「シネマ短評」のトップを表示します


2011年09月


☆☆○○○
狼災記 邦題 日本未公開
原題 狼災記 The Warrior and the Wolf
制作 2009年 上映 97分
監督 田壮壮(ティエン・チュアンチュアン) 地域 中国
井上靖原作「狼災記」の映画化です。ほぼ原作通りではあるけれど、短編小説なのでいくらか設定が追加されています。オダギリジョー主演にマギー・Qの共演です。マギー・Qは今アメリカのドラマ『ニキータ』で主演していますが、数話見てやめました。あまり面白くない。そして、この映画も。
ポスターは面白そうなんです......(^_^) 暗い(照度)シーンの多い映画はたくさんありますが、その中でも筆頭グループに入る作品です。見るのに忍耐がいります。リアリティを重視したのかわかりませんが、やはり映画は光でしょ。
愛を知らない男が女を犯し、しだいに愛を覚えてその女と七晩交わったために狼になるというファンタジーです。だからセックスシーンが重要になるわけですが、これがワイルドさばかり強調されたような感じで、もう少しセクシーさを徐々に加味していく展開にならなかったものかと思います。
暗い、セリフが少ないという作品ですから、日本公開されたなら、たぶん少なからぬ人が眠りに落ちることでしょう。


☆☆☆★○
The Conspirator 邦題 声をかくす人
原題 The Conspirator
制作 2011年 上映 123分
監督 ロバート・レッドフォード 地域 アメリカ
リンカーン暗殺の裁判劇、特に共謀が行われた場所の家主であったメアリー・サラットに焦点を当てた作品です。ケネディ暗殺についてはそれなりに知っていますが、リンカーン暗殺にこういうことがあったとは知りませんでした。政治ものが好きなロバート・レッドフォードもかなり調べたんでしょう。どこまでが真実かはもちろん闇の中です。
登場人物みんなが熱演で、見応えがあります。現代に向けてのメッセージが強く出ています。しかし、そのため物語のふくらみに欠けた嫌いがあって、展開も演技もストレートでした。
法廷外でどんなやりとりがなされていたのか、南北戦争でメアリー・サラットの家族がどのように生きていたのか等、もっと背景を丁寧に描いてほしかったと思います。


☆☆○○○
白夜行 邦題 白夜行
原題 白夜行
制作 2010年 上映 149分
監督 深川栄洋 地域 日本
邦画を見るのは久しぶり。TVドラマは見ました。放映当時ではなく後からね。ドラマはなかなか面白かったですよ。特に少女を演じた福田麻由子の台詞はすごかった。さて、映画版はいかに?
ずいぶん展開が異なっていました。それはともかくキャストが失敗です。演技の未熟な人が何人もいます。戸田恵子もだめです。演出の問題なんでしょうか。
原作のいいところをきちんと出すことができなかった脚本がだめなんでしょうが、みなさんが「演技してます」という感じで白けてしまいました。メイキャップも邦画は相変わらずだめですね。
TVドラマの綾瀬はるかも、映画の堀北真希も、この役をやれる女優じゃありません。いつかこの役をやれる女優を見つけて再挑戦してください。


☆★○○○
SPACE BATTLESHIP ヤマト 邦題 SPACE BATTLESHIP ヤマト
英題 Space Battleship Yamato
制作 2010年 上映 138分
監督 山崎貴 地域 日本
同監督の『ALWAYS 三丁目の夕日』はよく出来ていたんですけれど、過去は出来ても未来は駄目だったみたいです。想像力貧困。歯の浮くような台詞が多いこの脚本にはつっこみどころが多過ぎます。
命令に背いた古代を営倉に放り込んだ艦長がそのあとすぐに古代を艦長代理に任命したり、古代が指揮をとっている時、ワープするというのに司令室にいず、ワープしながら森雪とキスしているし、人類の命運を握って闘いに出ているのに、おふざけが過ぎます。
木村拓哉はいつも何をやっても木村拓哉ですけど、やはりキムタクでした。この人は監督の指示を無視していつも勝手にやっているのでしょうか。そう考えないと腑に落ちない演出です。
VFXも激しい動きのある映像はかなり無理しているのがわかります。宇宙空間での戦闘シーンはあまり見せられないのでワープで逃げてばかり。地上での戦闘シーンはお粗末だし、時々のんびりムードで、戦闘中であることも忘れてしまいそう。『スターウォーズ』のパクリもあり。
ほとんど艦内でのつまらないおしゃべりが中心です。この艦内が潜水艦みたいに狭そうで、こぢんまりしすぎ。艦内にはソナー音らしきものが響いているシーンもありました。TVでは聞こえないかもしれません。やはり潜水艦がモデルなんでしょうか。営倉なんか鉄格子ですからびっくり。こんなシーンでビックリさせてどうする?
殺風景なグレーの艦内風景は80年代のB級SFでよく出てきました。残念ながらこれが日本SF映画の現実です。脚本も演出も美術デザインもVFXも世界最低レベルです。キャッチコピーは「必ず、生きて還る」だったのに、最後はやはり特攻。太平洋戦争の特攻から250年経ってもまだやっているのか。もう勘弁してくれ。
しかし、スペースものに挑戦した意気を買って☆1つ半。これからも屍を積み上げて、少しずつレベルを上げていきましょう。


