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2011年01月


☆☆☆★○
アデル ファラオの復活の秘策 邦題 アデル ファラオの復活の秘策
原題 Les Aventures Extraordinaires D'Adele Blanc-Sec
制作 2010年 上映 107分
監督 リュック・ベッソン 地域 フランス
今回のリュック・ベッソンはフランスでの制作なのでやはりフランス映画の風情です。タイトルと内容に少し違和感を感じる展開で、大冒険活劇かなと思っていたら、コメディタッチの妹を治す医者を捜すためのオカルト風捜索劇というところ。
これはアメリカでなく、フランスで撮ったのは正解だと思えます。特に冒頭の演出はとてもいい。CGをもっと減らして、時代の雰囲気をもっと強調してほしかったです。おふざけが過ぎるのが玉に瑕で、盛り上がるはずのシーンに自ら冷や水を浴びせるかのようなのはいただけないです。冒険譚なのか、ウイットが効いたドタバタ劇か、どっちつかずでちょっと中途半端。でも、この映画は好きですね。
姉とキャラと妹のキャラがほとんど同じ。今度は姉妹でご活躍してもらって、弥次喜多道中みたいな冒険譚にすれば面白いかも。続編を作るつもり満々の終わり方でした。


☆☆☆○○
スプライス 邦題 スプライス
原題 Splice
制作 2009年 上映 104分
監督 ヴィンチェンゾ・ナタリ 地域 カナダ・フランス
「フランケンシュタイン」系映画です。タイトル通り、DNDの接合がモチーフ。人のDNA操作というところで『スピーシーズ 種の起源』(1995年米)とか連想するところですけれど、こちらはエイリアンとは関係のない話です。むしろこれはもっと古い映画『エンブリヨ』(1976年米)に近いかもしれない。この類の話はお決まりの展開を見せるわけですが、セックス(性別と性交の両意)に新たな面を付け加えています。
でも、やはり「フランケンシュタイン」系ですから、愉快な映画じゃありません。不気味で、悲しいお話でした。映画館まで出向いて見るものじゃないですね。


☆☆☆☆○
レッド 邦題 レッド
原題 Red
制作 2010年 上映 111分
監督 ロベルト・シュヴェンケ 地域 アメリカ
みんな年金生活に入っているような世代が活躍するスパイ・アクションですが、豪華メンバーで、コメディタッチです。なにしろ「禿げ」の連発です。アーネスト・ボーグナインを久々に見れてうれしい。最上級レベルの俳優陣ですからそれなりの脚本が準備されているわけで、あくびがでることはありません。しかし、ワクワク度が低い。これはそれだけの新味のある展開がなかったからです。
ヘレン・ミレンが格好良く活躍する分、本来なら主役級であるはずのメアリー=ルイーズ・パーカーの影が薄くなりました。年配向けアクションということで、☆は少し甘めで4つ。


☆☆☆☆○
幻影師アイゼンハイム 邦題 幻影師アイゼンハイム
原題 The Illusionist
制作 2006年 上映 110分
監督 ニール・バーガー 地域 アメリカ
日本での公開は2年遅れの2008年。これは見逃していました。久々に気持ちのいいエンディングのミステリーでした。
身分違いで幼い恋の成就と、復讐と見せ掛けて実は暴虐な皇太子を失脚させるトリックを巧みに組み上げていく幻影師。こういう何かたくらんでいる役にはエドワード・ノートンがぴったりですね。最後まで騙されたかったけれど、エドワード・ノートンだもんなあと疑っていたもので、ウール警部が「オレンジの木」を見つけるあたりで、yu は「はっ」と思い当たってしまった。惜しかったなあ。
CGで幻影を作るだけでなく、トリックもきちんと明かしてもらえたらもっと楽しかったよね。


☆☆☆○○
12ラウンド 邦題 12ラウンド
原題 12 ROUNDS
制作 2009年 上映 110分
監督 レニー・ハーリン 地域 アメリカ
警官への逆恨みから起こる復讐劇かと思いながら、よくある話だよね、それでも退屈せずに1時間半楽しめたなと見ていたら、えっ?、そんな伏線があったのとびっくり。こりゃ、だれでも「ダイハード3」を連想する。
なかなかよく話が練れていて面白かったです。この伏線をもっと早くから匂わせていてくれたら、ぐっと面白い展開になっていたはず。四星あげていいところなんですけど、墜落ヘリコプターからの脱出が安易でした。アクション映画なんだから最後はビシッと決めてね。


☆☆☆○○
カットスロート・アイランド
ロング・キス・グッドナイト
邦題 カットスロート・アイランド
原題 Cutthroat Island
制作 1995年 上映 124分
監督 レニー・ハーリン 地域 アメリカ
『12ラウンド』と同じくレニー・ハーリン作品。制作費の1割も回収できなかった大コケ作だそうです。確かに金はかかっていそう。普通の海賊モノなのですが、女を主役に据えただけがミソというのでは仕方ありません。ジーナ・デイヴィスが好きだから見ただけ。この時はジーナとレニーは夫婦だったと思います。
翌年の『ロング・キス・グッドナイト The Long Kiss Goodnight』(1996年121分)もご夫婦で撮ったアクション作品でした。ジーナ・デイヴィスって、アクションが似合いそうな人だと思えないのだけど、アクションもいけるんだよね。『ロング・キス・グッドナイト』はお勧めします。


