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2011年07月


☆☆☆☆○
X-MEN:ファースト・ジェネレーション 邦題 X-MEN:ファースト・ジェネレーション
原題 X-Men : First Class
制作 2011年 上映 131分
監督 マシュー・ヴォーン 地域 アメリカ
このシリーズは☆4つですから、楽しみにしていました。今回は先祖返りしているので、メンバー一新ということで不安もありましたが楽しませてもらえました。
このシリーズはまるで荒唐無稽なSFアクションですが、ホロコーストの歴史を取り込むなど、悲哀感が漂う作品でもありました。今回はそれにキューバ危機を取り込んで、現実と荒唐無稽をうまく織り上げることに成功しています。
アメリカ映画には「フリーク(異形)」というジャンルがありますが、このシリーズもその派生のひとつですね。みんな違ってみんないいんだという世界を創り上げるために、異形の者たちが傷つき、闘う姿に哀愁と愛しさを感じます。
シリーズが続くことを願っています。


☆☆☆★○
Limitless 邦題 日本未公開
原題 Limitless
制作 2011年 上映 106分
監督 ニール・バーガー 地域 アメリカ
偶然手に入れたドラッグによって脳を活性化させ万能になるという話の発端から、まあ展開は読めますね。つまり後半はその代償を払うことになるというお決まりの転がり方です。しかし、最後は少しひねりを加えています。
荒唐無稽なお話にせず、未来のいつかにはこういう騒動もありうるかもしれないと思わせるような現実感がありました。カメラワークも楽しめました。☆3つ半です。


☆☆○○○
愛 サラン 邦題 愛 サラン
英題 A LOVE
制作 2007年 上映 104分
監督 クァク・キョンテク 地域 韓国
出だしはいい感じだったのですが、あとは学生時代のケンカと、ボスの愛人を奪うという定番のバリエーションでしかなく、つまらないですね。
そんな風に書いてしまうと身も蓋もありませんね。すべての映画はもはやバリエーションでしかないわけなので、よくも飽きもせずに毎月見てるなあと自分でも呆れます。
この映画は結末だけは定番を外れていて、最後まで見てきた人を突き放します。あるいは「ロミオとジュリエット」が念頭にあったのでしょうか。この映画に「ロミオとジュリエット」は合いません。☆一つになる直前です。


☆☆☆○○
ロフト. 邦題 ロフト.
原題 Loft
制作 2008年 上映 117分
監督 エリク・ヴァン・ローイ 地域 ベルギー
ベルギーで大ヒットした作品だそうで、いつもこういうウリに引っかかっている yu ですが、やっぱりまた.......(^^ゞ 「日本で大ヒット」というのもたいてい面白くないわけで、そろそろ目覚めろよ。ですね。そもそもベルギー女性がこの手の話を喜んで見るとも思えないし。
5人の男たちが共有する秘密の情事部屋で起こる殺人事件を巡る話ですが、駄作というわけではありません。ミステリーとしてはそれなりの出来です。しかし、ロフトの持ち主であるビンセントの行動は秘密の共有と友人関係という両面であまりに破滅的で、ミステリー自体を破綻させかねないものです。これを許せるかどうかで評価も変わるでしょう。
主役級の情事については丁寧に描こうとしているところも見えて、単なるミステリーではなくて、深みのあるテーマも展開されるのかと期待もしましたが、結局思わせぶりだけでした。邦題にピリオドがつくのもただの思わせぶり?


☆☆☆★○
従妹ベット 邦題 従妹ベット
原題 Cousin Bette
制作 1998年 上映 116分
監督 デス・マカナフ 地域 アメリカ
以前から見たかった作品。日本ではDVDが出ていないようです。 ジェシカ・ラング 、エリザベス・シュー、ボブ・ホスキンス、ジェラルディン・チャップリンと有名俳優が揃っているし、原作はバルザックだし、駄作でもないし、なぜ? でも海外DVDを買うほどの作品とも思えないし。やっとTVで鑑賞。
復讐ものなんですが、コミカルタッチなので陰湿なはずのものが軽妙な人間喜劇になっています。ジェシカ・ラングはやはり怖いですけどね。この作品ではラングは醜女役です。76年に『キング・コング』でデビューした時は美女だったはず。
バーレスクの歌姫エリザベス・シューも時々悪役をやっていますが、今回はキュート。どこがって? お尻です......(^_^) セクシーでもあるお尻なんですが、笑えます。人が道に迷ってしまうような欲望をお尻は語っているのでしょうか。だから、やはりお尻は出しちゃいけません......(^_^) ☆3つ半。