☆☆★○○
GANTZ

GANTZ: PERFECT ANSWER
邦題 GANTZ (前編)
GANTZ: PERFECT ANSWER (後編)
原題 GANTZ
GANTZ: PERFECT ANSWER
制作 2010、2011年 上映 130分、141分
監督 佐藤信介 地域 日本
後味の悪い日本SFを見たので、もうひとつ日本SFを見ることに。2部作で、しかもどちらも2時間超え作品です。原作漫画はまったく知りません。
コミカルでシュールな話は好きです。リアリティも辻褄も放り出して、出だしはなかなかおもしろかったです。GANTZが出現するシーンは『2001年宇宙の旅』をほうふつとさせます。オマージュでしょうか。『ライアーゲーム 』を連想する設定もあります。
しかし、それ以降はコミカルもシュールもなし。あまりぱっとしない展開とアクションです。武器を持ちながら、弱っちい敵と戦うのを見ているとだれてしまいます。とにかく長すぎる。☆2つ半です。


☆☆☆○○
ドラゴン・キングダム 邦題 ドラゴン・キングダム
原題 The Forbidden Kingdom
制作 2008年 上映 105分
監督 ロブ・ミンコフ 地域 アメリカ
あちこち詰めの甘い作品なんです。ジャッキー・チェンとジェット・リーを楽しむつもりなら面白く見れます。導入と結末の設定がありがちで、幼稚な展開なのでそれがつらいところ。
Jコンビのアクションは健在ですが、残念なのは衣装がだぶだぶなので、せっかくキレのいい動きが「舞い」の方へ流れてしまうこと。この二人にダンス的な演出は不要でしょう。


☆☆○○○
ザ・ウォード/監禁病棟 邦題 ザ・ウォード/監禁病棟
原題 The Ward
制作 2010年 上映 89分
監督 ジョン・カーペンター 地域 アメリカ
こういうタイトルのホラーは普通ならパスするところ。しかし、ジョン・カーペンターならば、ということで見るんだよね。
時代設定は1966年。クリステンは精神病院の監禁病棟に収容され、突然現れるゴーストに他の少女たちとともに襲われるというサスペンス・スリラーです。
ゴーストにCGを使わないやり方は好ましいとも思えますが、なんともみすぼらしい出で立ち。ミイラになったホームレスみたいな。これはよほど資金がなかっただけのことではないかと推測。ジョン・カーペンターに投資する人がもういなくなったのでしょうか。こんな作品を作っていてはだれも投資しないですね。
このサスペンス部分はすでに先行作品がいくつかあるので、それを見ている人には謎が解けてしまいます。バラしてしまえば、先月見た『Waking Madison』と同じ系列です。 スリラー部分はまるでこの作品の時代設定みたいに古くさい演出手法で、呆れるほど。
映画に限ったことではありませんが、評価は人それぞれ。短評やっていても、他の人には役に立たないと思います.......(^^ゞ 『風と共に去りぬ』でも、『七人の侍』でもつまらないという人がいますから。
「yu刊」が役に立たないのと同様、朝日夕刊の映画評も全く当てになりません。この作品について朝日のある評論家は「このラストの二段構えは本当にスゴイ」と記していました。 yuはこんなのまで褒めるとは本当にスゴイと思います。この評論家はいつも褒めているので、「蓼食う虫も好き好き」だけではないのでしょうけれど。
他の評論家も含めて、つまらない作品をどう「売る」か苦労して書いているなあと、しばしば同情を禁じ得ないです。それを時々正直に吐露して書いている評論家もいて、そういう人は好きです......(^_^)
たとえば『スリーデイズ』。これは『「すべて彼女のために」』(2008年)というフランス映画のリメイク。ハリウッドのリメイクとしては「だいぶマシだ」と書いている評論家がいました。海外評でつまらないと耳にしていたので見ないつもりでしたが、どれだけのものか見たくなりました。物好きです.......(^^ゞ 今月中にたぶん短評します。