☆☆☆☆○
完全なる報復 邦題 完全なる報復
原題 Law Abiding Citizen
制作 2009年 上映 108分
監督 F・ゲイリー・グレイ 地域 アメリカ
いい出来です。しかし、2回と見たくないタイプ。『羊たちの沈黙』もそうでした。残虐なシーンを映像で描くことに熱心なアメリカ。どんどんエスカレートしていくしかないようです。こういう映画が作れない日本は幸せです。


☆○○○○
Monsters 邦題 日本未公開
原題 Monsters
制作 2010年 上映 94分
監督 ガレス・エドワーズ 地域 アメリカ
SFでもないし、モンスター映画でもない。ただの男女の道行きのお話。最後まで付き合うのは辛かった。ロードムービーが苦手だから余計につまらなかった。パソコンで誰でも映画が作れる時代になったので、こういう駄作を時々掴まされるのはしかたがないのかも。邦画にもよくある雰囲気だけの映画です。


☆☆○○○
ツーリスト 邦題 ツーリスト
原題 The Tourist
制作 2010年 上映 100分
監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・
ドナースマルク
地域 アメリカ・フランス
気の抜けたビールを英語では flat beer とか dead beer とか表現するらしいけれど、そんな映画。 ヴェネチアが背景でなかったら、もっとつまらなかったと思う。たぶん、映画がモノクロからカラーに移行しつつあった時期に撮られた映画で、いい音楽でも付けたら佳品になったんでしょう。だから、とっくに気が抜けてしまっているわけです。


☆☆☆☆○
正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 邦題 正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官
原題 Crossing Over
制作 2009年 上映 113分
監督 ウェイン・クラマー 地域 アメリカ
なんとも真っ当な邦題です。サブタイトルの I.C.E とは移民関税執行局のこと。9.11後のアメリカと様々な国からの移民の軋轢を描いた社会派映画です。かなり現実感のある撮影なので、エンタ向きのハリソン・フォードでいいのか!みたいな心配があったのですが、年老いてそれほど違和感はなかったですね。
多彩な登場人物をうまく配置し、アメリカ自身を批判するだけではなく、移民自体の問題へ切り込むことにも成功しています。プリオシン通信でもかつて触れたイスラム社会での名誉殺人も扱われています。脚本も撮影も演出もよく出来ている。
ただし、映画の内容から言って、この邦題は零点です。内容だけでなく、原題をもう少し尊重しても良いのではないの?辞書を引けば、どうもこれは遺伝学用語で「交差乗り換え」というような訳がついています。この映画が主眼とする国の乗り換えとは人生の乗り換えと同義と言ってもいいぐらいのもので、まさに遺伝子を乗り換えてしまうぐらいの重大事。それをハリソン・フォード捜査官が活躍するみたいな、売らんかなのタイトルはそれこそ良心が痛むというもの。


☆☆○○○
告白 英題 Confession
原題 告白
制作 2010年 上映 106分
監督 中島哲也 地域 日本
洋画だけの短評と思っていた方もいるかもしれませんが、邦画も見ているんですよ。だけど、挫折することもしばしば。『愛のむきだし』(2008年)は評判が良かったので、4時間という長時間に恐れおののきながらも見ました。しかし、1時間我慢してリタイア。『告白』が☆二つには納得がいかない人もたくさんいることでしょうが、冒頭の荒れた教室の描き方がステレオタイプで、もうこれで意気消沈。他にもありふれた演出が散見されたからです。アメリカのアカデミー賞外国語映画賞部門にも結局ノミネートされませんでした。
復讐ものの古典、デュマの『モンテ・クリスト伯』のように、昔の復讐ものはそれなりの達成感が与えられて面白かったけれど、現代のものは陰惨で気分が落ち込むようなものが流行り。『瞳の奥の秘密』、『完全なる報復』も然り。確かに、単純な復讐を描くアクションものではない映画を作る難しさはあるけれど、不愉快な告白を聞いても映画としての面白さが感じられません。復讐とはその元となった犯罪に相当する犯罪であるという「教訓」を聞かされているような気になってしまうのです。


☆☆☆○○
ディア・ドクター 英題 Dear Doctor
原題 ディア・ドクター
制作 2009年 上映 127分
監督 西川美和 地域 日本
いろんな賞に恵まれた作品ですが、なんだかな〜。地域医療の現状を皮肉ることは出来ていても、タイトルにもなっている偽医者の、そして看護師の内面は描けていないままです。描く気がなかったのでしょうが、美しい八千草薫には到底似合わない野良仕事姿のシーンのように、どこか違和感のある風景写真を見たかのような気がしました。



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