☆☆☆○○
借りぐらしのアリエッティ 邦題 借りぐらしのアリエッティ
英題 The Borrower Arrietty
制作 2010年 上映 94分
監督 米林宏昌 地域 日本
最近アニメとはごぶさたでした。今回は日本映画っぽい演出の作品になっていますね。アニメ表現の進化が見られるところと、まだ未熟なところが見えるところもありましたが、海外のCGとは違う手描きアニメを見ると、どことなくホッとします。
小人というよりは妖精サイズの視点なので、水の表面張力を油みたいにねっとり描いたところや一部の音の工夫は良かったと思いましたが、それ以外ではあまりこの視点が活かされていませんでした。これが少し残念。
少年のモデルは神木隆之介だそうですね。他にもお手伝いの声の樹木希林も動きがまさに彼女のスタイル。笑えます。全体的に感傷的な演出で、ストーリーも含めて面白いとまでは思えませんでした。
監督は宮崎駿や高畑勲ではないので、もっと違うキャラのイメージを見たいという気持ちもあります。しかし、絵を楽しんだということで☆3つです。


☆☆☆★○
海洋天堂 邦題 海洋天堂
原題 海洋天堂 Ocean Heaven
制作 2010年 上映 98分
監督 薛暁路(シュエ・シャオルー) 地域 中国
自閉症と自立というテーマにプラスして親の癌をぶつける荒技作品です。しかし、障碍者のどの親もいつかは子どもより先に死ぬことはあり得るわけで、決して珍しいわけではないし、むしろありふれた問題と言えますね。中国での問題というわけでもないし、日本でも状況は変わりないシチュエーションが展開されます。
隣人や施設の職員から父親は善人扱いをされますが、それは同時にこの映画自体もそう訴えているように思えます。しかし、本当は善人にしてしまってはいけないのだと訴えたかったはず。その力が弱かった。
ジェット・リーはアクション・スターの雰囲気を消すためかメガネでの演技でしたが、メガネ越しでは目の演技がやはり弱くなり、かけない方が良かったのではないかな。
最後のシーンでかかってきた電話やウミガメと泳ぐシーンはいいシーンでした。3つ半です。


☆☆☆☆○
捜索者 邦題 捜索者
原題 The Searchers
制作 1956年 上映 119分
監督 ジョン・フォード 地域 アメリカ
ジョン・フォード&ジョン・ウェイン作品です。できれば映画館で見たい作品なのですが、それは叶わぬこと。ブルーレイ&ホームシアター鑑賞です。
巨岩がそびえる荒野だけでなく、いろんなシーンの絵が美しい。物語は西部劇にはよくある話です。ここではあえてインディアンと書きますが、コマンチ族に殺された親族の復讐と姪(ナタリー・ウッド)の奪還のために鬼となった、独り身の男の物語です。
舞台はジョン・ヒューストンの『許されざる者』(1960年)と同じようなものですが、ヒューストンの方は白人がカイオワ族の赤ちゃんを盗んだことに始まる悲劇でした。その娘役はオードリー・ヘプバーンでしたね。
インディアンが登場する西部劇はいつも複雑な気持ちで見ることになりますが、この映画でもインディアン側の悲劇についてはあまり語りません。しかし、単に捜索や主人公の孤独を描くだけでなく、西部の日常を時にユーモラスに綴っています。