☆☆☆○○
アジョシ 邦題 アジョシ
原題  The Man from Nowhere
制作 2010年 上映 119分
監督 イ・ジョンボム 地域 韓国
「我々は韓国ドラマを見たくないぞ」などとTV局にデモをしている人たちがいますが、今時はなんデモですね。見なきゃいいじゃん、と思ってしまいますが、映画の配給やTVの映画放送でもアメリカ映画がほとんどなのに、こっちはデモなし。アジア嫌いもほどほどにしてね。
少女と暗殺者という組み合わせが流行りましたが、これは誘拐された少女を救う隣の「おじさん」のお話。口数の少ない孤独な男と口の達者な大人びた少女という組み合わせは定番の設定ではあります。みんなこういう組み合わせが好きなんでしょうね。
ハリウッドばりにむごたらしいシーンが頻出しますが、少女キム・セロンの健気な演技にほだされて、つい引っ張り込まれるという展開です。同じアジア人なので、よけいに情が通うところもあるかもしれない。韓国映画はアクションもできます。徴兵制のお陰?


☆☆☆☆○
Welcome to the Rileys 邦題 日本未公開
原題 Welcome to the Rileys
制作 2010年 上映 110分
監督 ジェイク・クコット 地域 アメリカ
15歳の娘を交通事故で亡くした夫婦と、早くに親を亡くした16歳の娼婦が出会い、葛藤しながらそれぞれに希望を抱くようになる物語。
主に、夫と少女が中心になって、妻との関わりが深くは描かれない弱さがあるものの、最近の映画の中ではかなり気に入りました。タイトルの「ライリー家へようこそ」にすっかり騙されたのですが、これはうれしい誤算でした。
ぬくぬくとした癒やしの中に安住せず生きようとする、あるいはそうせざるを得ない人生を見せてくれました。売れてきたクリステン・スチュワートが出演していますが、日本公開はなさそうな気配です。


☆☆☆○○
カンパニー・メン 邦題 カンパニー・メン
原題 The Company Men
制作 2010年 上映 113分
監督 ジョン・ウェルズ 地域 アメリカ
映画の主題から離れて、アメリカ人は噂通り江戸っ子だった、と思ってしまいました。高給のホワイトカラーなのに失業したら即刻家計破綻になってしまう。銀行に貯金するという知識は持ち合わせていないようです。
リーマン・ショックがアメリカで起こったことに納得するしかないです。タイトルはカタカナですけれど、我が国でも高度経済成長時代は自らを「会社人間」と揶揄していましたが、この作品では少しニュアンスが異なります。むしろ肯定的です。さすがアメリカ。
有名俳優が揃っているだけに、失業のリアリティがひしひし。しかしです。この有名俳優たちはエリートのホワイトカラーよりも高給取りなわけで、演技であるという事実を振り払うことができません。いくら仕事がないからってエリートのホワイトカラーが大工の手伝いという肉体労働をやるという話の筋も極端。小さな会社なら拾ってくれるでしょうに。
ストーリーも今までの失業もの映画とは異なる新しいものがあるかと言えば、別にそれもなく、なぜわざわざこの脚本にこれだけのメンバーが揃ったのか少し不思議です。
脇役で出ているケビン・コスナーは主役のベン・アフレックとキャラが似ているところがあると思うので主役をやってもよさそうですが、この作品では大工の親父役でいい味出しています。


☆☆☆★○
スリーデイズ 邦題 スリーデイズ
原題 The Next Three Days
制作 2010年 上映 134分
監督 ポール・ハギス 地域 アメリカ
『ザ・ウォード/監禁病棟』のところで予告した通り、フレッド・カヴァイエの『すべて彼女のために』のリメイクを見ました。面白くない、なんてことはないです。やはり素材がいいから面白いです。
タイトルが変更になったように、「愛」というよりは追い詰められたというか、意地を張るというか、その3日間のために全力投球するみたいな作品になりましたけどね。「○時間」みたいな時間限定タイトルの作品がいろいろありますが、あれとは明らかに異なります。それ故に next が付いているわけです。
それならば計画を立案していく過程を順を追って丁寧に描き、そこに面白みを感じさせてもらえればもっと満足できたと思います。
リーアム・ニーソンがチョイ役で出てきます。重要な役回りではあるのですが、さすがにアメリカは俳優の層が厚い。


