は解消されませんでした。原作の設定がユニークなので、やはりこの世界に没入するための工夫が最初にほしいところ。大部のファンタジー小説は映画化するとダイジェストになってしまうというのは仕方がないですけどね。原作はちゃんとあるのだから、映像化を楽しむという割り切り方をしましょうか。
そういう楽しみを与えてくれる作品だと思います。風景も自然も小物も動物キャラもみんな良く絵が描かれていて、見ていて楽しいです。登場人物もそれぞれに「らしい」演技をしてくれるので安心して見ていられます。ニコール・キッドマンはやはりチョイ悪おんなが似合います。分身であるダイモンの声についてはもう少し工夫があってもいいと思いました。
ライラ役のダコタ・ブルー・リチャーズがいいです。残念ながら続編の製作が中止になったことで、彼女が主役の続編は永遠に失われてしまいました。この世界の新たな映像化が見られなくなったことも残念です。


☆☆☆★○
ブラッディ・パーティ 邦題 ブラッディ・パーティ
原題 Wir Sind Die Nacht  英題:We Are The Night
制作 2010年 上映 100分
監督 デニス・ガンゼル 地域 ドイツ
今やもう1年に何作も作られるヴァンパイア・ムービー。今のどんな理由でヴァンパイアに惹かれるのでしょうか。またかよ、と思いながらやはり何作も見る自分にもわからない。しかし、この作品をみればヒントがあるかもしれない。
この脳天気な邦題からは過激なヴァンパイア・アクションを想像します。実際最初から出てきますが、なぜかパーティーが終わった後のシーンです。つまり、そんな映画ではないことを冒頭のシーンで伝えています。
生きる悲しさと孤独を描いた作品です。夜明け前、人は希望を求めて朝日を待つことがありますが、ヴァンパイアも夜明け前に東に向いて立ちたくなることがあります。そこにあるのは絶望なのでしょうか。あるいはやはり希望なのでしょうか。


☆☆☆○○
インモータルズ -神々の戦い- 邦題 インモータルズ -神々の戦い-
原題 Immortals
制作 2011年 上映 111分
監督 ターセム・シン・ダンドワール 地域 アメリカ
やはりこれは『300 <スリーハンドレッド>』(2006年)の映像ですね。身体が切り刻まれる瞬間はスローモーションで見せるため、いちいちアクションの流れが止まってしまいます。良いのやら悪いのやら。
映像美がウリのようですが、それほど独創的なものもなく、CGで細かく描いた努力は認めますという感じでしょうか。非常に硬質な映像です。人間には神々の考えることはよくわからないので、話の展開がまだるっこいと思うのはいつものことですが、エピロスの弓があまり有効に使われているようにも思えない。
それぞれのキャラと演出にも新味はなく、このジャンルとこの映像が好きな人向けでしょうか。



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