☆☆☆☆○
シャンハイ 邦題 シャンハイ
原題 Shanghai
制作 2010年 上映 105分
監督 ミカエル・ハフストローム 地域 アメリカ・中国
日本のアメリカへの宣戦布告前夜の上海を舞台にスパイやレジスタンスが入り乱れ、そこにいくつもの愛が絡むサスペンスです。この時代の国際情勢に疎い人はをもう一度おさらいしてから見た方が良いかも。
菊地凛子が演じる女の正体をめぐって展開していく話なんですが、よく練られた脚本です。主演がジョン・キューザックです。もう少し線の太い俳優の方が似合っていたのではないかと思います。
全体的にダークな色調の映画です。華やかなシーンも取り入れて彩りを添えてくれるともっと面白くなったのでは。渡辺謙も出演しているので日本公開されると思っていましたが、この8月から公開されるようです。


☆☆☆○○
水曜日のエミリア 邦題 水曜日のエミリア
原題 Love & Other Impossible Pursuits
The Other Woman
制作 2009年 上映 102分
監督 ドン・ルース 地域 アメリカ
『ブラック・スワン』(2010年)の前に撮影されていた作品で、ナタリー・ポートマンのアカデミー授賞の影響でしょうか、地味な作品が引っ張り出されてきました。赤ちゃんの死と家族愛にまつわる話です。
彼女が製作総指揮した作品で、そこまで入れ込んだのはなぜかな?と不思議に思ったりもしますが、つまらないわけではありません。
しかし、話の流れが悪いせいか、あるいはエミリアがきちんと描き切れていないためか、心を打たれることもありませんでした。


☆☆☆☆○
黄色い星の子供たち 邦題 黄色い星の子供たち
原題 LA RAFLE.
制作 2010年 上映 125分
監督 ローズ・ボッシュ 地域 フランス・ドイツ・ハンガリー
1942年の夏、ナチス占領下にあったパリのユダヤ人一斉検挙という史実に基づく映画です。1万3千人が検挙され、移送の途中で家族は引き離され、それぞれ強制収容所に送られました。
原題はこの「一斉検挙」です。フランスで長年タブーであった事実を監督であるローズ・ボッシュが調べ上げて作品化したものです。埋もれた歴史を掘り起こして世に出すことは映画ができる大きな役割です。
人間は残虐な生き物であると思いますが、内なる残虐に負けない人もいます。世の中のせいにせずに一人ひとりが何を糧として生きるのか、それが問われているように思いました。パリ市民はこの一斉検挙の時に1万人のユダヤ人をかくまっったという事実も添えられていました。
カメラも音楽も良かったです。


☆☆○○○
サンクタム 邦題 サンクタム
原題 Sanctum
制作 2010年 上映 109分
監督 アリスター・グリアソン 地域 アメリカ
これは3Dで見ていません。俳優さんもスタッフも大変な撮影だったと思います。巨大鍾乳洞で災害に遭い、そこからの脱出を目指す話です。『ポセイドン・アドベンチャー』を思い出しましたが、こちらはそれだけの舞台装置がなく、岩と水ばかりでパッとしません。美しい風景でも見せてくれるのかとも思いましたが、秋吉鍾乳洞の方が楽しめます。
登場人物たちの人となりが描かれていないので、洞窟内で生じる様々な葛藤にお付き合いするのが難しいです。これは3Dで水を浴びたり、窒息しそうになる体験をしてもらう映画のようです。2D映画としては☆2つ半です。9月公開だそうですが、残暑が厳しいと涼むのにいいかも。


☆☆☆○○
Henry's Crime 邦題 日本未公開
原題 Henry's Crime
制作 2010年 上映 108分
監督 マルコム・ヴェンヴィル 地域 アメリカ
お人好しというよりは抜け作に見えるヘンリーの銀行強盗と恋の行方を描く作品です。コメディに分類されているようですが、犯罪のプランのいい加減さはコメディ・タッチと言えるかも知れない。しかし、あまりコメディっぽさはありません。
誤認逮捕による刑務所行きから人生がようやく回り始めたヘンリー。チェーホフの舞台劇「桜の園」を重ねながら、人生をどう切り開いていくのか悩みながら、しだいに銀行強盗そっちのけで愛する人と生きようとするあたりから、どこにも焦点を結ばないような展開で少々困惑。
脚本にはあちこちに暗喩があるのはわかるけれど、映画を面白くする演出だったとは思えません。主演・プロデューサーでもあるキアヌ・リーヴスのこの作品は成功作とは言い難い。



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