☆☆☆☆○
4デイズ 邦題 4デイズ
原題 Unthinkable
制作 2010年 上映 97分
監督 グレゴール・ジョーダン 地域 アメリカ
核爆弾を仕掛けたテロリストと尋問官との息詰まる闘いを描きながら、人の良心に挑戦状を突きつける作品です。
偶然にも似たタイトルが続きましたが、時間限定タイトルは早い者勝ち。『5デイズ』はもう使われているし、『6デイズ/7ナイツ』もある。単独の『6デイズ』はまだ聞いたことないな......(^_^) でも、ありそう。
忌々しい映画というか、恐ろしい映画です。それでもこの映画はきれい事ではないだろうかと思ってしまう自分も怖い。邦題はどこか暢気な雰囲気さえ漂う感じですが、原題は「Unthinkable」。まさに思考停止してしまいそうな状況に放り込まれます。その意味で、邦題はまったく失格。
ほとんど期待していなかった作品でしたが、記憶に残る作品になりました。ラストシーンがありきたりで、あれはなかった方が良かったですね。キャリー=アン・モスがテロ犯の子供たちを連れて去って行くシーンで終わっていたら、もっと余韻が残ったことでしょう。
この映画は珍しく90分台です。昔はこんなのが普通だったのですが、近頃はみんな長すぎます。映画もダイエットしてほしいものです。


☆☆☆★○
ジェレミー 邦題 ジェレミー
原題 Jeremy あるいは Susan and Jeremy
制作 1973年 上映 90分
監督 アーサー・バロン 地域 アメリカ
ロビー・ベンソンとグリニス・オコナーの初恋と別れを描く、ニューヨークの青春もの。当時映画館で見ました。ほぼ同じ年頃だったこともあるだろうし、映画館で見た初めての恋愛ものでもあったしで、ずっと記憶に残っていたタイトルと音楽。ストーリーはほとんど忘れていました。
そういう私的な思い出の作品なので、評価できません。しかし、過去に見ていなかったら☆3つ半だと思います。なぜならストーリーがあまりに素直すぎるから。今ならこんな脚本は誰も買わない。それでも当時パルム・ドール新人監督賞をもらっている作品です。そう、脚本以外に見るべきものがあります。
いい意味で時代を感じさせる作品です。映画が始まるなり主題歌がスタートして1曲まるごと聞かせます。今時こんな映画ないです。しかも、歌っているのは主演の二人です。
当時は主題歌が大事にされていました。だから昔はいい映画音楽があったんですよね。
撮影は長回しでカメラがあまり切り替わりません。固定カメラではなく、手持ちカメラです。編集が楽だろうなと思える素直な、というか素人みたいな撮り方です。しかし、ドキュメンタリーを見ているようなリアリティ。
ナイーブな少年とそれを愛することができる少女の恋は、アメリカよりも日本向きかと思えます。年を取ってからの恋もいいのかもしれないけれど、少年少女時代の恋はやはりすばらしいものです。そんなことを思い出させてくれる映画です。
ちなみにロビー・ベンソンは「The Hourglass Song」、グリニス・オコナーは「Jeremy」を歌っています。どちらも検索すれば聞くことができます。


☆☆★○○
女と銃と荒野の麺屋 邦題 女と銃と荒野の麺屋
原題 三槍拍案驚奇 A Woman, A Gun, and A Noodle Shop
制作 2011年 上映 95分
監督 チャン・イーモウ 地域 中国香港
コーエン兄弟の『ブラッド・シンプル』(1984年)のリメイクです。『ブラッド・シンプル』は未見です。コーエン兄弟の作品もそこそこ見ているけれど、そんなに好きじゃないから。
さて、この作品はどこかのジャンルに分類するのは少し難しい。シニカルなコメディ・サスペンス時代劇とでも呼びましょうか。
話の展開よりも絵に凝った作りです。いわばスタイルにこだわった作品のようです。何か思い入れがあったのでしょうか。不自然な彩色はあまり好きになれないです。こだわりのない観客としては凡作になりました。タイトルにある「銃」はともかく、「女」はあまり有効なアイテムになっていないように思えます。
一番おもしろかったのは、麺を延ばす技。CGなんでしょうか、いかにも中国らしい超絶演技です。この麺は超きしめんでした。あんな幅広麺なんて食べられるものかな。関係ない話ばかり.....


☆☆☆★○
ブラッド・シンプル 邦題 ブラッド・シンプル
原題 Blood Simple
制作 19984年 上映 99分
監督 ジョエル・コーエン 地域 アメリカ
『女と銃と荒野の麺屋』のオリジナルを見ようとということで、早速見ることに。ディレクターズ・カット版『ブラッドシンプル ザ・スリラー』(2000年)ではなく、84年版です。
こちらはコメディ色はありませんが、『女と銃と荒野の麺屋』がかなり忠実にリメイクしているのがわかります。この作品はシリアスなだけに、勘違いというかすれ違いによって起こる騒動なので、ヒッチコックを想起する部分もあります。
絵の作りも凝っていて、チャン・イーモウがやりたかったことがわかります。こちらの絵はいい作りです。音楽の使い方もいい。凝ったサスペンスではないのに、サスペンス度が高い。しかし、私立探偵は見た目がスマートではなく、やることとの差に違和感を感じます。


☆☆★○○
悪魔を見た 邦題 悪魔を見た
原題  I Saw The Devil
制作 2010年 上映 144分
監督 キム・ジウン 地域 韓国
バイオレンスものはあまり好きじゃないけれど、つい見てしまいました。悪魔を見た者も悪魔になってしまう、凄惨な復讐ものです。憎しみが生む不幸の結末はいつも決まっています。
ほぼ救いのないストーリーで、人間の暗部ばかり見せつけられると疲れます。話の展開にも少々無理があるのですが、エネルギッシュな作りには韓国の勢いを感じさせられます。
やはり見なきゃ良かったというジャンルだったので、☆二つ半です。


☆☆○○○
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 邦題 トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
原題 Transformers: Dark of the Moon
制作 2011年 上映 157分
監督 マイケル・ベイ 地域 アメリカ
1作目は幼稚な話に我慢しながら、その目まぐるしいCGで最後まで見ることができました。子ども向けなんだなと思いました。2作目は早いうちから眠りに落ち、どんな作品だったかわからないまま.......(^^ゞ 3作目は前置きが長く、この部分を見ている分には子ども向けじゃないなと、このシリーズがよくわからなくなりました。
しかし、やはり眠い。なんでだろう。睡魔と闘いながら最後まで見ましたが、パッとしません。どんなCGが登場しても、かつての驚きはもうありません。
トランスフォーマーは美しくない。金属の細かいがらくたをまき散らしたり、それがまた合体したりというシーンは、ゴミ溜めを見ているようで気持ちがスッキリしないです。快感が生まれないのです。
ほぼ戦闘シーンばかりで2時間半。長いですねえ。結局は幼稚な話に戻っちゃたし。休眠したまま地球に初めてやって来て、目が覚めたらすぐに英語を話し始めるという無邪気さ。英語が宇宙共通語になっている無神経さ。
それを言っちゃあ、おしえめえよ.....ではあるけれど、少しは気を配ってほしいですね。この作品を作るのに俳優もスタッフも苦労したのがよくわかるほどの規模ですが、センスがない。
斜めに倒れたビルのガラス壁を滑りながら脱出するシーンは面白かったです。やってみたいもんです。あっ、うそです。


☆☆☆☆○
ゲッタウェイ 邦題 ゲッタウェイ
原題 The Getaway
制作 1972年 上映 122分
監督 サム・ペキンパー 地域 アメリカ
バイオレンスのペキンパーですが、今見ればかわいいもんです。久しぶりの再見。年を取ったせいか、昔の映画を見るとフィルム映画のにおいがします。
銃撃シーンはよく覚えていたのですが、タイトルバックの映像のすごさや音楽使いのセンスの良さは忘れていました。タイトルバックは短いカットや静止画を積み重ねて、バイオレンスのシーン以外でもこんな使い方があるんだなあと感心。センスがいい。当時のアクション物としては例外的に長尺です。もっと短くていいです。
スティーヴ・マックイーンもアリ・マッグローもしみじみ懐かしい。当時はマッグローの『ある愛の詩』(1970年)も大ヒットでした。スティーヴ・マックイーンは『パピヨン』(73年)で大ヒット。この作品も素晴らしかった。


☆☆☆☆○
ある愛の詩 邦題 ある愛の詩
原題 Love Story
制作 1970年 上映 99分
監督 アーサー・ヒラー 地域 アメリカ
上の作品に引っ張られて、これも久しぶりに見ることになりました。原題はすごいタイトルです。珍しくこれは邦題の方がいい。当時流行った「愛とは決して後悔しないこと」というセリフが英語では「Love means never having to say you're sorry.」だったことを初めて知りました。
ジェニーが口にしたこのセリフはまだ場面に合っていたように思えるけれど、オリバーが口にした同じセリフは取って付けたような感じを受けました。この作品はやはりアリ・マッグローの映画です。映画のタイトルも彼女の名前が先に出ます。しかし、日本での作品解説では先にライアン・オニールが出ていることが多いです。なぜでしょうか?今ではライアン・オニールの方がネーム・バリューがあるのでしょうか。 この作品でマッグローのキュートな魅力を知ると、『ゲッタウェイ』がマックイーンの映画であることがはっきりします。彼女の魅力は出ていませんから。
この作品は難病物ではなく、突然やって来た病死という別れがあるだけで、それまでの二人の愛の軌跡に比重がかかっています。意固地なオリバーはあまり成長しませんし、ありのまま愛することを描いているように見えます。『ジェレミー』と同じくニューヨークが舞台になり、その雪景色が背景となる二つの点景が深い印象を残します。
オリバーの父親との確執がしつこく描かれますが、それだけでなくお金にも宗教にもとらわれない新しい世代の生き方も描かれて、時代が変わろうとしていることを伝えてもいます。
お涙頂戴にならないよう、ジェニーの死は案外あっさりと描かれていて好感を持てます。愛とはいつか手放さなければならないもの、でもあります。
物語の設定自体は古くさい定番を組み合わせただけのものですが、フランシス・レイの音楽とともに70年代の名作として語り継がれる作品だと思います。
ところで、若きトミー・リー・ジョーンズを見つけました。ほんのチョイ役です。やはりごつい顔立ちです。調べたらこの作品がデビュー作でした。長い下積みです。この映画の主役たちがスクリーンから遠ざかった後で芽が出た人です。年を取らないと味が出ない容貌なんですよね......(^_^)


☆☆☆★○
ワイルド・スピード MEGA MAX 邦題 ワイルド・スピード MEGA MAX
原題 Fast Five
制作 2011年 上映 130分
監督 ジャスティン・リン 地域 アメリカ
シリーズ第5弾。シリーズ全部は見ていませんけれど、やはりお話自体は荒唐無稽です。邦題のアホなタイトル通り、きっぱりB級です。そんなことに構うことなく、アクションシーンを堪能してもらいましょうということですね。
肉と肉がぶつかり合うアクションではなくて、もちろんカーアクションが主体ですが、車プラスαのアクションに面白さがあります。列車とか金庫とかが絡んで面白くなる。
建物から金庫をぶっこ抜いて、車で引いて暴走するシーンは街を破壊する勢いです。はっきり言ってこんなのありえない。しかし、久しぶりにどうやって撮ったんだろうと思いました。どこがCGになっているのかわからなかったです。
強奪計画に集められたメンバーたちの俳優に存在感がなかったのが残念。


☆☆★○○
ツリー・オブ・ライフ 邦題 ツリー・オブ・ライフ
原題 The Tree of Life
制作 2011年 上映 138分
監督 テレンス・マリック 地域 アメリカ
近頃見た映画の中では怖ろしく詩的な、かつ私的な作品でした。かいつまんで言えば、yu の苦手なアート系。
賢治が言ったところの「心象スケッチ」の積み重ねで2時間あまりを過ごすことになります。何か災難でも遭ったみたいな書き方をしましたが、一部の美しい映像や俳優の演技には何のケチもつけられないです。
冒頭に旧約聖書のヨブ記からの引用があって、これをモチーフに展開される物語、いえ、物語ろうとはせずに、観客の想像力に任せてシーンを次々に挿入していく形です。キリスト教世界とは縁のない日本では余計に理解が難しいとは思えますが、セリフを気にしなければ、ずいぶん仏教的な映像でもあります。セリフはほとんどありませんし。
この映画のCMには「父さん、あの頃の僕はあなたが嫌いだった」がキャッチコピーみたいになっていました。配給会社もこの作品のことがなにもわかっていないことを露呈しています。
はたしてこれは斬新な映画なのか? 一種の科学ドキュメンタリーとある家族の話を組み合わせただけのことであって、タイトルを踏まえれば安易な発想に思えてしまうのは yu だけでしょうか。評論家やマニアには面白い作品かもしれないけれど、そうでないなら、睡眠をたっぷり取ってから見ることをお勧めします。



プリオシン海岸トップへ